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一回目 (過去)
78.教会VS王家&公爵家
ローザリアとリリアーナがそれぞれ領地支援チームの要となり、旱魃に困窮する領地へ派遣されると王家から発表された。
公爵家には貴族達から贈り物がひっきりなしに届き教会に届く嘆願書も増えた。
平民達はどちらが本物の水の聖女なのか賭けをはじめた。
「俺はリリアーナ様だな。だってよぉ、ローザリア様ってのは学園にも行ってないってよ」
「リリアーナ様は王太子殿下と仲がいいんだってさ。だったら王家が後ろ盾になるってことだろ? 王家がついてる方が本物さね」
「俺はローザリア様だな。教会がついてりゃ怖いもんなしだろ」
その陰では聖騎士や精霊師の引き抜きや器物破損がはじまった。情報遅延や進路妨害などで教会の通常業務に支障が出始め、教会内部も意見が真っ二つに割れてしまった。
「ナザエル枢機卿やナスタリア神父が間違っていたら教会はどうなるんだ?」
「目撃した全員がローザリア様が偉業を成し遂げたと言ってたんだし」
「今は全員がリリアーナ様の偉業だって言ってるぞ?」
ローザリア派とリリアーナ派は【教会VS王家&公爵】の形相を示し平民達は道に座り込んで大声で自分勝手な意見を言い合う。聖職者達は仕事をするよりも噂話をしている方が長くなっていった。
ローザリアとリリアーナの領地支援チームのメンバーが決定した頃には皆疲れ果て、それまで妨害工作に悩まされていた聖職者達はホッと安堵のため息を漏らしたのだが⋯⋯。
ローザリアの支援チームはナザエル枢機卿をリーダーとした教会の聖職者のみで構成された。
対するリリアーナの支援チームは王宮精霊師団のランブリー団長を筆頭に王宮精霊師の精鋭と成績が上位の学園生が参加する大所帯。
「なんか教会虐めみたいじゃねえか? 精霊師の数が違いすぎるよな」
「リリアーナ様は力があるから大きな領地に行くんだってさ。それで人が多いらしいよ」
「いくら教会でも王家や公爵家にゃ勝てねえよな」
「ローザリア様は僻地担当だろ? 賭けの結果は決まったようなもんじゃねえか」
真っ青に晴れた晩夏の空の下、二つのチームが王城前の広場に整列した。
「リリアーナ!!」
「リチャードさまぁ!」
支援チームの先頭に立っていたリリアーナの元にリチャード王太子殿下が駆け寄った。
「気をつけて行くんだよ。リリアーナがこの国の水の聖女だってみんなが知ってるんだ。つまり⋯⋯リリアーナは誰よりも大切な存在だって事」
「ありがとう、リチャード様。私頑張るね」
「頑張らなくていいよ。のんびりしててもリリアーナなら問題ないさ。お土産楽しみにしてる」
「ええ、最初に行くのはバーンデルム公爵領だから綺麗な宝石が一杯でしょ? すごく楽しみなの。リチャード様の翠眼と似たエメラルドを見つけたら送るわね」
どうやら物見遊山に行くらしい⋯⋯。
(初めてお顔を見た。王妃似かな?)
リチャード王太子は優しげな顔立ちで少し長めのサラサラのブロンドを掻き上げリリアーナを見つめていた。
(可愛いリリアーナと並ぶとまるで絵本の中から出てきたみたい)
「リチャード王太子殿下、お願い致します」
「ああ、分かった。じゃあリリアーナ、帰ってくるのを待ってるよ」
颯爽とリリアーナに手を振って壇上に上がったリチャード王太子は、手にした書類を読み上げて盛大な拍手に包まれ帰って行った。
「土産をねだって見送りもしねえで帰って行きやがったぜ」
宰相の号令でリリアーナのチームが出発した。
王国精霊師団の旗と公爵家の紋章の入った旗を掲げた王国軍の後を精霊師の乗った馬車が続いた。ランブリー団長と上級精霊師達は馬車から顔を出し、満面の笑みを湛えて歓声に応えて手を振っている。
さらに大きな歓声が響き列の3台目にリリアーナの乗る屋根のない4頭立てのキャリッジが現れた。ハーフアップにした髪に宝石で形作った花飾りをつけ真っ白いドレスを着ている。
つばの広い白い帽子を大きく振り大歓声に応えながら進んでいった。
「すげえ、まるでパレードだな」
「そりゃそうさ、この国の救世主様の出発だからね」
「水の聖女様、頑張れ~!!」
隊列の後方には下級精霊師達と学園生達。引き抜きに応えた精霊師数人は、ナザエル枢機卿達から目を背けながら居心地悪そうに進んでいった。
荷馬車を含め12台の馬車と前後を護衛する精霊師達が広場を出発し終わる頃には退屈した王都民は家路に着いていた。
「さて、気合を入れて出発するぜ!」
「はい!!」
のんびりと順番待ちしていた聖騎士達がナザエル枢機卿の気合いで一斉に並んだ。
公爵家には貴族達から贈り物がひっきりなしに届き教会に届く嘆願書も増えた。
平民達はどちらが本物の水の聖女なのか賭けをはじめた。
「俺はリリアーナ様だな。だってよぉ、ローザリア様ってのは学園にも行ってないってよ」
「リリアーナ様は王太子殿下と仲がいいんだってさ。だったら王家が後ろ盾になるってことだろ? 王家がついてる方が本物さね」
「俺はローザリア様だな。教会がついてりゃ怖いもんなしだろ」
その陰では聖騎士や精霊師の引き抜きや器物破損がはじまった。情報遅延や進路妨害などで教会の通常業務に支障が出始め、教会内部も意見が真っ二つに割れてしまった。
「ナザエル枢機卿やナスタリア神父が間違っていたら教会はどうなるんだ?」
「目撃した全員がローザリア様が偉業を成し遂げたと言ってたんだし」
「今は全員がリリアーナ様の偉業だって言ってるぞ?」
ローザリア派とリリアーナ派は【教会VS王家&公爵】の形相を示し平民達は道に座り込んで大声で自分勝手な意見を言い合う。聖職者達は仕事をするよりも噂話をしている方が長くなっていった。
ローザリアとリリアーナの領地支援チームのメンバーが決定した頃には皆疲れ果て、それまで妨害工作に悩まされていた聖職者達はホッと安堵のため息を漏らしたのだが⋯⋯。
ローザリアの支援チームはナザエル枢機卿をリーダーとした教会の聖職者のみで構成された。
対するリリアーナの支援チームは王宮精霊師団のランブリー団長を筆頭に王宮精霊師の精鋭と成績が上位の学園生が参加する大所帯。
「なんか教会虐めみたいじゃねえか? 精霊師の数が違いすぎるよな」
「リリアーナ様は力があるから大きな領地に行くんだってさ。それで人が多いらしいよ」
「いくら教会でも王家や公爵家にゃ勝てねえよな」
「ローザリア様は僻地担当だろ? 賭けの結果は決まったようなもんじゃねえか」
真っ青に晴れた晩夏の空の下、二つのチームが王城前の広場に整列した。
「リリアーナ!!」
「リチャードさまぁ!」
支援チームの先頭に立っていたリリアーナの元にリチャード王太子殿下が駆け寄った。
「気をつけて行くんだよ。リリアーナがこの国の水の聖女だってみんなが知ってるんだ。つまり⋯⋯リリアーナは誰よりも大切な存在だって事」
「ありがとう、リチャード様。私頑張るね」
「頑張らなくていいよ。のんびりしててもリリアーナなら問題ないさ。お土産楽しみにしてる」
「ええ、最初に行くのはバーンデルム公爵領だから綺麗な宝石が一杯でしょ? すごく楽しみなの。リチャード様の翠眼と似たエメラルドを見つけたら送るわね」
どうやら物見遊山に行くらしい⋯⋯。
(初めてお顔を見た。王妃似かな?)
リチャード王太子は優しげな顔立ちで少し長めのサラサラのブロンドを掻き上げリリアーナを見つめていた。
(可愛いリリアーナと並ぶとまるで絵本の中から出てきたみたい)
「リチャード王太子殿下、お願い致します」
「ああ、分かった。じゃあリリアーナ、帰ってくるのを待ってるよ」
颯爽とリリアーナに手を振って壇上に上がったリチャード王太子は、手にした書類を読み上げて盛大な拍手に包まれ帰って行った。
「土産をねだって見送りもしねえで帰って行きやがったぜ」
宰相の号令でリリアーナのチームが出発した。
王国精霊師団の旗と公爵家の紋章の入った旗を掲げた王国軍の後を精霊師の乗った馬車が続いた。ランブリー団長と上級精霊師達は馬車から顔を出し、満面の笑みを湛えて歓声に応えて手を振っている。
さらに大きな歓声が響き列の3台目にリリアーナの乗る屋根のない4頭立てのキャリッジが現れた。ハーフアップにした髪に宝石で形作った花飾りをつけ真っ白いドレスを着ている。
つばの広い白い帽子を大きく振り大歓声に応えながら進んでいった。
「すげえ、まるでパレードだな」
「そりゃそうさ、この国の救世主様の出発だからね」
「水の聖女様、頑張れ~!!」
隊列の後方には下級精霊師達と学園生達。引き抜きに応えた精霊師数人は、ナザエル枢機卿達から目を背けながら居心地悪そうに進んでいった。
荷馬車を含め12台の馬車と前後を護衛する精霊師達が広場を出発し終わる頃には退屈した王都民は家路に着いていた。
「さて、気合を入れて出発するぜ!」
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