貴方に幸せの花束を

かかし

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中編

尊い友を得ることが出来る

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さてはて、実際始まった学園生活だけど………
忙しい。
とにかく忙しい。

ご学友だった時は、言い方悪いけど王子様とドミニク様のご機嫌だけ取ってれば良かった。
でも一般学生の今、しっかりと勉強しないと進級出来ないし、委員会だったり部活だったりと、やりたいこともいっぱいある。
結局僕は部活に入らないことにはしたけど、その分委員会とか勉強も頑張ることにした。

「ルイ、次移動教室だよー。」
「早く行こう!」
「うん、待って!」

友達も、なんとか作ることが出来た。
御者の言う通り挨拶と会話を意識したし、何よりヘクターくんのおかげでもある。
成績優秀だし、スポーツ万能なヘクターくんは人気者だ。
そんな人気者の同室者ってだけで友達になった僕は当然恨まれたりするかもしれないって思ってた。
以前の僕のように。
でも実際は、そんなことなかった。
僕自身がクラスの子達としっかり関係を築けるように、ヘクターくんがフォローしてくれたからだ。
すごい、格好良い。
おかげで実はクラスの中で貴族位は僕だけなんだけど、何の気兼ねなく仲良く出来てる。

学園では共に学ぶ者達、競う者達。

正直貴族が多いご学友とは違い、一般生徒枠はそういう意味じゃ平等だ。
貴族平民関係なく、互いが互いを高め合うライバルになってる。
だからこそ、尊い友を得ることが出来る。
そう考えると、僕はこっちの方が性に合ってるのかもしれない。

授業だって、貴族は家庭教師をつけるのが当たり前だから、正直一歩も二歩も先に行ってる。
だから以前の僕は全然授業についていけなかったんだけど、今はそこそこついていけてる。
………まぁ、そこそこの時点でヤバいのは分かってるんだけど。

「どこの教室だっけ?」
「第二魔術室だよ。」
「えっ!遠い………」
「ふはっ!ほら、急ごう!遅刻しちゃう。」

あからさまに面倒臭がる僕に、ヘクターくんが笑う。
初めましての日から思ってたけどすごく特徴的な笑い方するよね、ヘクターくん。
どっかで聞いたことあるような笑い方だけど、どこだっけ?

「ヘクター、ルイ!早く!!」
「今行く!」

クラスの子達に急かされるがまま、ノートとかが入ったカバンを持って教室を移動する。
僕達が最後だったから、しっかりと教室の鍵をかけることは忘れずに。
まぁ、鍵っていってもねじ締まり錠だけど。
意味あるのかな、これ。
しかも普通これ窓用じゃないの?
何で教室の扉にこれ?
そんな疑問を抱えながら、まぁ何かあったら学園側の問題だしと責任転嫁。

ギュッと最後の一締めをして、先に行ってしまってる皆の後を追う。
廊下は走っちゃダメだけど、ちょっとだけ早歩きするのは許して欲しい。
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