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悪役を演じて見せよ!
毛帽子の行方
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体育館裏に呼び出されたソラは困惑していた。心配してついてきたエリヤも戸惑っている。
「ぬしらは毛帽子の有用性及び素晴らしさを認識しているじゃろうか!」
握りこぶし震わせながら、ヤト先生が熱弁している。そこには、うんうんうなずく、白岩先生もいた。どうでもいいが、どうして鬘を頑なに毛帽子といっているのだろう。
「言っておくが、エリヤと小僧、お主らも他人事じゃないぞ。嗚呼、悲しいかな、家系的にエリヤは必ずやM字となってゆくじゃろう。わしらは代々、むっつりな上、M字なんじゃ…。そして、小僧のそのふわふわの毛は若い頃はよいじゃろうが、細い上に少ない方じゃ…なくなってゆくじゃろう…わし分かる」
大分、いやな予告をされたものである。ついでに言うと、彼らの家系は代々、どMなんだとか。
「いくら顔が良くとも、歳を重ねると失われるものがあるのじゃ…。じゃが、ぬしらよ、絶望するでない、得るものもある。わしもミドルイースト間違えた…横文字は難しいのう…そうじゃ、ナイスミドルと言われ、中年になってからは男を磨き上げ、もてにもてたもんじゃ」
熱弁は続く。心なしか、白岩先生の目が潤み、紅潮している。彼は今、ここのところの不運続きだったことを思い出していたが、ヤト先生の熱弁により今後の希望を見出しかけている。心のよりどころみつけちゃったかもしれない。
「男を磨き上げる上で、毛帽子はなくてはならない存在なんじゃとわしはずっとそう思ってきた。神が与えたもうた素晴らしき贈り物じゃと。じゃが、この間、神のいたずらによってわしの毛帽子が飛ばされてわしは気づかされた…自然が一番じゃと…自然が一番じゃと…」
ヤト先生は大事なことなので、2回言った。
「白岩先生、ぬしも自然でいるのが一番じゃ。頑張りすぎてしまったんじゃろうな、わし、自然を推奨する。それにバーコードは時代遅れじゃ…」
白岩先生はついに男泣きして、服の袖で涙をぬぐっている。『はい、ふぁい』とひたすらうなずいている。ヤト信者が爆誕した瞬間だった。
「自然に戻るきっかけを与えてくれた小僧には感謝はしておる。同時に憎いとも思っておる。じゃから、小僧! ぬしはこの毛帽子を共に弔う責任がある!」
どんな責任だ…しかも、髪の毛が薄くなる宣言までされるなんて、ソラはそう思ったが、大人しく渡された鬘を受け取った。
「…ヤト先生、具体的に弔うってどうするんでしょうか」
「なに、この毛帽子をぬしに進呈しよう。今のうちに心して使うんじゃぞ、それからじじいになったときに、後継者に渡すんじゃ………ふん、髪の毛が蒸れて禿げちまえばいいんじゃ」
最後の方は小声で言っていたが、ソラはばっちり聞こえた。心の声が駄々洩れだった。とりあえず、一緒についてきてくれたエリヤの頭に乗っけてみたら、ちょっと前の鬘ありのヤト先生に似ていたので、エリヤも将来M字になるんだろうなと思った。
どうやらかわいそうな者を見る目をしてしまったらしく、せっかく心配してついてきてくれていたエリヤに申し訳ないことをしてしまった。素直に謝ったが、余計に傷つけてしまったようだ、髪の毛の問題は思春期のナイーブな男子にはあんまりしないで欲しいもんだ。
「ぬしらは毛帽子の有用性及び素晴らしさを認識しているじゃろうか!」
握りこぶし震わせながら、ヤト先生が熱弁している。そこには、うんうんうなずく、白岩先生もいた。どうでもいいが、どうして鬘を頑なに毛帽子といっているのだろう。
「言っておくが、エリヤと小僧、お主らも他人事じゃないぞ。嗚呼、悲しいかな、家系的にエリヤは必ずやM字となってゆくじゃろう。わしらは代々、むっつりな上、M字なんじゃ…。そして、小僧のそのふわふわの毛は若い頃はよいじゃろうが、細い上に少ない方じゃ…なくなってゆくじゃろう…わし分かる」
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ヤト先生は大事なことなので、2回言った。
「白岩先生、ぬしも自然でいるのが一番じゃ。頑張りすぎてしまったんじゃろうな、わし、自然を推奨する。それにバーコードは時代遅れじゃ…」
白岩先生はついに男泣きして、服の袖で涙をぬぐっている。『はい、ふぁい』とひたすらうなずいている。ヤト信者が爆誕した瞬間だった。
「自然に戻るきっかけを与えてくれた小僧には感謝はしておる。同時に憎いとも思っておる。じゃから、小僧! ぬしはこの毛帽子を共に弔う責任がある!」
どんな責任だ…しかも、髪の毛が薄くなる宣言までされるなんて、ソラはそう思ったが、大人しく渡された鬘を受け取った。
「…ヤト先生、具体的に弔うってどうするんでしょうか」
「なに、この毛帽子をぬしに進呈しよう。今のうちに心して使うんじゃぞ、それからじじいになったときに、後継者に渡すんじゃ………ふん、髪の毛が蒸れて禿げちまえばいいんじゃ」
最後の方は小声で言っていたが、ソラはばっちり聞こえた。心の声が駄々洩れだった。とりあえず、一緒についてきてくれたエリヤの頭に乗っけてみたら、ちょっと前の鬘ありのヤト先生に似ていたので、エリヤも将来M字になるんだろうなと思った。
どうやらかわいそうな者を見る目をしてしまったらしく、せっかく心配してついてきてくれていたエリヤに申し訳ないことをしてしまった。素直に謝ったが、余計に傷つけてしまったようだ、髪の毛の問題は思春期のナイーブな男子にはあんまりしないで欲しいもんだ。
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