付与術師の異世界ライフ

畑の神様

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王都編

初依頼

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「よし、今日から依頼を受けるぞ!」
「……おー」


 と、朝から何故かテンションの高い彰に淡々と答えるノエル。

 何故彰がこんなにテンションが朝から高いのかというとそれは今日、初めて依頼を受けることにしたからだ。

 単純な彰はそれが初めてやるというだけで興奮して仕方がないらしい。やっぱり残念な子である。

 とにかくそんな感じで二人は朝食を終えると軽く準備をしてギルドへと向かった。

 中に入ると早速受付に向かう。受付嬢はいつものお姉さんだった。


「あらアキラさん、今日こそ依頼ですか?そうですよね?そうなんですよね?」
「え、ああ、まぁそうです、ちょうどいいFランクの依頼ってありますか?」


(なんかこの人ヤンデレみたいになってるけど大丈夫なのか?)


 と、彰は内心思い、少し心配になったがとりあえず話を進めた。


「そうですね、それでしたら初めての依頼ということですので薬草集めの依頼なんてどうでしょうか?討伐系の依頼もあるにはありますけどこういう経験もしておくといいと思いますので」


 受付嬢の話を聞いてそれもそうだなと思った彰はこの依頼を受けることにした。


「じゃあ、それでお願いします」
「わかりました。それでは依頼の内容を説明します。この国には東と西に森があります。そこから10本の薬草を採取して、こちらまで持ってきてください。
 ただし東の森はまだ魔物の大量発生の警告が一応残っているので西の森からお願いします。
 まぁもっとも、魔物があまり確認されなくなってきているのでじきに解けるでしょうが……」


(あれ、俺が通って来たのって東の森だよな?そんなことが起こってたのか……どおりで魔物が多いと思ったわ。
 でもあの森の中であった奴ほどじゃなかったから助かったけどな)


 彰が最初に出会った魔物達が異常に強かったせいで途中の魔物がこの世界では十分強力だということに彰は気づかない。


「わかりました、行ってきます」
「……行ってくる」
「はい、いってらっしゃいませ」


 受付嬢に見送られながらギルドを後にする二人、そして遂に彰達の初めての依頼が始まった。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ということで西の門を出て、森にやって来た彰達はいざ薬草を探そうと思ったのだが……


「やばい、草がいっぱいありすぎてどれが薬草なのかわからん。どうしようか?」


 ということで森に入ってすぐの場所で止まっていた。そう、中に入ったまでは良かったのだが草が思っていたよりも生えていて、どれが目的の物かわからないのだ。

 しかもよく考えてみると彰は薬草がどんなものかも知らないというこの体たらく、はっきり言って救いようがなかった。


「どうしようかな…大人しく戻ろうかな…ってあれ?」


 彰が一人で落ち込んでいるといつの間にかノエルの姿がないことに気づく。


「ノエル?一体どこに行ったんだ?」


 心配になった彰が少し辺りを探すとノエルはすぐに見つかった。

 彼女は彰のいた場所からそんなに離れていない場所でしゃがみこんでいたのだ。


「ノエル!勝手に居なくなったら心配するだろ!」


 と彰が少し怒り気味で近ずくとノエルも彰に気づいて立ち上がる。

 その手には何かの草が握られていた。


「……アキラ…ごめん…でも、これ…」


 そう言ってノエルは持っていた草を渡す。


「これってもしかして薬草か!?でもどうやって…」
「……私、獣人…このくらい、臭いで分かる」
「そうか、ありがとうノエル。でもこれからは一人で行くなよ?危ないから」
「……うん、わかった」
「よし、じゃあノエルこの調子で頼む」
「……任せて」


 少し得意げなポーズをとるノエル。彰はちょっと可愛いなと思った。やはりロリコンである。

 とにかくそうして薬草を探し続けること数時間、なんだかんだ言ってすぐ薬草は集まった。まぁもっとも集めたのは全てノエルで、彰も探してはいたものの見つけたのは毒草や雑草ばかりであった。

 思ったよりもすぐ終わったので早速ギルドに報告して別の討伐系の依頼も受けてみ用ということになり、彰達はギルドに戻る事にする。

 そうしてギルドに戻ってきた彰達は真っ先に受付へと向かった。


「早かったですね?もう10本見つけたんですか?」
「はい、これを」


 そう答えて受付嬢に薬草を渡す彰。受付嬢は渡された薬草を確認する。


「はい、確かに、ではこれが報酬の銀貨2枚です。それでどうしますか?もう一つ依頼を受けますか?」


 彰は渡された銀貨をしまうと予定通り討伐系の依頼がないか聞いてみることにする。


「だったら討伐系の依頼ありますか?初心者向けの奴で」
「はいありますよ、ゴブリン10体の討伐ですね。討伐の証として耳を切り取ってきてください、場所はさっきと同じ西の森ですね」
「じゃあそれでお願いします」
「それではいってらっしゃいませ」

 ということで彰とノエルは途中宿屋によって昼食をとってから本日二度目の依頼のため西の森へと向かった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 森に着くとノエルは早速ゴブリンを探そうとするがその前に彰が考えていたことをノエルに告げた。


「ノエル、この依頼、俺は基本サポートに回るからゴブリンはノエルが倒してくれ」
「……いいけど…なんで…?」
「その武器や戦闘に慣れてもらいたいってのが一つ、もう一つはちょっと試してみたいことがあるんだ」
「……わかった…やってみる」


 二人はそう決めると注意深くゴブリンを探し始める。

 ゴブリンはどうやら西の森の少し深いとこに出るらしく入ってすぐの今まで薬草を探していた辺りでは出てこなかった。

 そして西の森を奥に少し進んだところでノエルが獣人ならではの第六感で何かの気配を捕えた。


「………来る」


 ノエルがそうつぶやいた直後茂みの中からゴブリンが飛び出し、手に持った棍棒で彰に殴り掛かって来た。

 しかし、その程度の攻撃は彰には通用しない。

 彰はその動きに合わせるように自分の剣を抜刀、力ずくで棍棒ごとゴブリンを切り裂いた。


「……アキラ、凄い」


 初めて彰の動きを見たノエルはその完成度の高さに驚く。

 しかし、ゴブリンはそいつ一体だけではなかったらしく1体、2体と続々と辺りから出てきた。

「ノエル、今のは咄嗟だったから倒したけど、ここからは予定通り俺はサポートに回るぞ?」
「……わかった…がんばる」


 ノエルは彰に負けじとボウガンに矢をセットし、矢を放つがどれも掠ったりするだけで致命傷にならず、一体も倒すことはできない。


「……くっ思ったより…難しい」


 なかなかゴブリンの数が減らない、彰ならこのゴブリンを全滅させるのは容易いが今回はノエルのスキルアップなども考えているのでどうしても危険な奴だけを攻撃していく。

 そうしているとノエルの矢がだんだん当たるようになってきた。やはりセンスは悪くないらしい。

 そしてどうやら感覚を掴んだらしくノエルの放った矢は一体、また一体とゴブリン達の頭を穿って行く。

 次々と倒されていくゴブリン達、気づけば最初十数体いたゴブリンは残り一体になっていた。

 そこで彰はノエルを止めてその一体を残してもらった。


「凄いなノエル、やるじゃないか」
「……それほどでもある」


 誇らしげに胸を張るノエル。一方、仲間を全員倒され、一人残されたゴブリンは逃走を始めた。


「よし、ノエル試したいことがある。今逃げたあいつに矢を放ってくれ」
「……でも…この距離だと…致命傷にならない…よ?」
「大丈夫、掠れば十分だ」
「……わかった、それなら…大丈夫」


 彰にそう答えるとノエルはボウガンに矢をセットし狙いをつける。そしてゆっくりとトリガーを引いた。

 瞬間、放たれるノエルの矢、それは吸い込まれるようにゴブリンへと向かって行く。


「属性付与―――”雷”」


 その放った矢がゴブリンに当たるまでの数秒間の間に彰は矢へと付与術をかける。

 そして電気を纏った矢は何とかゴブリンの右腕を掠めた。

 すると、ゴブリンは感電により体が痺れたらしい。

 ビクビクと痙攣するように動くと、その場に倒れてしまった。


「よし、成功だ。やっぱりボウガンと付与術は相性がいいな、これで矢にいろいろな属性を付与すれば強力な武器になる」
「………やっぱり…アキラはすごい…」
「いや、ノエルも流石だな、呑み込みが早い」
「……えっへん…私、えらい…?」
「ああ、偉い偉い、よくやったな」


 そう言ってノエルの頭を優しく撫でる彰。


「……うにゃぁ~…えへへ…」


 撫でられている間のノエルは普段と違い、とても感情豊かだ。

 彰はそんなノエルの反応を楽しんだ後、ゴブリンの耳を剥ぎ取り、ギルドに持っていった。

 こうして彰達の初めての依頼は無事に成功したのである。

 まぁもっとも初めてといっても、すでに薬草採取を終えていたので、実質二つ目なのだが……。

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