淫魔はお嫌いですか?

リツカ

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 ロウが獣じみた吐息をこぼし、劣情を宿した瞳でノアを見下ろす。
 ノアはごくりと唾を飲んだ。
 そして、恐怖と期待が入り混じった瞳でロウを見上げる。

「ロウ……」
「……痛かったらすぐ言え」
「うん」

 頷くと同時に、グッとロウの先端がノアの後孔へと押し付けられる。
 本当にあんな大きな物が入るのだろうか……とノアが思う間もなく、後孔の縁がはしたなくロウの亀頭に吸い付いて、気恥ずかしさにノアは身を捩った。

「っ、う、あ……、あっ……」
「くっ……」

 歯を食いしばり、ロウが少しずつ腰を進めてくる。狭い隘路を押し広げながら奥へ奥へと入ってくる雄の熱さに、ノアの表情はとろけた。

 ──なんだこれ……。

 今まで経験したどんなことよりも気持ちよくて、心地よくて……今まで口にしたなによりも、美味い。

「んあっ、あ……、ふ……」
「っ……ノア、大丈夫か?」
「だいしょうぶ……あっ、ん……ん」

 ロウの性器が根元まで収まり、腹の奥までいっぱいにされる。
 あれだけ大きなものが腹の中にあるのに、ちっとも苦しくない。
 それどころか、早く動いて、突き上げて、むちゃくちゃにしてほしい──

「ロウ、俺……あっ、ん……っ!」

 フーと息を吐いたロウが、ゆっくりと腰を引いていく。そして、抜けてしまう寸前でまたゆっくりと性器を押し入れてくる。
 まるで、自身の形を覚え込ませようとするかのような動きだ。
 ずりずりと肉壁を擦りながら性器が後孔のナカを行き来するたび、ノアの唇から甘い声が漏れる。

「あっ、ん……ん、ぅ、アッ、あッ」
「ノア……熱くて、柔らかくて、キツくて……最高に良い……」

 心底気持ちよさそうなロウの声に、ノアはいっそう心地よくなる。
 頭も、腹の中も、とけてしまいそうなくらい気持ちがいい。

「あっ、ん……ロウ、すき、すき……」
「ノア、俺も好きだ」
「ん、んぁ、あっ……!」
「俺が腹いっぱいにしてやるから、なッ」
「ひ、ああッ!」

 大きく腰を引いて、すぐにガンッと奥を突き上げられた。
 ノアの目の前が一瞬真っ白になる。
 ぼやけた視界にロウの欲情した顔が見えて、最奥を突き上げられたナカが勝手にきゅうきゅうとロウの雄を締め付けた。
 ギラついた目をしたロウは、一言「すまん」と言ってから激しい律動をはじめた。

「あっ、ああッ、あっ、ひ、やっ……!」

 覆いかぶさってきたロウの体に抱きしめられた体勢で、ナカを激しく犯される。
 気持ち良すぎて、逃げ出したいような、ずっとこうしていてほしいような、そんな気がした。

「ノア、ノア……!」

 余裕のない掠れた声でノアを呼んだ唇が、噛み付くようにノアにキスをした。貪るように舌を絡め取られ、吸われ、ノアもロウの大きな背中に腕を回す。
 揺さぶられながら、縋るようにその逞しい体にしがみついた。

 甘い。愛おしい。
 どこもかしこも。なにもかも。

「っ……!」

 唇が離れた瞬間、歯を食いしばったロウがノアの首筋に顔を埋める。
 その直後、最奥に突き立てられた性器が一際膨らみ、ビクリと跳ねた。

「んっ……、あっ、ああ……!」

 温かい精液が注がれていく快感に、ノアはロウの体をぎゅっと抱きしめた。
 味なんてわかるわけないのに、美味いと感じる。
 体が、心が、潤い、満たされていく。

「ん、あ……ロウ……」
「……お前の獣耳が出てるとこ、初めて見た」

 顔を上げたロウが目を細めて笑う。
 そして、気付かぬうちにノアの頭の上に現れていたらしい狼耳を、まるで獣同士のようにぺろぺろと舐めてくれた。
 くすぐったくて、ノアは小さく笑いながら身動いだ。軽く手を伸ばし、ロウの後ろで大きく揺れていたフサフサの尻尾を掴む。

「ん?」
「ロウも尻尾出てるよ」

 言って、ノアがその尻尾をもふもふと触ると、ロウは照れくさそうに微笑する。
 普段は人間と変わらない見目の獣人に獣の特徴が現れるのは、感情が昂った証。つまり、ふたりがそれだけ興奮していたということだ。

 視線が交わり、啄むようなキスを交わす。
 多幸感でそのまま微睡んでしまいそうだった。

「……あの……ロウ?」
「ん?」
「……なんでまた硬くしてるの?」
「なんでって言われてもな……イッたあともお前のナカが絡みついてくるから……」
「え、あ……ごめん……」

 顔を赤らめて、ノアは謝る。
 ロウはニヤリと笑って首を傾げた。

「もう一回やるか?」
「えっ?」
「倒れるくらい飢えてたんだろ? 一回じゃ足りないんじゃないのか?」
「な、なに言って……あ、んっ……」

 ロウが軽く上体を起こした。
 ナカに収まったままだった性器がずるりと動き、ノアの体がまた熱を持つ。

「ろ、ろう……」
「もう倒れないよう、ちゃんと腹いっぱいにしてやる。これからもずっと」
「いや、うれしいけど、いますぐはちょっと……んぁっ……!」

 ──その日は結局ロウが満足するまで抱かれ、空っぽだった腹に精気が満たされたどころか、溢れだしてしまいそうなくらいだった。
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