宝箱を開けたら

riki

文字の大きさ
35 / 41

33.金の宝箱

しおりを挟む
 いつまでも怖がっているわけにはいかない。ちょうどレノルがいるわけだし、ここで宝箱を開けることにした。

 一応、レノルに確認を取る。

「別に構わない。私がいることで安心できるなら付き合おう」

「助かる」

 3つの宝箱をマジックバッグから取り出す。目の前に金の宝箱が3つもあるという光景は、昔では考えられなかったなと苦笑いを浮かべながらも声に出したくなるほどの達成感が湧き上がる。

 まず1つ目。特に問題なし。
 宝箱に入っているものは基本的に宝石、鉱石、魔石、武器、防具、アクセサリーだ。
 稀にオーブと呼ばれる力を封じ込めた宝石が入っていることがある。

 オーブを砕いた人間に、封じられていた力が宿るらしいが、実物を見たことはない。
 宝石はギルドに売る。気に入ったものは鍛冶屋で加工してもらってアクセサリーや武器に装飾したりする。

 鉱石は鍛冶屋に持って行って武器を強化したり、自分だけの武器を作ってもらうため、売らずに集めてたり、いらなければ鉱石もギルドで買取を行なっているので売る。

 今回入っていたのは宝石がいくつかと、鉱石はなく、鞘と柄に宝石が装飾された剣、真ん中に宝石が埋め込まれて細やかな絵が描かれている大盾、金色の所々に宝石が埋められたプレートアーマー、小さな宝石が埋め込まれた指輪と金色のネックレス。

 高値で買い取ってもらえそうなものばかりだ。指輪とネックレスにはこれといった能力はない。稀にマジックアイテムと呼ばれるアクセサリーが入っている。

 俺にはマサがいるので詳しいことまで分かるが、普通の冒険者は片手に調べたいものを持って、反対の手に冒険者カードを持って確認を行うと、どのようなものか大体のことが分かる。

 2つ目は、オーブだけが入っていた。
 マサに鑑定してもらったところ、闘気という力を得ることができるそうだ。
 これはオーギスに渡すことにした。怪力に闘気が加われば最強だとマサに言われたからである。

 最後。金の宝箱を開けると、視界が光に覆われた。目を開けていられない。
 煙は出ていないようだが、身に覚えのある感覚に襲われる。
 まさかーーー

「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!! みんなの~アイドル! 女神様だよ!! ノッてるかーい!? イェーイ!!」

 宝箱の中から派手な服装の女性が現れた。

「呼んどらんわ!」

「レーちゃんいたぁ~い。久しぶりの再会なのにひどいよ~」

 俺たちはあまりの出来事に動くことができなかったが、レノルは宝箱から出てきた女性に飛び蹴りを食らわせた。

 飛び蹴りを食らって吹き飛ぶ女性を目で追うが、あまり痛そうにみえない。
 服に汚れはなく、ゆっくりと起き上がって近づいてくる。

「何しに出てきた? ダメ神」

「ちょっと挨拶にだよ~。せっかく迷宮で宝箱を開けてもらったし、会っておこうかと思ってさ。やあやあ、アドくん。未来を変えた者よ。初めまして、私は女神です。名前はないので、女神様って呼んでね? 創造主でもいいんだけど、女神様の方が可愛いでしょ?」

「ど、どうも?」

 なんとか声を出せたが、なんといったらいいのかわからないほど、ショックが大きい。
 これが女神? 創造主?

「そっちが勇者くんだね。やっぱりまだまだ弱いね。予想外なことにあの子を手に入れちゃってるし、大丈夫でしょ。頑張ってね。
 こっちがオーギスくんだよね。さっき出てきた大盾は君が使いなさい。それでみんなを守ることができますよ。君なら大剣と大盾、両方を扱える力があるからね。
 次は、ルナちゃん。私の力をちょっとだけ貸してあげる。好きな人をちゃんと守れるようにね。時々神託あげちゃうから、楽しみに待っててね。
 それから、フィーちゃんにはこれね。この杖は貴女の力を最大限引き出してくれるよ。最初は扱いに困るかもしれないけど、ちゃんと練習すれば使いこなせるからね。
 双子ちゃんにはこれね。お揃いのネックレスだよ。攻撃をなんでも跳ね返しちゃうマジックアイテムだから、無くしちゃダメだよ?
 そんで、ルーちゃんには、悪魔と言ったら槍でしょ! この槍は突いてもよし、殴ってもよしで、杖としても使える万能武器だよ。まだ魔法はうまく扱えないかもだけど、練習すれば大丈夫だから。
 最後に飛竜達ね。やっぱりお約束はやっておかないとね。大きくなったら人化出来るようにしてあげるね。パパ達をしっかり守れるようにいっぱい食べて大きくなるんだよ?
 いやぁ~何十年ぶりかに喋ったから疲れちゃった~。じゃあ今日はこの辺で。バイビ~!!」

 こちらが声を出す余裕を与えることなく、女神様は宝箱の中に帰っていた。

「あ、1つ言い忘れてたよ! この宝箱売らないでね? 約束だよ?」

 宝箱から顔だけ出して、言い終わると顔が引っ込む。
 なんだろう。話を聞いていただけなのに、すごく疲れた。

「やりたいことだけやって帰ったか。昔から変わらない奴だ」

「今のが、レノルが言っていた神なのか?」

「そうだ。認めたくはないが、私たちの親と呼ぶべき存在だ。この世界を作った創造主。それがあのダメ神だ」

 ダメ神。ぴったりだと思ったのは、俺だけじゃないだろう。

「テンションの高い女神様でしたね」

「昔はもっとおとなしかったのだが、前の勇者に影響されてか、自分をアイドルと言い出してな。異世界の文化を詰め込んだ迷宮に引きこもっているそうだ。テレビやネットと呼ばれるもので異世界の知識を得ていると言っていたな」

「迷宮のどこかにあるんですか!?」

 マサの食いつきがすごい。テレビやネットというのは、どんなものなのだろうか?

「どこかにあると思うぞ?」

「俄然やる気が出てきましたよ! さっさと2の迷宮と3の迷宮を攻略して、この迷宮を完全攻略してやります!」

「うむ。よろしく頼むぞ」

 マサの力を使って、妖精の国から家の庭へ転移する。

 空を見上げると夕日が綺麗だ。
 明日から、迷宮の攻略をすることにしよう。
 なんか、疲れた。

『『『はぁ~』』』

 ため息が出るのは、仕方ないよな。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

処理中です...