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3話:美人とイケメンには気をつけろ
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腐臭と血の匂い。そして、鉄の味が舌に触れた気がした。
開いた扉の先――昼間なのにどんより薄暗く、家具も何もない一室
ただ、そんな疑問なんてどうでもいいような光景がルトの視界を奪った。部屋の中央、椅子に座りこんだ人とも判別できないような死肉。腕なのか足なのかも曖昧で、服すらも裂け、肉は崩れ、骨が覗いている。腰掛けられた椅子を伝って、血が地面に広がっている。そして、床全体に広がる魔法
「この魔法陣は......召喚魔法......?」
ルトは一歩だけ足を踏み入れ、手元に浮かぶ記録用の羽ペンを止めた。
そのとき――
「……見たわね?」
背後から、女の声がした。反射的に振り返る!だがそれよりも早くルトの腹部目掛けて一撃が放たれる。
ドンッッ――!!
蹴りだ。硬質な音とともに、ルトの身体は室内に吹き飛ばされ、奥の壁に激突した。
埃が舞う中、何事もないかのように佇むルト。直撃のその刹那、両手で蹴りを防いでいた。当たったら悶絶、もしくは内臓の損傷は免れない程の一撃。蹴りを放った張本人は、扉の向こうに立っていた。背丈はルトより頭3つ分高い。
肩幅は男のように広く、筋肉質な体つき。顔立ちは整っていて、艶やかな黒髪が揺れ動く。
そして、女は軽く笑った。不意に、不敵に、不遜に。ただ一言。
「……あら、頑丈ね」
野太く響く声は優しそうな猛々しいような曖昧な声色だった。
ルトは即座に体勢を立て直すと、咳払いをひとつ。
「すまない、たまたま通りかかっただけで……私は、ただの卑しい商人さ」
「ふぅん? ただの商人が、私の蹴りを受けて……ほとんど無傷だなんて――」
女は目元を細め、にやりと笑った。
「すっごく、不思議ね」
言葉に、刃が混じる。ここで逃げは通じないと悟ったルトは、溜息をひとつ吐き、姿を変えた。
小柄で中性的な青年の姿へ。先ほどまでの“商人”の影はどこにもない。
「あら、素敵な坊やね」
顔に手を当てがい、頬を伝い唇に這わせる妖艶なまでの仕草。そんな所作を横目にルトは一言尋ねた
「情報を得たいだけだ。……交渉の余地は?」
「あるわよ」
女はにこりと笑った。
「――私に勝ったら、教えてあげる♡」
ーー次回へ続く。
開いた扉の先――昼間なのにどんより薄暗く、家具も何もない一室
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「この魔法陣は......召喚魔法......?」
ルトは一歩だけ足を踏み入れ、手元に浮かぶ記録用の羽ペンを止めた。
そのとき――
「……見たわね?」
背後から、女の声がした。反射的に振り返る!だがそれよりも早くルトの腹部目掛けて一撃が放たれる。
ドンッッ――!!
蹴りだ。硬質な音とともに、ルトの身体は室内に吹き飛ばされ、奥の壁に激突した。
埃が舞う中、何事もないかのように佇むルト。直撃のその刹那、両手で蹴りを防いでいた。当たったら悶絶、もしくは内臓の損傷は免れない程の一撃。蹴りを放った張本人は、扉の向こうに立っていた。背丈はルトより頭3つ分高い。
肩幅は男のように広く、筋肉質な体つき。顔立ちは整っていて、艶やかな黒髪が揺れ動く。
そして、女は軽く笑った。不意に、不敵に、不遜に。ただ一言。
「……あら、頑丈ね」
野太く響く声は優しそうな猛々しいような曖昧な声色だった。
ルトは即座に体勢を立て直すと、咳払いをひとつ。
「すまない、たまたま通りかかっただけで……私は、ただの卑しい商人さ」
「ふぅん? ただの商人が、私の蹴りを受けて……ほとんど無傷だなんて――」
女は目元を細め、にやりと笑った。
「すっごく、不思議ね」
言葉に、刃が混じる。ここで逃げは通じないと悟ったルトは、溜息をひとつ吐き、姿を変えた。
小柄で中性的な青年の姿へ。先ほどまでの“商人”の影はどこにもない。
「あら、素敵な坊やね」
顔に手を当てがい、頬を伝い唇に這わせる妖艶なまでの仕草。そんな所作を横目にルトは一言尋ねた
「情報を得たいだけだ。……交渉の余地は?」
「あるわよ」
女はにこりと笑った。
「――私に勝ったら、教えてあげる♡」
ーー次回へ続く。
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