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結婚からの
二十八
しおりを挟む元夫こと、ソーシアルは血眼になって彼女を探していた。
その他為なら戦争も厭わない。
この執着がどこから来るものなのかは分からない。だけれども、逃しては行けないのは確かだ。
森の中で魔獣を狩る姿を見てからずっと彼女に惹かれている。
食事処の料理人としても腕を奮っているのも知っている。
一年観察した。手に入れたいと、自分の物にしたいと本能が叫ぶ。
王太子が神殿に祈りを捧げに行く事になった時、私は同行する気は無かった。
私が居なくても冒険者にはそれなりの者を選ぶし、近衛も王太子付きから選ぶ手筈になっていた。何の問題もないはずだった。
ところが出発の3日前になり彼女が冒険者の一人として参加することを聞き、近衛も名を挙げていたものが次々体調不良に陥った為、騎士団の中から選ぶ事になった。
彼女が行くなら勿論私も同行する。このチャンスを逃してなるまいと全ての雑務を終わらせた。
騎士に関してはもう一人の騎士である辺境伯令嬢目当てなのが見て取れらので近衛隊長に面倒を任せた。
むざむざ惚れた女を穢されることはしないだろう。そう踏んで。
道中は彼女が主体となり戦闘を繰り広げたので此方の体力が削られる事はなく無事に進む事が出来ていたのだが、途中から見知らぬ女が加わっていて足手纏い一択だった。
岩壁の上にある建屋で休憩という事になったとき、女は登れないと宣い全員が無視を決めつけた。
まあ、ただ一人うちの若い騎士は物言いたげであったが。
結局一人でロープを登り付いてきた女をいないものとして休む用意をし始めた。
彼女はとっとと部屋に休みに行ったが、途中であの女ご飯は?と言った。彼女の返答は自分で用意しろ。当たり前である。あそこまで世話になっておきながら感謝も無いのだ、聞く耳持つ訳ないだろう。
冒険者には世話になっているので、令嬢騎士と隊長が簡単につまめるものを用意してくれた。全員がありがたくいただいたのだが、女は不服であったらしい。
まあ、女なのだから料理くらいしたらどうだと誰かが言えば偏見だと返ってきた。
戦闘も出来ないのに何を言っているのか。誰かがそういえば何も言えなくなったのか、料理場に消えていった。
その後酒を見つけたと、樽を持って来て此処まで来た事を祝おうと言い出した。
どんな物かも分からない代物を王太子に無理矢理飲ませようとするものだから引ったくって私が飲み干した。途端に身体が熱くなり女に魅せられそうになるが何とか耐え忍び、王太子を部屋に追いやった。
女も同じ物を飲んでいたらしく不味いと思い、こいつも部屋に追いやった。
事情を察知した冒険者達はそれぞれの思惑に女の部屋に入っていった。
自業自得である。
令嬢騎士も飲まされていたようだが、隊長が上手くするであろうと、建屋の裏手の泉で毒抜きをする事にした。
外の風は気持ち良く、保つかと思っていたら、彼女が現れ手首に短刀を当て引こうとしていた。
思わず刀を落とし口付ける。
ああ、彼女も同じ物を飲まされている。
そこからは部屋に連れ帰り彼女の身体を堪能した。初めて味わう女性の身体に自身が溺れていくのがわかった。
意識が途切れる前に名前も聞き出した。本名では無いだろうが探す手立てにはなる。
その後も幾度と彼女を抱き自身を注ぎ込む。私から離れないように。
女神の神殿に辿り着き祈りを捧げた後、王宮に連れ帰ろうとしたら逃げられた。失態だ。
国中で探すも見つからず、食事処や冒険者にも当たる。辺境伯の方にも探りを入れたが良い報告は無かった。
苛立ち、王太子を国王に即位し隣国迄足を伸ばす。だがやはり見つからない。
そんな時祖国とは離れた地で子連れの女性を見かけた。年数は経っているが、私が彼女を見間違える筈がない。
名前を聞けば平民でリーズラントと教えてくれた。
その夜宿にて彼女を襲った。もう逃さないという想いを込めて。
だが結婚を申し込んだ後に、私とはもう離縁している二度と私に関わるな。と返答が来るとは思わなかった。
その後また逃げられた。
仕方なく国に戻れば、王に苦言を呈された。
「もう、落ち着いたらどうだ?
ふぅ、そんなに欲しいなら女神の神殿で祈ってみろ。叶うかもしれんぞ?」
はっと王を見やり、その手があったとそこまで考えの回らなかった自分を殴りたくなった。
「いい案をありがとうございます。早速行って来ます」
止めに掛かる王を尻目に神殿を目指す。
リーズラント、今度こそ逃しませんよ?待っていてくださいね
辺境伯領から神殿に向かうのに時間がかかると思っていたら、一日掛からず到着することが出来た。
歓迎してくれているのかどうかは分からないが、ありがたく神殿の中に入る。
『今日はどうされました?』
直接頭に響く声に戸惑いを覚えるも、端的に要望を述べる。
「世界の時間を私が結婚式を挙げた直後に戻して欲しい」
『・・・記憶はどうしますか?』
「私とリーズラントの記憶はそのままで、時間だけ巻き戻して欲しい。出来ますか?」
『出来ますが代償が必要です。・・・そうですね。貴方には強い力が渦巻いているようなので、その力を代償として頂きます。宜しいですか?』
「構わない。それで彼女が手に入るなら安いものだ」
『分かりました。では、良い結末を期待しております』
「ああ、必ず彼女を手に入れ幸せになる」
その時の私はそう信じて疑わなかった。これが最悪の始まりになるとも考えもせず私は時間を戻してもらった。
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