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悪役を演じて見せよ!

ヒロインはサイコパス

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 ガラムは1つ手を打つと、仕切り直しを提案した。
「これからの作戦を練りましょうか。では、物語の大筋はわかったから、敵の情報が知りたい。タマキとポンタはヒロインの情報を詳しく教えてくれるかしら」

 ポンタはタマキの膝に飛び乗った。ソラは配役変更で令嬢になったはずなのに、立ったままなのことに理不尽さを感じた。世の中うまくいかない。いや、まだ神様パワーで令嬢のドレスに変更されていないので、やっぱりそのままでいいと思いなおした。女装はまだ早い。

「まず、あの子には罪悪感とかそういうのがないんですよ。婚約者がいても好みの男子生徒だったら話しかけては浮気を繰り返す。ある日、人気のない中庭で泣いている女子生徒に話しかけたら、ヒロインにはめられて婚約を破棄されたって。でも、何でか男子生徒からの評判は下がらないんですよね。…もてる秘訣を教えてもらいたい」
幸いボソッと呟かれた最後の一言はポンタ以外には届かなかった。

「そう、それだけだったら、一概にサイコパスとは言えないと思うのだけど、ただの浮気者のような」
「えっと、それがエピソード6くらいで…、ちょっと色々ありすぎて、語りつくせないんですが…」
「あら、他にもどんなエピソードがあるのかしら」
 ガラムの合いの手に、タマキはうんうんと2つうなずいた。

 そこで、膝の上のポンタが顔をあげた。
「んっ! ポンタ、ルージュにぐるぐるぽんたっ」
 タマキの詳細説明によると、ルージュというのはヒロインの名前で、ピンク頭でついでに言うと頭の中もお花畑ピンクなサイコパスで中性的な美少女らしい。サイコパスは得てして美しいとソラは聞いたことがある。
 ポンタはその美少女ルージュに何かの拍子にぐるぐる振り回されて、ぽいっと投げとばされたらしい。ぐるぐるぽんたとはそういことらしい。なるほど、どういう状況か想像つかないことが理解できた。

「お外で寝てたら、ひっくりかえってたの。顔こわすぎ」
 どうやら外で寝ていたら、いつの間にか投げ飛ばされたようだ。ポンタは、それ自体よく状況が分からず、そこまで印象に残らなかったようだが、そのあとに見たルージュの顔が真顔で怖かったとのこと。
 すっかりトラウマを植え付けられてしまったたぬきは、かわいそうにタマキの膝の上でぷるぷる震えている。

「人様の相棒を躊躇せず、多分、邪魔だったからって、真顔で放り投げるとか、信じられないでしょ。あのヒドイン」
 タマキはというと自分の相棒が理由もわからず、放り投げられたことにこぶしを握り、打ち震えている。1人と1匹が連動して震えている姿に不謹慎ながらソラはほっこりしてしまった。

 エピソード6といった通り、他にもドン引きエピソードがてんこ盛りだったのだ。こうして、ヒロインルージュはサイコパス認定をされた。
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