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中編
あかの (※残虐描写有)
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穏やかな風の音が聞こえる
優しい波の音が聞こえる
それは愛しい子守歌
眠りへと誘う、優しい小舟
―――赤、赤、赤
見たくもない、見せたくもない記憶。
押さえつけられ痛みよりも、明らかな無実の罪で裁かれるあの子の家族の処刑を見せられるのが辛い。
私と同じように押さえつけられ、必死に止めて欲しいと叫ぶあの子を見たくなかった。
そして、謀反の罪を着せられ無理矢理服毒された従兄弟の死体も、見たくなかった。
『何故ですか………何故ですか父上!!』
暴挙を働く王に、私は必死に説得を試みる。
あの子の兄の首が真っ先に飛んだ。
その次にあの子の妹が兵達に犯され切り刻まれた。
今、あの子の父と母が首を吊られ命を徐々に刈り取られていっている。
『お前がいつまでも負け続けるからだ。』
言われた意味が分からなかった。
何に負けたと言うのだろうか。
仮に私が負けているからといって、何故この場に居る全員が関係あるというのか。
『お前が気に入ったというから、役に立たぬと分かっていて傍に置いたと言うのに』
その言葉にハッとした。
父が一度だけ、気に入る者は居るか問うた。
その時私は、誰を指した?
その子はどうなった?
『よりにもよって、彼奴の子供に奪われおって』
あの時指したのはあの子の名前。
けれどあの子は従兄弟を選んだ。
私はそれを寂しいと思いながらも、けれどもそうだろうなと諦めて引いた。
だってあの子と従兄弟は、互いに惹かれ合っていたから―――
『勉学も、武力も負け、挙句に雌すら競り負けるとは………雄としてのプライドはないのか!』
父が吠えながら、あの子の父と母の首を一太刀にした。
弾けた血液が、近くに居たあの子に掛かる。
二人を呼びながら、あの子が慟哭する。
この惨状は、俺の所為なのか?
従兄弟は努力していた。
あの子に相応しい雄になるんだと、はにかみながら告げられた時に、嗚呼、勝てないなと思ったんだ。
幸せにしたいとは思っていた。
笑って欲しいとは思っていた。
けれども私は|私自身の立場王太子であることを選んだ。
捨てる勇気なんて、なかった。
『王として生きるならば、自分以外から全てを奪え。』
父の声が、頭の中で響くように聞こえる。
奪って、そして、何が残るんだ?
父が命令を下し、兵士達に私とあの子の拘束を解かせた。
何をさせるつもりなのか。
分かりたくないのに分かってしまった。
『奪え。お前は王になる者なのだから、その権利はある。』
何だ、それ。
私が………俺達が思い浮かべてたのは、そんなのじゃない。
そんなの、誰も望まない。
『………だろ』
『何だ』
『そんな権利なんて、ある訳ないだろうが!!!』
俺が吼えると同時に、父が鞘を握った。
俺は本当に、愚かだった。
ここまでの惨状を作っておきながら、この馬鹿が次に何をするのか理解していなかったのだ。
『レオ!!』
鞘を振りかぶり、真っ直ぐに俺へと振り下ろされる。
あの子が俺を呼んだのは、幻聴だと思いたかった。
あの子の背中が視界に広がったのは、幻覚だと思いたかった。
『皆、まだかなぁ………』
『今日は四人で一緒に夜更かししようねって、約束したのに』
優しい波の音が聞こえる
それは愛しい子守歌
眠りへと誘う、優しい小舟
―――赤、赤、赤
見たくもない、見せたくもない記憶。
押さえつけられ痛みよりも、明らかな無実の罪で裁かれるあの子の家族の処刑を見せられるのが辛い。
私と同じように押さえつけられ、必死に止めて欲しいと叫ぶあの子を見たくなかった。
そして、謀反の罪を着せられ無理矢理服毒された従兄弟の死体も、見たくなかった。
『何故ですか………何故ですか父上!!』
暴挙を働く王に、私は必死に説得を試みる。
あの子の兄の首が真っ先に飛んだ。
その次にあの子の妹が兵達に犯され切り刻まれた。
今、あの子の父と母が首を吊られ命を徐々に刈り取られていっている。
『お前がいつまでも負け続けるからだ。』
言われた意味が分からなかった。
何に負けたと言うのだろうか。
仮に私が負けているからといって、何故この場に居る全員が関係あるというのか。
『お前が気に入ったというから、役に立たぬと分かっていて傍に置いたと言うのに』
その言葉にハッとした。
父が一度だけ、気に入る者は居るか問うた。
その時私は、誰を指した?
その子はどうなった?
『よりにもよって、彼奴の子供に奪われおって』
あの時指したのはあの子の名前。
けれどあの子は従兄弟を選んだ。
私はそれを寂しいと思いながらも、けれどもそうだろうなと諦めて引いた。
だってあの子と従兄弟は、互いに惹かれ合っていたから―――
『勉学も、武力も負け、挙句に雌すら競り負けるとは………雄としてのプライドはないのか!』
父が吠えながら、あの子の父と母の首を一太刀にした。
弾けた血液が、近くに居たあの子に掛かる。
二人を呼びながら、あの子が慟哭する。
この惨状は、俺の所為なのか?
従兄弟は努力していた。
あの子に相応しい雄になるんだと、はにかみながら告げられた時に、嗚呼、勝てないなと思ったんだ。
幸せにしたいとは思っていた。
笑って欲しいとは思っていた。
けれども私は|私自身の立場王太子であることを選んだ。
捨てる勇気なんて、なかった。
『王として生きるならば、自分以外から全てを奪え。』
父の声が、頭の中で響くように聞こえる。
奪って、そして、何が残るんだ?
父が命令を下し、兵士達に私とあの子の拘束を解かせた。
何をさせるつもりなのか。
分かりたくないのに分かってしまった。
『奪え。お前は王になる者なのだから、その権利はある。』
何だ、それ。
私が………俺達が思い浮かべてたのは、そんなのじゃない。
そんなの、誰も望まない。
『………だろ』
『何だ』
『そんな権利なんて、ある訳ないだろうが!!!』
俺が吼えると同時に、父が鞘を握った。
俺は本当に、愚かだった。
ここまでの惨状を作っておきながら、この馬鹿が次に何をするのか理解していなかったのだ。
『レオ!!』
鞘を振りかぶり、真っ直ぐに俺へと振り下ろされる。
あの子が俺を呼んだのは、幻聴だと思いたかった。
あの子の背中が視界に広がったのは、幻覚だと思いたかった。
『皆、まだかなぁ………』
『今日は四人で一緒に夜更かししようねって、約束したのに』
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