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第47話
しおりを挟む翌日の朝。
私とレベッカは広場のベンチに座って、ツヴェルが来るのを待った。
「そろそろ街の方もお祭りの準備が始まりますね」
「この前来たときも賑やかでお祭りみたいだったけどね」
「その倍くらい賑わいますよ」
「楽しみね」
既に広場には飾り付けがされている。
電飾のように魔法で光るイルミネーション。今は形だけ設営されている出店のテント。どことなく以前来たときと空気が違うような感じがして、こっちの気持ちまでウキウキさせてくれる。
「王宮のパーティーよりも、こっちのお祭りの方が楽しそうね」
「ふふ。確かに、そうかもしれませんね。各国の王家の方々も来られますから、私は今から緊張してますの」
「そうよねぇ。レベッカはキアノ王子と一緒に行動しないとだもんね」
「ええ。お姉様とお祭りを歩きたかったですわ」
しょんぼりとした顔をするレベッカの頭を撫でてやった。
私も魔術師のことがなければ出店を見て回りたかったわよ。前世でもお祭りは好きだったもの。食べ切れもしないのに綿あめ買ったり、じゃがバターにバター乗せまくって胃もたれしたり、焼きそばやたこ焼きも買って、翌朝食べ残したものを朝ごはんにしたり。
懐かしいわ。思い出すと口の中に香りが広がってくるような気がしないこともなくもないわ。
「……おや」
「ん? あ、来たわね」
遠い昔の夏祭りに思いを馳せてる間に、目的の人物が驚いた顔をしてこちらに近付いてきた。
また私がここにいることに驚いたのか。私だけでなくグレッチャー家のご令嬢がいることに驚いたのか。
きっと両方ね。
「また会えて嬉しいよ、スカーレット」
「私もよ、ツヴェル王子。今日は貴女にお話が合って待っていたの」
「僕に? それに、そちらは……」
「お、お初にお目にかかります! 私、グレッチャー家の娘、レベッカと申します!」
レベッカは慌てて頭を下げた。
そっか。普通はそうよね。向こうは王子様なんだから、許可なく顔を上げちゃ駄目よね。
「レベッカ嬢、顔を上げてください。お噂は聞いてますよ、キアノ王子の婚約者様ですね。私はツヴェル・ゲンフェー・リカリットと申します。どうぞツヴェルと呼んでください」
「え、ええ。ありがとうございます、ツヴェル王子様」
「それで、スカーレット。今日は僕に用がある、ということなのでしょうか?」
「話が早くて助かります。大事なお話があるのだけど、良いかしら?」
「……良いですよ。それじゃあ、そこのカフェでお茶をしながらどうでしょう? 実は、貴女のくれた案を参考に、新メニューの試作品を用意してもらったんですよ」
「あら! お仕事が早いのね、ツヴェル王子。とても楽しみだわ」
早速フラペチーノが飲めるのね。最高だわ。今、喜びのあまり本題を忘れそうになっちゃった。
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