うり坊すごろく記 ~もふもふは非常食要員なんじゃないかと最近うたがってます~

青山零

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悪役を演じて見せよ!

おかえり

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「ソラちゃん、お帰りなさい、合宿はどうだったの? あら! ネシぐるみじゃない。ママの時のネッシー柄とかなり違うのよね、あの時はね、2代目の子で黒くて真ん丸で白目の部分だけ色が違う謎の生物だったのよ」
 割と、ネッシーのフォルムにくくりはなさそうだ、初代が気になる。ネッシー二世は老衰だったそうで、皆で盛大に盆踊り大会にてお送りしたそうだ。いい話だ、そこに偶然、鯉太郎がやってきた時期が重なって、ネッシー三世が爆誕したらしい。

「おかえり。パパ、ソラはトラブルメーカーだから事件に巻き込まれやしないか、心配だったよ」
 両親にかなり心配かけてしまったようだ。合宿のスケジュールが過密だったので、寂しく思う暇もなかったけど、ひさびさに会えるとほっと安心する。今回はトラブルあんまり起きなかったから安心してくれい。…あんまりなかったはず…。

「おかえりー」
 レオナルドも出迎えてくれた。半ば社畜と化している兄がこの時間帯に家にいることが驚きだ。彼もまた家族思いのいい兄だ。

 3人にそれぞれ個別のお土産を渡して、ネッシー饅頭を食卓テーブルに広げると4人でお茶を飲みながら、発表会で準優勝したことや出会った妖怪の話で盛り上がった。

「それで、残念だったんだけど、最終日のレポートは賞取れなかったよ。参加賞はノートだけ」
 最終日のレポート結果は、リリアーナの班が最優秀賞を受賞した。彼女の班はほぼ湖畔全員と会うことができたようで、それはそれはレポートの読みごたえがあったようだ。賞品はなんと妖怪界のレジェンド電気鼠のペン立てと湖畔の果実詰め合わせとトロフィーが授与されていた。ネシぐるみよりも実用的でいいなー。
 優秀賞は眼鏡のルイスの班が貰っていた。彼はとてもまじめで、詳細なグラフや図が描かれていて、先生方に好評だったようだ。
 他の班は参加賞として、ネッシー三世が表紙のノートがもらえた。三世グッズの在庫処分かもしれない。四世のグッズ誕生が待ち遠しい。

 帰りの列車に乗り込もうとした時だった。勘之助やブーちゃんがお見送りに来てくれたのだが、泣かれてしまって、ソラ達も離れがたくなってしまうほど。
「ぐすっ…、また来てね!」
「ぐす…絶対、また遊びに来てください」
 そういわれたが、もう一度湖畔にいけるかの確約ができなかったので、メールのやり取りをすることになった。この世界、近場の交通手段が馬車とかロバなのに、携帯電話がある。不思議である。
 勘之助の待ち受けは家族写真、ブーちゃんの待ち受けはプレゼントしたネシぐるみの写真になっていた。2人ともいい子である。

 泣き虫2人は合宿を通じて、友達になった。今回の合宿は、現地民同士も仲良くなるきっかけになったようだ。こうやって縁が広がっていくことをソラは面映おもはゆく思った。
 この時初めて、もしこの97回目の挑戦が失敗した時、またこの2人との出会いをやり直すのかなと思うと寂しくなった。絶対に2人とは友達になりたい、けど、こうしてまた友達になれるとは限らない。今の状況は奇跡の上に成り立っているようなものだから。
 
 以前、タマキは言っていた。『ここまできたらあと3回失敗してみるのも面白いかな』と。彼女は強い、96回の失敗にめげていない。ソラだったら耐えられないと思う。

 今日パパママ、レオナルドに『おかえり』を言われて気づいた。たとえ、プロムを最後に3人と離れ離れになったとしても、彼らと家族でありたい。ソラは失敗したくない、そう切に願った。
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