【続編】第二側妃様付きの侍女は嘘を見抜く~転生した元プロファイラーは行動心理学でチートしながら悪を暴く

きのと

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第15話 過去を捨てた老人-5-

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カナナラ国と国境を接するトルーパー地方には、圧政に耐えかねて国境を越えたカナナラ国民が多く住んでいる。
そして、そういった密入国者を支援する団体もある。
難民支援施設を作り、衣食住の世話をしたり職探しを手伝ったりしている。

なぜ密入国者を逮捕しないのか、国外に追放しないのかと思うだろう。
彼らを送り返したら確実に処刑されるので、人道的に救済するべきということもあるが、実は経済的な事情もある。
トルーパー地方には広大な森林が広がっており、おもな産業の一つに林業がある。
しかし、大木の伐採は危険なうえ重労働なので、なり手が少ないのだ。
その人手不足を埋めてくれているのがカナナラからの難民だ。
国は安い労働力を手に入れるのと引き換えに、密入国には目を瞑っている。
よって、犯罪でも起こさないかぎり強制送還されることはない。

第8旅団に襲われたトカラ村の生き残りの人たちもそんな助けを受けて今も暮らしている。
そして『戦犯を許さない会』を結成し、今も第8旅団の残党を探している。

資料からわかったことは、火災の時に刑務所から逃げ出した戦争犯罪者は8名。
そのうち生死が不明なものは5名。

行方の分からない戦争犯罪者の似顔絵や身長などの特徴を記されている手配書もあった。
その中にダニエル・スミスと特徴が一致するものがいた。
本名はフレッド・クーパー、脱獄した当時の年齢は45歳。
陸軍所属で、識別番号は15794。
遺体のスミスは太っていたが、手配書では細身で輪郭もすっきりしている。
短髪でおでこは広め、しっかりとした眉、くっきりとした二重の目、鼻も大きく、唇も厚めだ。

「ん?」

ペンを手に取り、似顔絵に肩にかかるくらいの長さの髪を描き足す。

「ミアさん、何やっているんですか?」

ラウル様が不思議そうに手元をのぞき込む。

「アイザック様!これ見てください!」
「……ドクターか?似ているな」

ダニエル・スミスの遺体は目は閉じられていたし、顔の下半分は髭で隠れていたから気づかなかったが、顔のパーツがそっくりだ。

ーーーーーー第8旅団の事件のころは、ドクターは生まれる前か赤子

「もしかして……」

裁判の記録と被害者リストを探す。
ダニエル・スミスことフレッド・クーパーは多くの少女を暴行していた。
そのうちの一人マリーという女の子はわずか12歳で被害に合い、妊娠し、国境を越えてから9か月後に男児を出産している。
とても育児ができるような状況ではなかったため、赤ん坊は難民支援者の夫婦の家に引き取られた。

「まさか、これが動機でしょうか……」
「確証はない。本人に聞いてみるしかないか」

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