4 / 10
地下の狂宴
参加
しおりを挟む
狭い廊下を進むと、そこには20畳ほどの大きめの部屋があった。壁の一面がガラス張りになっていて、向こう側は暗い。ガラスのこちら側では、見た目ふつうのサラリーマンのような男たちが5、6人程度、椅子に腰掛けて思い思いに過ごしている。スマホは没収されているので、全体的には暇そうだ。ワインやビールなど、酒を飲んでいる人間が多い。
俺も彼らと同じように、椅子に腰掛けて何かを待つことにした。壁際に設置されたドリンクサーバーで飲み物を得る。どうも酔う気にはなれなかった。周りを観察して立ち回りを間違えないようにすること、それで精一杯だった。
十数分ほど経って、ガラスの向こうがライトアップされた。遊佐が言っていた通り、始まったのはストリップで、アングラなロケーションにお似合いの場末感ある粗末な演出と演技だった。浅草などにある今どきのストリップ・ショーとは違い、ただ裸の女がよくわからない動きで身体を見せるだけの雑なショー。粗末な台の上、単色の光が白々と肌を照らす。
だが、それらのいずれとも決定的に異なるのは、演者が今をときめく第一線の人気女優であることだった。
ろくにドラマや映画を観ない俺でも知っている、なんならさっき街で三度は広告で見かけたであろう、国民的女優。その裸体が、ガラスを隔てて艶かしく動いていた。
……興奮よりも、恐ろしさが勝つ。
あまりの超現実に、俺は急速に疲弊した。
しかしその一方で、その裸体を脳に刻むべく、凝視した。
周りの人間に倣い、飲酒もした。
そして15分のショー・プログラムが終わり、彼女は一礼して舞台を降りた。ガラスの向こうの照明が全灯する。すると、奥に扉があるのがわかった。そしてその扉が開き、数名の男たちーー彼らもまた、風貌はふつうのサラリーマンだーーが、裸で乱入した。
そのうちのひとりがおもむろに女優に近づき、そして、キス。
そこまで見届けたところで、ガラスを覆うように幕が下ろされた。
俺も彼らと同じように、椅子に腰掛けて何かを待つことにした。壁際に設置されたドリンクサーバーで飲み物を得る。どうも酔う気にはなれなかった。周りを観察して立ち回りを間違えないようにすること、それで精一杯だった。
十数分ほど経って、ガラスの向こうがライトアップされた。遊佐が言っていた通り、始まったのはストリップで、アングラなロケーションにお似合いの場末感ある粗末な演出と演技だった。浅草などにある今どきのストリップ・ショーとは違い、ただ裸の女がよくわからない動きで身体を見せるだけの雑なショー。粗末な台の上、単色の光が白々と肌を照らす。
だが、それらのいずれとも決定的に異なるのは、演者が今をときめく第一線の人気女優であることだった。
ろくにドラマや映画を観ない俺でも知っている、なんならさっき街で三度は広告で見かけたであろう、国民的女優。その裸体が、ガラスを隔てて艶かしく動いていた。
……興奮よりも、恐ろしさが勝つ。
あまりの超現実に、俺は急速に疲弊した。
しかしその一方で、その裸体を脳に刻むべく、凝視した。
周りの人間に倣い、飲酒もした。
そして15分のショー・プログラムが終わり、彼女は一礼して舞台を降りた。ガラスの向こうの照明が全灯する。すると、奥に扉があるのがわかった。そしてその扉が開き、数名の男たちーー彼らもまた、風貌はふつうのサラリーマンだーーが、裸で乱入した。
そのうちのひとりがおもむろに女優に近づき、そして、キス。
そこまで見届けたところで、ガラスを覆うように幕が下ろされた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる