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第3章ーー五国VS魔王軍ーー
第30話〜カタストロフ〜
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エルフ軍本部。そこは火の海に呑まれていた。あたりにはエルフの死体が数百とあり、立っているものすら瀕死の者が殆ど。
「死を!貴様らに死を!!」
だが、それでも暴れる者がいた。そして、またその者に一本の矢が当てられる。
「あ゛?」
「お、親父と母さんの敵!」
火の中から出てきたのは、まだ若い男のエルフ。彼が打った矢見事に眼球に突き刺さり、ゴゴの右目の視界を奪った。
「殺す!!」
だが、それでもそれは一瞬。ゴゴは矢を放ったエルフとの距離をたった一歩で縮め、その前に立った。
「ひ、ひぃぃ!!」
「お前も同じところへ送ってやろう。」
ゴゴは殴った。それはとても簡単な攻撃の動作。だが、その攻撃は一瞬で大地を凹ませ、周りに大きなヒビを入れた。そのおかげか土煙がまう。
「ぬ?コレは・・・。」
だが、その土煙が止んだ後、そこから見えるのは一筋の光。
「マザープロテクション。何とか間に合ったか。」
そして、前から歩いてくるミルデロフ。
「しぶとい男だ。」
「お前だけには言われたくはない。四天王、剛力のゴゴ。」
余裕そうな口ぶりのミルデロフからはもう魔力を感じられなかった。今ので最後の魔法だった為だ。
それを知ってか知らずか、ゆっくりとミルデロフに近づくゴゴ。同じくミルデロフもゆっくりとゴゴへと歩を進める。
「俺の攻撃を何度も耐えるこの魔法。思い出したぞ。・・・思えばお前もあの時殺しておけば良かった。ハイエルフは全てあの戦いで殺したつもりだったのだがな。」
「あの時の私は非力な存在だった。目の前で何も出来ず、ただ殺される父と母。だが、もうあの時の泣き虫だった私はいない。」
一歩
「そうか?今でもお前はあの時と同じ。何も守れていないのだがな。この後お前を殺してここにいる全員を殺す。お前は何も変わらない。」
一歩
「そうかもしれんな。だが、今の私には勇者がいる。きっと私が死んでも、皆を守ってくれるはずだ。」
一歩
「残念だったな。それは無理な話だ。あんなゴミ共に俺を殺せるはずがない。」
一歩
「なるほど。それなら私がお前を殺すとしよう。なぁに、計画通りだ。」
ゴゴが止まった。
「どうした?私から逃げるはずが無いよな?」
ミルデロフはそれでも歩き続ける。
「俺はな。どうしても強すぎる故に頭が悪い。」
「脳筋だろ?それにお前など強くもない。何故なら私が」
「だからな。ちょっとした事でも、俺はキレるぜ?」
ミルデロフの足が止まった。ゴゴが歩き出す。
「俺は今相当きてる。なのに、お前を一瞬で殺さないのは、今、お前をどう殺してやろうか考えてるからだ。」
あと数メートル。ゴゴは更に一歩進めようとして、
「どんな殺され方が良い?今の俺ならなんでも出来そう・・・?」
そこでゴゴも止まった。
ゴゴは上を向いた。ミルデロフが上を向いていたからだ。
「!!?う・・・嘘だろ!?」
ゴゴは顔を引き攣らせた。上に大きな鳥がいたから。
それは、彼でもよく知っていたから。
虹色の羽根は世界にたった一体しかいない。空をも覆うその驚愕の大きさは、生物には存在しない。
全ての生物に共通したこんな話がある。
『翼に揺られてやってくるのは、世にも美しき天の鳥。空の虹見て思い出すのは、全てが消え去るあの悲鳴。』
「勇者殿が言うならば、ラッキーというだろうか。」
「有り得ねぇ。なんでこんなタイミングで・・・。」
「天空王フェルニア・・・!」
「キェァァァ!!!」
その悲鳴にも似た叫びに、周りの雲が弾け飛び、周りを取り巻いていた炎も全て散る。そして、当事者のミルデロフはあまりの風圧にそこから吹き飛ばされた。
だが、ゴゴは何とか踏ん張ると、フェルニアに大声で叫ぶ。
「貴様ぁ!!なぜ、こんな所にいる!?お前はあの森で互生をただ過ごせば良いだろうがぁ!!」
フェルニアはゴゴに振り向く。その瞳は全てを見定めているように透き通って美しく、ただ比例して、生き物の生へとそのまま射抜くような瞳。
「グゥゥ!!?」
魔法では無い。ただ見ただけ。だがそれだけで、ここまで全てを破壊し圧倒的な力を見せつけていたゴゴは今、誤魔化しようの無い恐怖を覚えていた。
『儂がここに来たのはどうでもよかろう。いや、今でも儂はなぜ、ここに来たのか自分自身が理解できない。』
「な、なら帰れ!!ここはお前のいる場所じゃねぇ!!」
何とか振り絞った言葉。ゴゴでもそれだけを言うしかなかった。あれ程プライドが高かったゴゴが今では狩られる側にいたから。
『そうする訳にも行かない。儂はここを担当するからな。』
「ッ・・・な、なら、なぜここに来たんだぁ・・・・・・。」
それを聞いたと同時にゴゴは膝から崩れた。
フェルニアが初めて殺気を放ったからだ。
『それはな。全てあの者のおかげじゃよ。儂が変わったのも、こうやって久方ぶりにラフォトンから離れるのも・・・。』
「あ゛・・・あ・・・ぁぁ。」
『儂は、願われた。我は、災害だ。』
周りの天気が荒れ始める。それは段々と近くへ集まり空は暗闇に、轟々と雷の轟く音がなる。
その音で倒れていたミルデロフは起き上がる。
「こ、コレは!?」
『魔王軍よ刮目せよ。これが全てを破壊尽くす我が魔力!!』
「何万年か前。同じ現象が起こったという。まるでこの世の終わりのような壮絶な死の世界を、全てを破壊し尽くすフェルニアの一撃は、まるで彼の怒りを表しているようだと。当時の勇者はこれを名付けた。敵なら全滅だった。悔しいが、何とかこれで・・・!」
周りを取り巻く死の恐怖。立ち上がれないゴゴは今、逆に人生で一番の冷静さを覚えていた。
そして、出た答え。それは忠誠。
全てを捧げた魔王ノートスへの絶対なる忠誠が、ゴゴをもう一度立ち上がらせた。
「全てを破壊する。俺は四天王。剛力のゴゴだ!!」
『その意義や良し!さぁ、お主を葬ってくれようぞ!!』
「あ゛あぁぁぁぁ!!!フェルニアァ!!!」
ゴゴは走り出した。最早防御を捨てて真っ向に。最強へと一撃でも浴びせる為に。
『サンダー』
だが、直後。その体へと無慈悲に雷が投下された。落ちた大地が裂け、一瞬でクレーターへと変わる。
フェルニアの目は非常に凍えきっていた。まるでそれは作業のように。
『ハリケーン』
そして、天にも届く竜巻が浴びせられ、周りを飛んでいた岩や石が巻き込まれ、一瞬で粉々へと粉砕された。
『アイシクル』
更に大量の氷柱の集中攻撃。突き刺さった氷柱は、そのまま周りを氷漬けにしていく。
「あ、あれがカタストロフ・・・。」
それが一度に今でも浴びせられるその場所に、ミルデロフは呆然としていた。
本来ならミルデロフまで被害が来てもおかしくないが、どれもゴゴのいた周辺のみ。ミルデロフは移動魔法で周りにいたエルフを全て転移させ、遠くでその光景をただ見ていた。
「何が起こっている・・・。突然な天空王フェルニアの来襲。そして担当だと?まさかあの王たちも。本当の世界の王者たちがここに来ていると言うのか!!?」
それから攻撃は突如と止み、辺りが砂煙で全く見えない中、一人、興奮冷めやらないミルデロフを置いて、攻撃が止み土煙が晴れたその場を見て、フェルニアは僅かに驚いていた。
『なるほどな。骨すら残らんと思っておったが、あっぱれな者よ。まさか、儂の最初の一撃をよむとは。』
それは被弾した場所から少し離れた先にあった場所。そこにはゴゴと思われる片腕があった。
『まさか、攻撃を受ける瞬間自ら腕を引きちぎり、投げるとは。そこまで守りたいものがあったということか。』
その片腕はしっかりとひとつの年季が入った首飾りを掴んでいた。
フェルニアは、その下へと降り、その首飾りを見る。
『!?・・・これは頂くとしよう。』
そう言って片腕を自身の口へと運ぶフェルニア。その大きな鉤爪には、その小さな首飾りがあった。
その首飾りのやけに膨らんだ場所。それが風になびいて開く。
そこには一人の女性と小さな女の子の写真が入っていた。
「死を!貴様らに死を!!」
だが、それでも暴れる者がいた。そして、またその者に一本の矢が当てられる。
「あ゛?」
「お、親父と母さんの敵!」
火の中から出てきたのは、まだ若い男のエルフ。彼が打った矢見事に眼球に突き刺さり、ゴゴの右目の視界を奪った。
「殺す!!」
だが、それでもそれは一瞬。ゴゴは矢を放ったエルフとの距離をたった一歩で縮め、その前に立った。
「ひ、ひぃぃ!!」
「お前も同じところへ送ってやろう。」
ゴゴは殴った。それはとても簡単な攻撃の動作。だが、その攻撃は一瞬で大地を凹ませ、周りに大きなヒビを入れた。そのおかげか土煙がまう。
「ぬ?コレは・・・。」
だが、その土煙が止んだ後、そこから見えるのは一筋の光。
「マザープロテクション。何とか間に合ったか。」
そして、前から歩いてくるミルデロフ。
「しぶとい男だ。」
「お前だけには言われたくはない。四天王、剛力のゴゴ。」
余裕そうな口ぶりのミルデロフからはもう魔力を感じられなかった。今ので最後の魔法だった為だ。
それを知ってか知らずか、ゆっくりとミルデロフに近づくゴゴ。同じくミルデロフもゆっくりとゴゴへと歩を進める。
「俺の攻撃を何度も耐えるこの魔法。思い出したぞ。・・・思えばお前もあの時殺しておけば良かった。ハイエルフは全てあの戦いで殺したつもりだったのだがな。」
「あの時の私は非力な存在だった。目の前で何も出来ず、ただ殺される父と母。だが、もうあの時の泣き虫だった私はいない。」
一歩
「そうか?今でもお前はあの時と同じ。何も守れていないのだがな。この後お前を殺してここにいる全員を殺す。お前は何も変わらない。」
一歩
「そうかもしれんな。だが、今の私には勇者がいる。きっと私が死んでも、皆を守ってくれるはずだ。」
一歩
「残念だったな。それは無理な話だ。あんなゴミ共に俺を殺せるはずがない。」
一歩
「なるほど。それなら私がお前を殺すとしよう。なぁに、計画通りだ。」
ゴゴが止まった。
「どうした?私から逃げるはずが無いよな?」
ミルデロフはそれでも歩き続ける。
「俺はな。どうしても強すぎる故に頭が悪い。」
「脳筋だろ?それにお前など強くもない。何故なら私が」
「だからな。ちょっとした事でも、俺はキレるぜ?」
ミルデロフの足が止まった。ゴゴが歩き出す。
「俺は今相当きてる。なのに、お前を一瞬で殺さないのは、今、お前をどう殺してやろうか考えてるからだ。」
あと数メートル。ゴゴは更に一歩進めようとして、
「どんな殺され方が良い?今の俺ならなんでも出来そう・・・?」
そこでゴゴも止まった。
ゴゴは上を向いた。ミルデロフが上を向いていたからだ。
「!!?う・・・嘘だろ!?」
ゴゴは顔を引き攣らせた。上に大きな鳥がいたから。
それは、彼でもよく知っていたから。
虹色の羽根は世界にたった一体しかいない。空をも覆うその驚愕の大きさは、生物には存在しない。
全ての生物に共通したこんな話がある。
『翼に揺られてやってくるのは、世にも美しき天の鳥。空の虹見て思い出すのは、全てが消え去るあの悲鳴。』
「勇者殿が言うならば、ラッキーというだろうか。」
「有り得ねぇ。なんでこんなタイミングで・・・。」
「天空王フェルニア・・・!」
「キェァァァ!!!」
その悲鳴にも似た叫びに、周りの雲が弾け飛び、周りを取り巻いていた炎も全て散る。そして、当事者のミルデロフはあまりの風圧にそこから吹き飛ばされた。
だが、ゴゴは何とか踏ん張ると、フェルニアに大声で叫ぶ。
「貴様ぁ!!なぜ、こんな所にいる!?お前はあの森で互生をただ過ごせば良いだろうがぁ!!」
フェルニアはゴゴに振り向く。その瞳は全てを見定めているように透き通って美しく、ただ比例して、生き物の生へとそのまま射抜くような瞳。
「グゥゥ!!?」
魔法では無い。ただ見ただけ。だがそれだけで、ここまで全てを破壊し圧倒的な力を見せつけていたゴゴは今、誤魔化しようの無い恐怖を覚えていた。
『儂がここに来たのはどうでもよかろう。いや、今でも儂はなぜ、ここに来たのか自分自身が理解できない。』
「な、なら帰れ!!ここはお前のいる場所じゃねぇ!!」
何とか振り絞った言葉。ゴゴでもそれだけを言うしかなかった。あれ程プライドが高かったゴゴが今では狩られる側にいたから。
『そうする訳にも行かない。儂はここを担当するからな。』
「ッ・・・な、なら、なぜここに来たんだぁ・・・・・・。」
それを聞いたと同時にゴゴは膝から崩れた。
フェルニアが初めて殺気を放ったからだ。
『それはな。全てあの者のおかげじゃよ。儂が変わったのも、こうやって久方ぶりにラフォトンから離れるのも・・・。』
「あ゛・・・あ・・・ぁぁ。」
『儂は、願われた。我は、災害だ。』
周りの天気が荒れ始める。それは段々と近くへ集まり空は暗闇に、轟々と雷の轟く音がなる。
その音で倒れていたミルデロフは起き上がる。
「こ、コレは!?」
『魔王軍よ刮目せよ。これが全てを破壊尽くす我が魔力!!』
「何万年か前。同じ現象が起こったという。まるでこの世の終わりのような壮絶な死の世界を、全てを破壊し尽くすフェルニアの一撃は、まるで彼の怒りを表しているようだと。当時の勇者はこれを名付けた。敵なら全滅だった。悔しいが、何とかこれで・・・!」
周りを取り巻く死の恐怖。立ち上がれないゴゴは今、逆に人生で一番の冷静さを覚えていた。
そして、出た答え。それは忠誠。
全てを捧げた魔王ノートスへの絶対なる忠誠が、ゴゴをもう一度立ち上がらせた。
「全てを破壊する。俺は四天王。剛力のゴゴだ!!」
『その意義や良し!さぁ、お主を葬ってくれようぞ!!』
「あ゛あぁぁぁぁ!!!フェルニアァ!!!」
ゴゴは走り出した。最早防御を捨てて真っ向に。最強へと一撃でも浴びせる為に。
『サンダー』
だが、直後。その体へと無慈悲に雷が投下された。落ちた大地が裂け、一瞬でクレーターへと変わる。
フェルニアの目は非常に凍えきっていた。まるでそれは作業のように。
『ハリケーン』
そして、天にも届く竜巻が浴びせられ、周りを飛んでいた岩や石が巻き込まれ、一瞬で粉々へと粉砕された。
『アイシクル』
更に大量の氷柱の集中攻撃。突き刺さった氷柱は、そのまま周りを氷漬けにしていく。
「あ、あれがカタストロフ・・・。」
それが一度に今でも浴びせられるその場所に、ミルデロフは呆然としていた。
本来ならミルデロフまで被害が来てもおかしくないが、どれもゴゴのいた周辺のみ。ミルデロフは移動魔法で周りにいたエルフを全て転移させ、遠くでその光景をただ見ていた。
「何が起こっている・・・。突然な天空王フェルニアの来襲。そして担当だと?まさかあの王たちも。本当の世界の王者たちがここに来ていると言うのか!!?」
それから攻撃は突如と止み、辺りが砂煙で全く見えない中、一人、興奮冷めやらないミルデロフを置いて、攻撃が止み土煙が晴れたその場を見て、フェルニアは僅かに驚いていた。
『なるほどな。骨すら残らんと思っておったが、あっぱれな者よ。まさか、儂の最初の一撃をよむとは。』
それは被弾した場所から少し離れた先にあった場所。そこにはゴゴと思われる片腕があった。
『まさか、攻撃を受ける瞬間自ら腕を引きちぎり、投げるとは。そこまで守りたいものがあったということか。』
その片腕はしっかりとひとつの年季が入った首飾りを掴んでいた。
フェルニアは、その下へと降り、その首飾りを見る。
『!?・・・これは頂くとしよう。』
そう言って片腕を自身の口へと運ぶフェルニア。その大きな鉤爪には、その小さな首飾りがあった。
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