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翌日から私の世界の中で、ピーターは、溶け込んでいた風景の一部の中から、「券売機の横の、白杖のピーター」として認識される様になった。
「ピーター」はいつも券売機の横に座って、静かにしていた。
時折人々が与えるコインを受け取ると、小さくか細い声で、「ありがとう」と、丁寧に礼を言ってた。
よく見ると、髪もきっちり五分刈りに刈り込んで、洗濯のされたいつも清潔そうな格好をしていた。おそらくホームレスでは、ないのだろう。
私が出勤する朝の8時にはもう階段に座っていて、どうやら毎日、2時頃に、母親と思しき女性が迎えにくる。
それが彼の毎日の様子だ。ちなみに、彼のコップの中に、紙幣が入っていたことは、一度もなかった。
人通りの多い東出口の、アグレッシブな物乞い二人組は、通行人の袖を引いたり、喉が渇いた、と言い続けて通行人にコーヒーをせびったり、タバコをせびったりして、まあまあ、紙幣のお金ももらっている様子だ。
(こんなところでも競争社会って、、いやだな、、)
自己アピールばかりさせられた就職活動を思い出す。
高校時代に、たまたまやっていたバトントワリングは、大学の推薦でも、就職の面接でもとても役にたったが、別に私は情熱を持ってやっていたわけではない。
たまたま大人受けの良いものであったから、高校時代は適当に活動していただけ。大学でも一応続けたが、就職に有利だからと聞いていたから。
集団面接の時に、少しでも自分の隣にいる人間を出し抜こうと、あの手この手で、自分の人生で使えるエピソードを全部出してきて、面接員にアピールして、職を得た私たち。
小銭をせびる、あの二人組と、似てるな。と今になって思う。
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