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結婚からの
二十七
しおりを挟む邪神と呼ばれた者
私はいつからかこの地で食物や食用の鳥などを育て食してきた。
遠くにいる女神も偶に私の料理を食しに来る。その手には、魔獣の肉や森の果実をタップリ入れたカゴを持って。
彼女の神殿は森の中にあるので人間が入り込んでくることは殆どない。
話し相手が居なくて寂しいのかと思いそうでもないらしい。
ただ私の食事がメインで来ているのだと他の神々に教えられた。まあ、満足してくれるのならそれに越した事は無いが。
私の欲は強い。それは創造された時からで、後に生み出された人間が持つ物だからと説明もされていた。
だからといって他の神々や人間の迷惑といった事をしている訳ではない。
食欲が強く出るので食物の確保が一番で、農地を広げていけば次第に人が集まり村が出来た。
皆が皆優しい者達で、その時採れた食材を供物として持ってきてくれたり、お礼として珍しい果実などを与えたりもした。
その他の欲求が無かった訳では無いが、そういうのが出てくる前に他の神々に協力してもらい欲求を満たした。
まあ、色欲はどうしようも無かったが。
それでも私の料理が美味しいからと食べに来る女神も居るほどこの生活には満足していた。
そんな生活に影が差し始めたのはいつも私の料理を食べに来る女神がやって来なくなったのだ。
週一、二週に一度は来ていたのに来なくなるとは何かあったのかと思い他の神を介して連絡を取った。
仲の良い神は他にも居たので嘘をつかれることは無かったが、数人の神々結託して神殿に彼女を閉じ込めている。と連絡を貰えば、どう言う事なのかと天界に問い詰めに行った。
帰ってきた答えは、仕事をしないから。だそうだ。
何をふざけたことをと返す前に自身の神殿に返された。
天界に行こうとしても道が開けず。創造神は留守にしているので連絡が取れず八方塞がりになってしまった。
力のある神の一人が、創造神に話をすると言ってくれたがいつ戻るか分からないかの方を待ち続けるより、彼女を助けて欲しいと願った。
彼も一度彼女の神殿に行ったが、結界が強力過ぎて入り込めなかったと言っていた。
ただ、物凄く元気そうで私の料理を楽しみにしている事を教えてくれたので、気長に待つ事にした。
彼が去り際に、他の神々が何を企んでいるのか分からないので注意するようにと忠告してくれた。
だが、私は平和に慣れ過ぎて、数百年の年月の間に忘れてしまっていた。
そんなある日村に勇者を名乗る一行が訪れた。訝しみ、見つかっていない村人には絶対姿を見せるなと釘を刺し、何の用かと尋ねた。
理不尽にもその者達私に襲い掛かり、更には私の見方をした村人にまで手を出した。
初めは四人だった筈の者達が次第に数を増やし、更には何の抵抗もしていない女子供にまで斬りかかり辺りを血で染めていった。
そして神の身である私に瀕死の重傷を負わせた段階で、奴らは私にこんな事を言った。
「はっ、ざまぁねえな。お前みたいなのが本当に神か?オレ達に力を与えてくれたあのお方の方がよっぽど神だ」
「本当に、神殺しの力まで与えてくださって。これで私達は英雄ですわ、邪神殺しの」
神殺しの力?彼女か?いや彼女の訳がない。彼女は人を使わない、自分が楽しめないことは絶対にしない主義だ。
では誰が?
ああ、そうか。私の事をよく思っていない者達が居たな。
アイツらか
赦さない。アイツらも、何の罪もない村人達を殺していったコイツらも。
私の欲受け取るがいい!
欲。欲には色々ある。今回その欲の全てを自信を英雄と宣った者達が受ける事となる。
三大欲の睡眠欲、食欲、性欲。
その他にもある中で最も危険なのが攻撃欲求。
人を傷つけることで愉悦を感じるこいつらにはもってこいだ。
欲に溺れ身を滅ぼすがいい。
村を滅ぼした約20の人間は国に各々の国に帰り、神殿から帰った後様々な事件を起こし処刑されている。
そんな事があったとは露知らず、今迄行けなかった分の食材を持って彼の元を訪れる女神。
道中自分を閉じ込めた神々をどう調理しようか考えながら、美味しいご飯にありつけるのを疑いもしなかった。
だが彼の神殿に着いた時その惨状に唖然とし持っていたもの全て落としてしまった。
男神を探して神殿の中を見回るもいない。外を探すも村人の遺体が多く中々見つけることが出来ない。
必死になって探していると、隠れていた村人が彼のいる場所を教えてくれた。
その際この惨劇の事も教えてくれた。原因は他の神々で間違いない。自分が何もしていないからと嫉妬してこんな事をするなんて。怒りしか湧いてこない。
辿り着いた先で彼は消えかけていた。慌てて駆け寄り神力を流す。
なみだが頬を伝う。
「起きて、お願い起きて。美味しいご飯用意してくれるって約束したじゃない。
ねえ起きてよ。お願い」
薄れていく身体。色の無い顔、その目が薄ら開かれる。
「待って、もうちょっと、ううん、私の神力全部あげるから。頑張って」
「 」
何を言ったのか分からない、でも身体は私の手をすり抜けて消えていく。
「あ、あ、まって、まって、お願い消えないで」
彼女の手に残ったのは透明な光の玉。それは彼の魂とも呼べるもの。神力の塊。
彼女はそれを大事に掌で包み込み辺りを見渡す。
彼が手塩に掛けて育てた作物は荒らされ焼かれ無惨な姿になっていた。
殺された村人も埋葬しなければいけない。
女神は自身の力を使い、亡き者を丁寧に葬り作物も甦らせた。
その後生き残った者にこの地を任せ自身の神殿に戻る。
彼の魂を人間の中で休ませれば彼が復活するのでは無いかと。
だが人間の寿命は短い。それに弱い。誰が適任かを見極めなければいけない。
そんな中、私の神殿がある国の王族が理由がわからず弱っていくので助けて欲しいと祈りを捧げにくるものがあった。
調べてみれば彼を襲った者の中の一人と分かった。
女神はそれを利用した。
その者の子供に彼の魂を入れようと。
王宮の一角の離宮に結界を張ったのでそこで暮らすように伝える。
但し、結界の外に出れば命は無い。子供にもそれは引き継がれる。
そしてもし子供が生まれなければ王の子にその呪いが引き継がれるであろう。と
彼の魂が力を取り戻せば自然と結界が壊れるだろう。もしくは結界の外に連れ出す者が現れる。
「私が見守って居てあげるから、早く回復して美味しい料理を食べさせてね?
今はゆっくりおやすみ」
こうして何代も続く呪いが完成する。単に愚かな神々と人間の手によって。
かの男神を死に追いやった神々は創造神により人間にされその生涯を終える。
女神の行動も確認しているが、それについてはお咎めないとのこと。
数十年と言う月日が流れ女神の森に赤子が置き去りにされる。
赤子は女神に直ぐ保護され加護を与えられる。
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