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第3章ーー五国VS魔王軍ーー
第26話〜お人好しは激戦を虐げられる〜
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ラフォトンの森の祠。そこには天空王フェルニアと獣王ラドルがいた。
「ねぇ。本当にミカドの才能が無いと思う?」
「な訳なかろう。あれが才能が無いと言ったものは、相当な馬鹿であろうな。」
「僕もそう思うよ。だけど、確かにミカドには何も感じないんだよね。感じさせるモノは幾らでも見つかるんだけど。」
流暢に喋る獣王。こんな彼を知っているのは天空王であるフェルニアしか知らない。海王であるノヴムラナーヴァでさえも知らない男会が今まさに開かれていた。
「それではミカドのあれは神の・・・か?」
「僕もそう思ったよ?ノラさんに聞いたけど、ミカド君勇者でこの世界にやって来たそうだし。」
「それは誠か!?・・・それならやはり神の。」
「だけど、違かった。」
「・・・どういう事じゃ?」
「ミカド君はこの世界に神がいることを知らなかったし、ミカド君自身、神はいるなんて信じてないって言ってた。それに凄く不機嫌になってたし。あれは何かあったね。」
それを聞くと、フェルニアは驚く。
「神を信仰していないじゃと?それに、神がいないとは・・・。確かにそれでは神の恩恵は得られないじゃろうな。」
「多分推測だけど、ミカド君が才能が無い理由は、それなんじゃないかって思うんだ。転移者や転生者が才能が高いのは、もしかしたら神の恩恵のおかげなんじゃないかって。」
「人類が才能と扱うもの。あれが神の恩恵に属するものだと?」
「まぁ実際当たってると思うよ?僕たち魔物だと強さが一番だから、才能なんてもの必要無いし、意味もない。それを人間は数値化したんだから凄いものだよ。」
手を広げて話すラドルに、フェルニアは思わず考え込んだ。
「・・・つまりミカドのあれは、才能ではなく、純粋な努力の結晶のようなものだと?」
「正解。僕もそう思った。あれが人間の才能ではないんだったら、僕らのような経験。・・・いや、ポテンシャルかな。」
「人間が言う潜在能力の可能性か。全く、ひとつにまとめてほしいものよ。」
「そうだねぇ。最近ノラさんを見習って人間の本を読むようになったけど、どうも難しい言葉ばかりだ。」
「だが、それが儂らが生きてて面白いと思えるものじゃろう?」
笑うフェルニアに、思わず笑ったラドルは、少し下を向いて言った。
「そうだね。そして、ミカドのあれは、必ずこの世界で彼自身の武器になる。」
△▽
「あぁ。やっぱり僕は・・・こんな所で死にたくない!!」
シュパッ!
「何!?」
ホロフがほぼ予備動作無しに打った漆黒の矢は、ミカドの心臓から通り過ぎ、そのまま森の中へと消えていった。
「なるほど。あなた、只者では無かったのですね。いや、この森にいる時点であなたを警戒するべきでした。まさか、私の矢を避けるとは。」
通り過ぎたのでは無い。避けられたのだ。それも、完璧なタイミングで私の矢が。
「もしかしてあなたが三王者殿の誰かなのですか?私の矢を避けるなど、人間には出来ない芸当。」
「僕はあなたが僕を殺そうとした時避けただけです。ただの人間ですよ。魔族のホロフさん。」
こ、こいつぅ!!
私は大きく下がった。私の矢は、離れることで真価を発揮する。
「これは避けられないでしょう!アローブラスト!!・・・何!?」
矢は飛んでいく。人間の横数10センチへと。そこはこの一瞬の間、人間が立っていた場所だ。私が打った途端、人間は横に飛んでいた。そして、矢がそのまま人間を僅かに通り過ぎた。
(私の攻撃が見えている?いやそんなはずが無い。それなら打った直ぐにただ飛んで逃げただけ?)
「なるほど。私を困惑させるとは、褒めて差し上げましょう!改めて、名乗らせて頂きます。私の名はホロフ。四天王、漆黒の月ホロフです。あなたは?」
「僕の名前はミカド・コトハ。時間、稼がせてもらいます。」
ミカド。覚えましたよ。・・・それより時間を稼ぐ?一体何に。増援か?
この者程の相手を複数相手にするのは些か不利になってしまう。な早く終わらせなければ。この一撃で。
「なら、直ぐに決めるまで!アローブラスト!!」
たった一秒もない間。ミカドの顔は、飛んでくる私の矢を、確実に怖がっていた。当たり前でしょう。一撃でもまともにくらえば、死ぬと分かっているのでしょうから。
分かっている。そう、あの人間は分かっているはずなんだ!!なのに!!!
ホロフの矢は曲がった。右へ。それは彼が自身の攻撃に回転をかけたから。右へ避けていたミカドは、確実にまた避けようと飛ぶだろう。彼はそう思って矢を放った。
だが、ミカドは微動だにしなかった。ただ立っているだけ。このままなら確実に死ぬはずだったのに。だからこそ、ホロフは彼の行動に思わず叫んだ。
「何故・・・何故避けない!!」
ミカドは自身の頭の数センチ先を通り過ぎていく矢に、思わず汗を流す。
戦いが遂に始まった。才能が無い人間と、魔王軍四天王の圧倒的後者有利な戦いが。
「ねぇ。本当にミカドの才能が無いと思う?」
「な訳なかろう。あれが才能が無いと言ったものは、相当な馬鹿であろうな。」
「僕もそう思うよ。だけど、確かにミカドには何も感じないんだよね。感じさせるモノは幾らでも見つかるんだけど。」
流暢に喋る獣王。こんな彼を知っているのは天空王であるフェルニアしか知らない。海王であるノヴムラナーヴァでさえも知らない男会が今まさに開かれていた。
「それではミカドのあれは神の・・・か?」
「僕もそう思ったよ?ノラさんに聞いたけど、ミカド君勇者でこの世界にやって来たそうだし。」
「それは誠か!?・・・それならやはり神の。」
「だけど、違かった。」
「・・・どういう事じゃ?」
「ミカド君はこの世界に神がいることを知らなかったし、ミカド君自身、神はいるなんて信じてないって言ってた。それに凄く不機嫌になってたし。あれは何かあったね。」
それを聞くと、フェルニアは驚く。
「神を信仰していないじゃと?それに、神がいないとは・・・。確かにそれでは神の恩恵は得られないじゃろうな。」
「多分推測だけど、ミカド君が才能が無い理由は、それなんじゃないかって思うんだ。転移者や転生者が才能が高いのは、もしかしたら神の恩恵のおかげなんじゃないかって。」
「人類が才能と扱うもの。あれが神の恩恵に属するものだと?」
「まぁ実際当たってると思うよ?僕たち魔物だと強さが一番だから、才能なんてもの必要無いし、意味もない。それを人間は数値化したんだから凄いものだよ。」
手を広げて話すラドルに、フェルニアは思わず考え込んだ。
「・・・つまりミカドのあれは、才能ではなく、純粋な努力の結晶のようなものだと?」
「正解。僕もそう思った。あれが人間の才能ではないんだったら、僕らのような経験。・・・いや、ポテンシャルかな。」
「人間が言う潜在能力の可能性か。全く、ひとつにまとめてほしいものよ。」
「そうだねぇ。最近ノラさんを見習って人間の本を読むようになったけど、どうも難しい言葉ばかりだ。」
「だが、それが儂らが生きてて面白いと思えるものじゃろう?」
笑うフェルニアに、思わず笑ったラドルは、少し下を向いて言った。
「そうだね。そして、ミカドのあれは、必ずこの世界で彼自身の武器になる。」
△▽
「あぁ。やっぱり僕は・・・こんな所で死にたくない!!」
シュパッ!
「何!?」
ホロフがほぼ予備動作無しに打った漆黒の矢は、ミカドの心臓から通り過ぎ、そのまま森の中へと消えていった。
「なるほど。あなた、只者では無かったのですね。いや、この森にいる時点であなたを警戒するべきでした。まさか、私の矢を避けるとは。」
通り過ぎたのでは無い。避けられたのだ。それも、完璧なタイミングで私の矢が。
「もしかしてあなたが三王者殿の誰かなのですか?私の矢を避けるなど、人間には出来ない芸当。」
「僕はあなたが僕を殺そうとした時避けただけです。ただの人間ですよ。魔族のホロフさん。」
こ、こいつぅ!!
私は大きく下がった。私の矢は、離れることで真価を発揮する。
「これは避けられないでしょう!アローブラスト!!・・・何!?」
矢は飛んでいく。人間の横数10センチへと。そこはこの一瞬の間、人間が立っていた場所だ。私が打った途端、人間は横に飛んでいた。そして、矢がそのまま人間を僅かに通り過ぎた。
(私の攻撃が見えている?いやそんなはずが無い。それなら打った直ぐにただ飛んで逃げただけ?)
「なるほど。私を困惑させるとは、褒めて差し上げましょう!改めて、名乗らせて頂きます。私の名はホロフ。四天王、漆黒の月ホロフです。あなたは?」
「僕の名前はミカド・コトハ。時間、稼がせてもらいます。」
ミカド。覚えましたよ。・・・それより時間を稼ぐ?一体何に。増援か?
この者程の相手を複数相手にするのは些か不利になってしまう。な早く終わらせなければ。この一撃で。
「なら、直ぐに決めるまで!アローブラスト!!」
たった一秒もない間。ミカドの顔は、飛んでくる私の矢を、確実に怖がっていた。当たり前でしょう。一撃でもまともにくらえば、死ぬと分かっているのでしょうから。
分かっている。そう、あの人間は分かっているはずなんだ!!なのに!!!
ホロフの矢は曲がった。右へ。それは彼が自身の攻撃に回転をかけたから。右へ避けていたミカドは、確実にまた避けようと飛ぶだろう。彼はそう思って矢を放った。
だが、ミカドは微動だにしなかった。ただ立っているだけ。このままなら確実に死ぬはずだったのに。だからこそ、ホロフは彼の行動に思わず叫んだ。
「何故・・・何故避けない!!」
ミカドは自身の頭の数センチ先を通り過ぎていく矢に、思わず汗を流す。
戦いが遂に始まった。才能が無い人間と、魔王軍四天王の圧倒的後者有利な戦いが。
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