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悪役を演じて見せよ!

課外授業3日目

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 課外授業3日目が始まった。いよいよ最終日だ!
 
 3日目は、予め2日目夜の見回りでタンクトップ先生からお達しがあって、午前中はそれぞれの班に分かれてレポートを完成させることになった。ただ、一旦班で集合しないといけないので、朝、広場に向かうことになっている。

 午後、先生たちのレポート評価審議中はお土産を買いに行ったり、妖怪達と交流したり自由に過ごしていいそうだ。最後に15時にレポートの評価発表が行われ、やっと帰れる。列車の中でお弁当の夕飯を食べる予定で、家に着くころにはお日様も落ちて暗くなっているかもしれない。本当に濃い3日間だ。

 午前中はレポートの作成だ。湖畔の近くにある人気のカフェでアイランのメモを元にレポートをかき上げている。普段はカフェでの長時間の勉強目的の利用は禁止されているが、課外授業中は湖畔周辺の飲食店は通達がなされていて、長時間利用が可能となっている。
 ここぞとばかりにソラはこの時を楽しんでいる。

「アイのメモは分かりやすくて良いね! これなら早くレポート提出できそうだね、ルージュさんは何か付け足すことある?」
 ふと顔をあげると、ルージュがソラをじーっと見ていた。

「ゔべっ、ルージュさんどうした?」
 サイコパスヒロインに凝視されるとか心臓に悪すぎる。

「いえ、アイラン先輩のこと、特別な呼び方しているなと思いまして…。私も同じ班だったのに少し寂しいなと思いまして…」
 まさかのルージュからの歩み寄りがあった。今までソラに興味なさそうというか、若干敵視している感じがしていたのに一体どうしたのだろう。何となく信じられなくて怖くなってしまったが、ソラは気を取り直して思い切ってニックネームで呼んでもいいか提案してみた。

「えっ、えっと、じゃあ、ルーちゃんって呼んでもいい? 僕のこともソラって呼び捨てでいいよ」
「はい、嬉しいです、ソラ。アイラン先輩もぜひ」
 まさかの快諾、おまけに上目遣い気味ににっこり笑いながら、膝タッチされた。どどど、どうした! 笑顔がとってもきれいで、女の子に慣れていないソラはどぎまぎしてしまった。ビークールだ、小太郎助けて!
 いや待て、これは、手玉に取られだしているってことだ。自分だけに向けてくれた笑顔なんて勘違いしそうになるが、これはあれだ、挨拶みたいなものに違いない、危ない危ない、勘違いするところだったとソラは自戒した。ヒロイン恐ろしい子!

 恋愛小説に書いてあった、ボディタッチをされた男性はタッチしてきた女性が自分を好きだと勘違いしやすいと。最近、ガラムの愛読書「愛と裏切りの狭間、カレンジュラの選択」をパラ読みで偶然開いたページに書いてあった。作中カレンジュラが言ってた、バカな男って…。大人な内容過ぎて、パラ読みだけど、ちょっと恋愛マスターに近づいた気がしたのに。
 自分もまだまだである。ビークール、小太郎助けて!

「わかった、ルーちゃんはこのグラフを作成して、ソラ、ここのページの手直しよろしく」
 さすがモテモテアイランは軽くあしらっている。そんな彼は熟女がタイプだ、残念だったなルーちゃん。ソラはレポートの手直しをしつつ、アイランのことを尊敬のまなざしで見つめたのだった。
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