17 / 91
王都編
和解、そしてギルドヘ
しおりを挟む試合を終えた彰とジャックは受付のとこまで戻ってきていた。預けていた荷物を受け取るためである。
そして預けた荷物を受け取った彰はそのまますぐに帰れると思っていたのだが、ジャックに渡すものがあるから少し待ってくれと引き止められてしまった。
なので彰はしかたなく何かを取りに後ろに引っ込んだ受付の人を待っている間、ジャックと話をして時間をつぶしていた。
「驚いたよアキラ君、君がまさかここまで強いとは……」
「いや、ジャックさんも強かったですよ。一対一で親父以外に苦戦するなんて初めてです」
「アキラ君のお父さんはそんなに強いのかい?」
「ええ、修業で何回も戦ってるんですがまだ一回も勝てたことがないです」
自分をやすやすと下した彰が一度も勝てない相手がいるということを知ってジャックは驚く。
「そんな人が……やれやれ、どうやら私もまだまだ精進が足りないようだな」
そう言ってジャックは苦笑いを浮かべた。それに合わせるように彰も厳の顔を思い浮かべて苦笑いを浮かべる。
(あの親父でも心配してんのかな……う~ん、だめだ。母さんとかはともかく親父が心配する姿は想像できねぇ~わ。
きっと『俺の息子だ、心配はいらない』とか言ってそうだな。ハハハ)
彰は少し家族のことを思い出して少し悲しげに笑った。
するとそこにロイとエレナがやって来た。
ロイのさっきの態度を思い出し露骨に嫌な顔をする彰。
「あっここにいたんですか隊長それから……アキラさん…」
「……え?」
思わず拍子抜けしてしまう。彰としてはまた何か嫌味やらかなんかを言われるんじゃないかと思っていたのだ。
「ふふ、ロイさんったら試合が終わった瞬間に頭を抱えてしゃがみこんで
『ああ、僕はなんてことをしてしまったんだ……謝らなければ、アキラさんに謝らなければ!』って言い出してね―――」
と、エレナがニヤニヤした顔で言った。
「やめろエレナっ!!それ以上僕を辱めないでくれ……」
頭を抱えて暴れるロイ。しかし少しそうしていたかと思うと突然真剣な顔をして彰の方を向いた。
「僕が未熟だったばかりに行った数々の非礼申し訳ありませんでした」
そう言って頭を下げるロイ。彰もむかついてはいたがしっかりと謝ったので許してやった。
そこで受付の人が戻ってきてジャックに拳位の大きさの袋を渡す。
ジャックがそれをお礼を言って受け取ると受付の人はまた元の業務に戻って行った。
「さて、アキラ君、これがハーメルンにかけられていた懸賞金だ。
君は子供達を無傷で助け出してくれたから本来なら金貨5枚のとこを10枚にしてある受け取ってくれ」
彰はその袋を受け取るがそれの価値がよくわからないので喜んでいいのかわからない。
なのでとりあえずジャックにお金について聞いてみたところ、お金の種類は四つあり、
白金貨(金貨100枚分)
金貨(銀貨10枚分)
銀貨(銅貨10枚分)
銅貨
で、銅貨2枚でパンが一つ買えて、銀貨が1,2枚で宿に泊まれるくらいらしい。
どうやら結構な金額をもらったようだ。
これで当分お金には困らないなと安心する彰。
「そうか、アキラ君は王都に来るのは初めてなのか。
ならまずは冒険者ギルドに登録してギルドカードを作っておくといいよ。身分証明証として使えるから」
ジャックは冒険者ギルドの場所や特徴を教えてくれる。
冒険者ギルドと聞いて定番だなと思う彰。
「そうですか、じゃあ早速これから行ってみます。それでは…」
「あっちょっと待ってくれアキラ君」
行こうとする彰を引き止めるジャック。
「何ですか?」
「こんなことを言うのは負けた身として実に申し訳ないんだが今日の試合のことは…」
「内密にしてほしいってことですよね?大丈夫です。そのくらいは理解していますよ」
「そうか…すまない。
もし騎士団の隊長を預かる私が一人の少年に負けたとなると騎士団の権威が失墜してしまうかもしれないんだ。
そうなったら王都の秩序が乱れてしまう可能性があるのでな……重ね重ね申し訳ない」
頭を下げるジャック、ロイとエレナもそれに続いた。
「大丈夫ですよ。気にしないで下さい。こちらとしてはいい経験になりましたし。
それじゃ俺はこれで」
彰はジャック達にそう告げると詰所を出てジャックから教えてもらった通りに冒険者ギルドへと向かった。
◆◆◆◆◆◆◆
それからしばらくして彰は少し迷いながらもなんとか冒険者ギルドにたどり着いた。
冒険者ギルドの建物はかなり立派だった。思わず少し気遅れしてしまう。
「ここか…とりあえず入ってみよう」
彰はなんとなく緊張しながら木製の立派な扉を開けて中に入った。
ギルドの中は思っていたよりもきれいだった。
彰はもっと荒くれ者の集まるような場所だと思っていたのだ。
きょろきょろと中を見回しながらもとりあえず受付に向かう。受付に座っていたのはきれいなお姉さんだった。
(詰所の受付も女の人だったけど、こういう場所の受付は女性にしなきゃいけない決まりでもあるのか?)
そんなことを思いながら受付嬢に話しかける彰。
「冒険者に登録したいんですが…」
「新規の方ですか?登録には銀貨1枚をいただきますが大丈夫ですか?」
(この人見たかんじだとかなり若いな…)
と受付嬢は彰を見てそんなことを思う。
(金とるんだ…世知辛いな…)
一方、金をとると聞いて少しげんなりする彰。
しかし、当分は自分で稼がなきゃいけないことや身分証明証のことなどを考え、諦めてお金を払うことにする。
幸いさっきの懸賞金のおかげでお金はかなりあったので彰はさっきの袋から銀貨を1枚取り出し、受付嬢に渡した。
0
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で
重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。
魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。
案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる