35 / 58
廻る時
三十四
しおりを挟む血の通わない彼女を抱え神殿の中に入る。
石で出来た椅子の間を通り過ぎていくと燭台に灯が灯されていく。まるで歓迎されているかのように。
祭壇の前に来ると、リーの身体を祭壇のそっと上に横たえる。このまま死なせてしまうなんてことはさせたく無い。折角前は子供に恵まれたのだから、せめて今度もそうであって欲しい。
今回子供が流れたのは必然であったように感じてならない。本来なら起こり得ない事だと感じていたから。
彼女付きの侍女が一日傍を離れるとか、護衛がその時だけ付いていなかったとか・・・・・
一番は私の帰りが思うより遅くなったこと。本来であれば絶対に無い状況で起こった事。
政務の見直しや、領地の報告、隣国からの密偵の帰還など普段では考え慣れないことが重なった。誰かの意志が働いているかのように。
『まだだよ、まだパパには力を削いでもらわないといけない』
『じゃないとママが不幸になっちゃう』
そんな声が神殿内に響き渡った。
辺りを見回しても誰も居ない。只二つの淡い光が煌めいている。どこかで見たような暖かい光。だけどどこで見たのか分からない。
祭壇の前に跪き祈りを捧げる。
今度こそリーズラントと幸せになれるように、子供達とくらせるように。
名も知らない子供達。抱き上げたかった、その温もりを感じたかった。
燭台の灯りが揺らぎ炎が大きくなる。神殿内を隈なく照らし出すように。
『今回はどうしたのですか?』
「リーズラントが死んだ。毒を盛られて腹の中の子が殺されてしまって・・・」
『(呪いの効果が確実に今でている?)それであなたはどうしたいのですか?』
「もう一度時間を巻き戻してほしい、勿論記憶も」
『混乱して気が狂いませんか?(彼女其処まで精神強かった?)』
「問題ない。サポートする人間はいる」
『その自信がどこから来るのかは分かりませんが、良いでしょう。只今回は私も見張らせてもらいます。まさか亡くなるとは思ってもみませんでしたので』
「それは構わないが、貴女に仕事は無いのか?」
『(彼と同じ事を言うのね・・)私の仕事は恵みを与える事。だからこの国は飢える事をしらないでしょう?
まあ、仕事を放置しても良いのならそうするけど?』
「いや、すまない。変な事を聞いた。ただ何時も願いを聞いてもらっているように思うからつい」
『ああ、そういうこと。何時も聞いてる訳じゃ無いわよ。実際この神殿に辿り着ける人なんて限られているしね。それに叶える事の出来ない願いもある。
人の心ほど不安定な物は無いから、この間のも自信を与えたにすぎないのよ?』
「はぁわかりました。では今回彼女は死んでしまいましたが何か対価は必要ですか?」
『そうね・・・(まだ呪いは健在ね、然も威力が増している?)じゃあ、私を楽しませてくれる?どんな生き方をするのか見せてくれたらいい。私は観察するのが大好きだから』
「分かりました、貴女が羨むように頑張りますよ。ではお願いします」
『はいはい、じゃあ今度こそ楽しく生きてね?』
眩い光と共が彼らを包み込む。
後に残されたのは静寂。そして二つの淡い光。
私が思っている以上に彼の呪いは強い?掛けられている血筋の者が亡くなることが有ってもまさか伴侶が死ぬなんて
・・・呪いの力が周りに悪影響を与えている?でも、神が掛けれる呪いには限度が・・・
一度確認する方が良いわね
彼女を生き返らせるのに彼の呪いの力をかなり消費している。それに子供の魂を遺しておくのにもその力を使っている。
思っているよりも早く呪いが解けると思っていたけどそうでは無い?
取り敢えず一度上に行って確認しないと
バチッ
『きゃあ』
えっ?なんで?まさか・・・
バチッ
『うそ・・・外に出る事も出来なくなってる』
まさか・・・
『・・・・・繋がらない。なんとか連絡を取れるようにしないと。私は良くても彼の魂は護らなければ』
この神殿で思いつく限りの事をするも、他の神々や創造神に連絡を取れる事は無かった。
0
あなたにおすすめの小説
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
旦那様、彼は仕事において必要不可欠なパートナーなのです
ましゅぺちーの
恋愛
伯爵夫人フルールは、夫である伯爵と愛人の秘書に長年頭を悩ませていた。
何度夫に苦言を呈しても「彼女は仕事において必要不可欠なパートナーだから」と一切聞く耳を持たない。
困り果てていたそのとき、彼女は突然前世の記憶を取り戻した。
このままだと夫と愛人の真実の愛の犠牲になってしまう。
それだけは御免だ。
結婚五年目にして、彼女はようやく夫を見限り、新たな事業を立ち上げた。
そして事業を成功させたフルールの隣には、いつも同じ男が立っていた。
その男は誰なのかと問い詰める夫に、フルールはニッコリ笑って言った。
「彼は仕事において必要不可欠なパートナーなのです」と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる