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三日目 7
しおりを挟む「っ……ま、待て!」
叫んだあと、ルートの両手首を掴んで、自身の胸から引き剥がした。
はぁはぁ、と唇から荒い息がもれる。
「待て、待て……ちょっとでいいから、待て……」
「アキちゃん大丈夫?」
大丈夫? じゃねぇよ。
お前がやっといて心配そうな声を出すな。
ルートの両手首を掴んだまま、背後のルートを見上げるように振り返る。
「と、突然なんなんだよ……」
「突然じゃないよ。俺、ずっと考えてたもん」
意外にも、ルートは真剣な表情をしていた。さっきまでひとの乳首をいじくり回していた男とは思えない、真面目な顔だ。
「アキちゃんが乳首いじめられるの好きって知ってたけど、『元彼に開発された』って言ってたの思い出すと、どうしても悔しくて……前の男のこと少しでも思い出したらと思うと気が狂いそうで……」
いや、弄られるのは好きだけど、別にいじめられるのは好きじゃないんだが……。
そう思ったものの、言葉の綾の可能性もあるのでとりあえず黙っていた。
ルートはぽつぽつと言葉を続ける。
「でも、触ったり、舐めたりしたいなって気持ちは俺にもあって……だって、もう前の男より俺の方がアキちゃんと長く付き合ってるし、いまは俺も社会人になったし……アキちゃんは俺のだし……」
「ルート……」
こいつ、やっぱ可愛いな。と思ってしまった。こんなときなのに。
ルートの綺麗な目が、ちらりと俺を見下ろす。
「写真とかなら捨ててって言えるけど、体なんてどうしようもないよね。……だからもう、前の男のことなんて気にせずアキちゃんのこと気持ちよくさせてあげたいな、って本当はずっと思ってて……」
「そ、そうかぁー……」
その考え自体はすごくうれしい。
だけど、今日じゃなくね?
ポリネシアンセックス三日目の、焦らしに焦らされた上、二日後まで挿入セックスできない今日じゃなくね?
思わず顔が引き攣る。
そのくせ体は熱を持ったままで、ルートの肌と触れ合った背中はいっそう熱かった。
「……うんうん、お前の気持ちはわかった。じゃあ、とりあえず…………あっ、こらっ……──ひっ、あ、ああっ……だめだ、って……!」
止めようとする俺の手を無視して、再びルートの手が俺の胸に触れた。手のひら全体で揉むような仕草をしたあと、指先で乳首を弾く。
「あっ! ……っ、ま、ルート……ッ」
「ツンとしてて可愛い。いっぱいいじめてあげるからね」
うっとりとした声とともに、ルートの中指が乳首を押し潰すように動きはじめる。指の腹でこねくり回して、時折爪先で引っ掻いてきた。
「ああッ、あ、んッ、むりっ、ほんとに無理っ……う、ぁ……あああっ……!」
「久々だから前より反応いいね……いや、ポリネシアンセックスの最中だからかな? アキちゃんの、すごいビクビクしてる」
「はっ、あ……ん、んッ、やっ……」
視線を落とすと、股座にある俺の性器が完全に勃起した状態で、だらだらと我慢汁をこぼしていた。ルートに強く乳首を責められるたびビクンと跳ねて、先端からカウパーがあふれている。
「ルート、るうと……!」
「アキちゃん、まだ三日目だから射精しちゃダメだからね? ……まあ、さすがに乳首だけじゃイけないか」
「や、やめっ……、アッ、ん、あっ、あっ……!」
それから三十分近く乳首だけを責められ続け、俺が本当にイってしまいそうだと涙目で主張したところで、ようやくルートの手は俺の乳首から離れた。
赤くなった乳首がじんじんと痺れるように痛んで、それさえも気持ちよく感じる自分が恥ずかしかった。
「残りの時間はキスしてよっか」
力の入らない体をベッドに横たえられ、髪を撫でながら優しくキスをされる。
体が熱くて、キスが気持ちよくて、なにも考えられなくなっていく。
ぎゅっと抱きしめられて、俺も当然のように抱き返して。そのとき、ルートの性器も俺のものと同じように勃起してきることに気が付いた。
乳首を弄られて勃起する俺がいうのもなんだが、乳首を弄るだけで勃起するこいつもなかなかだと思う。
「アキちゃん、好きだよ。大好き」
髪にチュッチュっとキスをしながら、甘い声でルートが囁く。
俺も好きだよ、とちゃんと返せたような、返せなかったような。それすらもわからないふわふわとした思考の中、またまた俺は気を失うように眠りに落ちた。
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