付与術師の異世界ライフ

畑の神様

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王都編

和解、そしてギルドヘ

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 試合を終えた彰とジャックは受付のとこまで戻ってきていた。預けていた荷物を受け取るためである。

 そして預けた荷物を受け取った彰はそのまますぐに帰れると思っていたのだが、ジャックに渡すものがあるから少し待ってくれと引き止められてしまった。

 なので彰はしかたなく何かを取りに後ろに引っ込んだ受付の人を待っている間、ジャックと話をして時間をつぶしていた。


「驚いたよアキラ君、君がまさかここまで強いとは……」
「いや、ジャックさんも強かったですよ。一対一で親父以外に苦戦するなんて初めてです」
「アキラ君のお父さんはそんなに強いのかい?」
「ええ、修業で何回も戦ってるんですがまだ一回も勝てたことがないです」


 自分をやすやすと下した彰が一度も勝てない相手がいるということを知ってジャックは驚く。


「そんな人が……やれやれ、どうやら私もまだまだ精進が足りないようだな」


 そう言ってジャックは苦笑いを浮かべた。それに合わせるように彰も厳の顔を思い浮かべて苦笑いを浮かべる。


(あの親父でも心配してんのかな……う~ん、だめだ。母さんとかはともかく親父が心配する姿は想像できねぇ~わ。
 きっと『俺の息子だ、心配はいらない』とか言ってそうだな。ハハハ)


 彰は少し家族のことを思い出して少し悲しげに笑った。

 するとそこにロイとエレナがやって来た。

 ロイのさっきの態度を思い出し露骨に嫌な顔をする彰。


「あっここにいたんですか隊長それから……アキラさん…」
「……え?」


 思わず拍子抜けしてしまう。彰としてはまた何か嫌味やらかなんかを言われるんじゃないかと思っていたのだ。


「ふふ、ロイさんったら試合が終わった瞬間に頭を抱えてしゃがみこんで
『ああ、僕はなんてことをしてしまったんだ……謝らなければ、アキラさんに謝らなければ!』って言い出してね―――」


 と、エレナがニヤニヤした顔で言った。


「やめろエレナっ!!それ以上僕を辱めないでくれ……」


 頭を抱えて暴れるロイ。しかし少しそうしていたかと思うと突然真剣な顔をして彰の方を向いた。


「僕が未熟だったばかりに行った数々の非礼申し訳ありませんでした」


 そう言って頭を下げるロイ。彰もむかついてはいたがしっかりと謝ったので許してやった。

 そこで受付の人が戻ってきてジャックに拳位の大きさの袋を渡す。

 ジャックがそれをお礼を言って受け取ると受付の人はまた元の業務に戻って行った。



「さて、アキラ君、これがハーメルンにかけられていた懸賞金だ。
 君は子供達を無傷で助け出してくれたから本来なら金貨5枚のとこを10枚にしてある受け取ってくれ」


 彰はその袋を受け取るがそれの価値がよくわからないので喜んでいいのかわからない。

 なのでとりあえずジャックにお金について聞いてみたところ、お金の種類は四つあり、

 白金貨(金貨100枚分)
 金貨(銀貨10枚分)
 銀貨(銅貨10枚分)
 銅貨

 で、銅貨2枚でパンが一つ買えて、銀貨が1,2枚で宿に泊まれるくらいらしい。

 どうやら結構な金額をもらったようだ。

 これで当分お金には困らないなと安心する彰。


「そうか、アキラ君は王都に来るのは初めてなのか。
 ならまずは冒険者ギルドに登録してギルドカードを作っておくといいよ。身分証明証として使えるから」


 ジャックは冒険者ギルドの場所や特徴を教えてくれる。

 冒険者ギルドと聞いて定番だなと思う彰。


「そうですか、じゃあ早速これから行ってみます。それでは…」
「あっちょっと待ってくれアキラ君」


 行こうとする彰を引き止めるジャック。


「何ですか?」
「こんなことを言うのは負けた身として実に申し訳ないんだが今日の試合のことは…」
「内密にしてほしいってことですよね?大丈夫です。そのくらいは理解していますよ」
「そうか…すまない。
 もし騎士団の隊長を預かる私が一人の少年に負けたとなると騎士団の権威が失墜してしまうかもしれないんだ。
 そうなったら王都の秩序が乱れてしまう可能性があるのでな……重ね重ね申し訳ない」


 頭を下げるジャック、ロイとエレナもそれに続いた。


「大丈夫ですよ。気にしないで下さい。こちらとしてはいい経験になりましたし。
 それじゃ俺はこれで」


 彰はジャック達にそう告げると詰所を出てジャックから教えてもらった通りに冒険者ギルドへと向かった。





◆◆◆◆◆◆◆




 
 それからしばらくして彰は少し迷いながらもなんとか冒険者ギルドにたどり着いた。

 冒険者ギルドの建物はかなり立派だった。思わず少し気遅れしてしまう。


「ここか…とりあえず入ってみよう」


 彰はなんとなく緊張しながら木製の立派な扉を開けて中に入った。

 ギルドの中は思っていたよりもきれいだった。

 彰はもっと荒くれ者の集まるような場所だと思っていたのだ。

 きょろきょろと中を見回しながらもとりあえず受付に向かう。受付に座っていたのはきれいなお姉さんだった。


(詰所の受付も女の人だったけど、こういう場所の受付は女性にしなきゃいけない決まりでもあるのか?)


 そんなことを思いながら受付嬢に話しかける彰。


「冒険者に登録したいんですが…」
「新規の方ですか?登録には銀貨1枚をいただきますが大丈夫ですか?」


(この人見たかんじだとかなり若いな…)


 と受付嬢は彰を見てそんなことを思う。


(金とるんだ…世知辛いな…)


 一方、金をとると聞いて少しげんなりする彰。

 しかし、当分は自分で稼がなきゃいけないことや身分証明証のことなどを考え、諦めてお金を払うことにする。

 幸いさっきの懸賞金のおかげでお金はかなりあったので彰はさっきの袋から銀貨を1枚取り出し、受付嬢に渡した。 

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