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第3章ーー五国VS魔王軍ーー
第27話〜お人好しは助けられる〜
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「くそっ!なぜ当たらない!?」
戦いが始まって約3分。だが、二人にとってはその数倍以上の時間に感じていた。
御門は矢を常に避け続ける精神力で。
ホロフは当たらない獲物に攻めあぐねて。
だが、ここにきてたったひとつのミスで、状況は公転した。
極限の集中の中、ホロフが遂に奥の手を出す。
「ここまで時間を取られるとは思いませんでしたよ。ですが、これでお終いです!チェインアロー!!」
ホロフの本気。その一撃は、一瞬で二発。矢を打つというとてもシンプルなもの。
だが、その二つは、全くの狂いや減速なく、獲物である御門へと飛んだ。
御門も避けようとした。実際ひとつは避けた。だが、それでもただの人間である御門には、二つ目は無理だった。
「ガハッ!?」
そう苦痛を零す御門だが、矢は勢いを止めない。腹に突き刺さったその一撃は、そのまま御門ごと森の奥へと進んでいった。
「・・・ふぅ。」
そう息を静かに零すホロフだが、内心は遂に獲物を倒したことに喜んでいた。
恐らく死は確実。そう思ったのはつかの間、ホロフはある事に気がつく。
「・・・私は頭を狙ったはずだが。」
チェインアロー。私のこの技は、二つの攻撃を素早く打つものだが、ひとつは目くらまし。本命へと誘う一撃。私の本命はあの者の頭のはず。・・・まさか!?
「わざと当たったと言うのか!!?」
そんな馬鹿な!あの者、ミカドは私の攻撃をどちらも読んだ上で避けられないと気が付き、自身が受ける最小限のダメージに抑えたと!?
「なら、ミカドはまだ死んでいない!今すぐおわなければ!」
その時のホロフはあまりにも普段の冷静さはひとつも無かった。だからこそ、後ろにいる存在に気が付かなかったのだろう。
拳が現れた。
「!!?ゴファァ!!!」
その攻撃はただの暴力。いや、彼女の原点。
吹き飛んだ物体は、そのまま森の地形を変えながら進む。そして、森の奥にある小さな小山にぶつかると、それは止まった。
「くそが!くそがァ!!」
既にホロフは察していた。それをした人物が、一体なんなのか。そして、自身に待ち受ける最後が。
「ねぇ。なんでミカド君が死にそうになってるのかな。お前のせいだよね?いや、そんなのいいや。・・・死ね。」
「魔王様!魔王様ぁぁ!!!!」
「タイダルウェーブ。」
△▽
「痛ったぁ!!」
「我慢せぃ!全く。まさか魔王軍の四天王がここに来るとはのぅ。」
あれから数日。僕は何とか生きてました。いや、二日寝込んだけど。今はフェルニアさんに治療を受けています・・・。またお世話に・・・。
「本当に迷惑ばかりかけてすみません。」
「ミカドのせいじゃないよ。あいつは僕らを勧誘しに来たみたいだし、ミカドはただの被害者だから。」
「そう言って貰えると助かりますぅ。」
あの後、僕はそのまま気を失ったので分からないが、僕が遅いと駆け付けたノラさんがホロフを倒してくれたそうだ。
ホロフについてだが、彼の持っていた供物はしっかり徴収し、ホロフは魔王軍基地にフェルニアさんが適当に上から落としたそう。
その事態に魔王軍は困惑。急遽、モルトフォルト王国への進軍部隊は撤退。次に攻めるのが何時になるかは定かではないそうだ。
なんか、色々と好都合に事が運んで、怪我を負ったかいがあったというものだ。
まぁひとつ言うとしたら・・・。
「はぁ。・・・これは復旧が大変そうじゃのう。」
「・・・はい。」
ラフォトンの森にもうひとつの湖ができてしまったと言うところだろうか。
そして、僕たちはそれをした張本人にジト目を向けた。
「な、何よ!反省してるって言ってるじゃない!それにあんた達が悪いのよ!ミカド君は変に意地張った癖にあんな雑魚に満身創痍だし!」
「うっ!」
「あんたらはあんたらで最初から最後まで何もしないでただぐうたらしてたじゃない!」
「「うぐっ!」」
あ゛ぁ!まだ痛むどこかの骨がぁ!
「私は悪くない!悪くないったら悪くないのよぉ!!」
それから、ノラを3人がかりで宥めるのに、この戦い以上に苦労したというのは僕の心の中にだけ留めておく。
戦いが始まって約3分。だが、二人にとってはその数倍以上の時間に感じていた。
御門は矢を常に避け続ける精神力で。
ホロフは当たらない獲物に攻めあぐねて。
だが、ここにきてたったひとつのミスで、状況は公転した。
極限の集中の中、ホロフが遂に奥の手を出す。
「ここまで時間を取られるとは思いませんでしたよ。ですが、これでお終いです!チェインアロー!!」
ホロフの本気。その一撃は、一瞬で二発。矢を打つというとてもシンプルなもの。
だが、その二つは、全くの狂いや減速なく、獲物である御門へと飛んだ。
御門も避けようとした。実際ひとつは避けた。だが、それでもただの人間である御門には、二つ目は無理だった。
「ガハッ!?」
そう苦痛を零す御門だが、矢は勢いを止めない。腹に突き刺さったその一撃は、そのまま御門ごと森の奥へと進んでいった。
「・・・ふぅ。」
そう息を静かに零すホロフだが、内心は遂に獲物を倒したことに喜んでいた。
恐らく死は確実。そう思ったのはつかの間、ホロフはある事に気がつく。
「・・・私は頭を狙ったはずだが。」
チェインアロー。私のこの技は、二つの攻撃を素早く打つものだが、ひとつは目くらまし。本命へと誘う一撃。私の本命はあの者の頭のはず。・・・まさか!?
「わざと当たったと言うのか!!?」
そんな馬鹿な!あの者、ミカドは私の攻撃をどちらも読んだ上で避けられないと気が付き、自身が受ける最小限のダメージに抑えたと!?
「なら、ミカドはまだ死んでいない!今すぐおわなければ!」
その時のホロフはあまりにも普段の冷静さはひとつも無かった。だからこそ、後ろにいる存在に気が付かなかったのだろう。
拳が現れた。
「!!?ゴファァ!!!」
その攻撃はただの暴力。いや、彼女の原点。
吹き飛んだ物体は、そのまま森の地形を変えながら進む。そして、森の奥にある小さな小山にぶつかると、それは止まった。
「くそが!くそがァ!!」
既にホロフは察していた。それをした人物が、一体なんなのか。そして、自身に待ち受ける最後が。
「ねぇ。なんでミカド君が死にそうになってるのかな。お前のせいだよね?いや、そんなのいいや。・・・死ね。」
「魔王様!魔王様ぁぁ!!!!」
「タイダルウェーブ。」
△▽
「痛ったぁ!!」
「我慢せぃ!全く。まさか魔王軍の四天王がここに来るとはのぅ。」
あれから数日。僕は何とか生きてました。いや、二日寝込んだけど。今はフェルニアさんに治療を受けています・・・。またお世話に・・・。
「本当に迷惑ばかりかけてすみません。」
「ミカドのせいじゃないよ。あいつは僕らを勧誘しに来たみたいだし、ミカドはただの被害者だから。」
「そう言って貰えると助かりますぅ。」
あの後、僕はそのまま気を失ったので分からないが、僕が遅いと駆け付けたノラさんがホロフを倒してくれたそうだ。
ホロフについてだが、彼の持っていた供物はしっかり徴収し、ホロフは魔王軍基地にフェルニアさんが適当に上から落としたそう。
その事態に魔王軍は困惑。急遽、モルトフォルト王国への進軍部隊は撤退。次に攻めるのが何時になるかは定かではないそうだ。
なんか、色々と好都合に事が運んで、怪我を負ったかいがあったというものだ。
まぁひとつ言うとしたら・・・。
「はぁ。・・・これは復旧が大変そうじゃのう。」
「・・・はい。」
ラフォトンの森にもうひとつの湖ができてしまったと言うところだろうか。
そして、僕たちはそれをした張本人にジト目を向けた。
「な、何よ!反省してるって言ってるじゃない!それにあんた達が悪いのよ!ミカド君は変に意地張った癖にあんな雑魚に満身創痍だし!」
「うっ!」
「あんたらはあんたらで最初から最後まで何もしないでただぐうたらしてたじゃない!」
「「うぐっ!」」
あ゛ぁ!まだ痛むどこかの骨がぁ!
「私は悪くない!悪くないったら悪くないのよぉ!!」
それから、ノラを3人がかりで宥めるのに、この戦い以上に苦労したというのは僕の心の中にだけ留めておく。
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