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廻る時
五十一
しおりを挟む爺様のところには日没迄に到着することが出来た。どの様な手段を使ったのかは謎である。
長距離移動はお腹が張ると言うがそうでもなく、馬車の中は快適そのものであった。
どちらかといえば妊婦三人夫の膝を枕に寝ていた。図太いのが今のこの嫁達なのだ。
爺様の所では待ってましたと言わんばかりに歓迎され、何故か養父迄居た。
加護があっても絶対では無い。もしもの時の事を想定しておかなければいけない。
部屋は用意されていたのだが、夫と一緒と言うのがなんともいえない。
この三人の仕事は本当に大丈夫なのかと小一時間問いただしたくなる。
その後しばらく穏やかな時間が流れた。身体を動かすことは出来たし、抑制されなかった分今までよりも眠りが深い様な気がする。
夫が隣に寝ていても安心して寝れているのは私が気を許した証拠なのだろうか。
穏やかな日に妊婦三人でお茶をしていたら三人揃ってお腹が痛くなった。
それは一定で止み初めは気にならなかったが、次第に痛みが増していき間隔も短くなってきた。
次第に蹲り始めた私たちを見た侍女の一人が夫達を呼びに行き私たちはそれぞれの部屋に運び込まれた。
産婆と出産経験のある侍女が側につきあれこれ世話をしてくれる。
夫もそれに混じり手伝いをしたり・・・・はせず、大人しく私の手を握って痛みの波が引くのを待ってくれている。
ただ手を握って隣にいてくれている、それだけで嬉しかった。今迄そんな事をされたことがなかったせいもあるのかもしれない。
最初に痛みを感じてから約七時間後私は一人目の子を産み落とした。
元気に泣くその子は男の子で顔立ちは夫のソーシアルに似ていたが、髪の色は私のを受け継いだようだ。
その数分後にもう一人産み落とした。
此方も元気よく泣いてくれて、顔立ちは私に似ていて、髪の色は夫に似ていた。
二人とも目を開いていないのでどの様な色をしているのかはまだわからなかった。
後から話を聞くと、ホーネスと、ユーミリアの二人も同じ時刻に子を産み落としたそうだ。
どちらも男の子で元気が良く跡取りとなる事が決まった様なものだった。
此方の二人は既に目を開けていたらしく、それぞれ母親の方の色を引き継いでいた様だ。
産後の疲れがあるものの、身体が火照って眠れない私にソーシアルは少しひんやりした飲み物を用意してくれた。
一人になると子供達が別の部屋で寝かされているのがとても寂しく感じられ、如何にかして会えないものかと思案していたら、ふわりと部屋に風が入るのがわかった。
窓を見るといつの間にか開け放たれている。
私の感が鈍ったのか、それとも相手が上手なのか気配を掴む事が出来なかった。
起き上がり体制を整えようにも産後のせいなのか上手く身体が動かない。
重たい身体を何とか動かせば、目の前に居たのはメイヘル。
どうしてここに?と言う前に彼が持つ短剣が目に入った。何も映さない瞳と共に振り下ろされる短剣を見つめながら、ああ、これも夢だったのかと諦めにも似た感情が私を支配し、そのまま気を失った。
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