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序章
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左目が全く見えない僕は、お父さんとお母さんとはなんの血の繋がりもない。
僕が6歳の頃、お母さんが村の入口で倒れてる僕を拾って養子にしたからだ。
そこそこ質のいい服を着ておきながら、おざなりに治療され傷跡の残る左目をした、裸足で横たわる子供。
どう考えても関わりたくないような風貌をした僕を、お母さんは優しく抱き上げると懸命に治療してくれた。
お父さんとお母さんが暮らしていた村はとても小さな村で、一番若いのがお父さんとお母さんという限界集落っぷり。
お医者さんだっておじいちゃんだったけど、そんなおじいちゃん先生も頑張ってくれた。
そうして生き延びた僕は、皆から聞かれる質問に何一つ答えることは出来なかった。
どこの家の子なのか。
どこから来たのか。
左目はどうしたのか。
何故、こんな辺鄙な村の入口に居たのか。
覚えていなかった訳じゃない。
ただ答えたくなかった。
答えを聞いたら、面倒な子だと放り出されるんじゃないかと怖かった。
『じゃあ、うちの子になるか。』
何度も口を開いたり閉じたりしながらも震える僕に、そう言って笑ったのはお母さんだった。
お父さんとお母さんは同性同士の夫夫だ。
その場合子供を作ることは出来るけど母体となる人の負担が大きい上に、お母さんはとても細く小さかったので母体となるにはリスクが大き過ぎて子供を作ることは諦めるという選択肢を取ったばかりだったらしいとは、後々聞いた。
でもこの時は知らなかったから、お母さんが………シューヤと名乗った男性がそう言ったことにすごくビックリしたを僕は今でも覚えてる。
『そうだな。お陰様で、子供一人増えた所で食っていける程度には稼げてる。』
シューヤさんが言った突拍子の無い言葉に、右目に眼帯を着けたお父さん………フィリップさんもなんて事ないようにそう言って豪快に笑うと、そのまま町役場で記憶喪失の子供を拾ったから養子にするというていで僕の養子縁組の手続きをしてしまった。
その日から、フィリップさんはお父さんでシューヤさんがお母さんとなった。
僕は色が白いこと以外に目立った特徴はなかった。
奥二重で鼻が低くて唇が小さくて、どこにでも居るような顔。
でも“どこにでも居るような顔”だからこそ、僕はお母さんとそっくりだった。
これまた珍しくないキャラメルブロンドの少し固めの髪質とヘーゼルの瞳はお父さんも持っていて、三人で大きな街に行った時に親子だと言えば誰も何も疑わなかった。
まぁ、お父さんと二人の時だと本当に?って疑われてしまうけど。
それでもお父さんとお母さんは、養子な上に一癖も二癖もある僕を本当の子供のように可愛がってくれた。
俺の本当の両親よりも、可愛がってくれた。
文字を知らない、そもそも上手く会話もできない、マナーだってなってない。
そんな僕にお父さんもお母さんも根気強く教えてくれた。
左目が見えないけどそれでも生活しやすいようにと、色々と考えてくれた。
それだけじゃなくて、12歳になったら学校に通わせてくれるらしい。
お金の工面だって大変なのに………。
「でも寂しいから、ちゃんと長期休みになったら帰って来てね。」
「何か困ったことがあったら、すぐに相談しろよ。」
まだ二年も先の話なのに、そう言ってぎゅうぎゅうと抱き締めてくれるお母さんとお父さんは、とても暖かくて泣きそうになる。
この温もりが、ずっとずっと続いて欲しいと思うのはワガママだろうか。
僕が6歳の頃、お母さんが村の入口で倒れてる僕を拾って養子にしたからだ。
そこそこ質のいい服を着ておきながら、おざなりに治療され傷跡の残る左目をした、裸足で横たわる子供。
どう考えても関わりたくないような風貌をした僕を、お母さんは優しく抱き上げると懸命に治療してくれた。
お父さんとお母さんが暮らしていた村はとても小さな村で、一番若いのがお父さんとお母さんという限界集落っぷり。
お医者さんだっておじいちゃんだったけど、そんなおじいちゃん先生も頑張ってくれた。
そうして生き延びた僕は、皆から聞かれる質問に何一つ答えることは出来なかった。
どこの家の子なのか。
どこから来たのか。
左目はどうしたのか。
何故、こんな辺鄙な村の入口に居たのか。
覚えていなかった訳じゃない。
ただ答えたくなかった。
答えを聞いたら、面倒な子だと放り出されるんじゃないかと怖かった。
『じゃあ、うちの子になるか。』
何度も口を開いたり閉じたりしながらも震える僕に、そう言って笑ったのはお母さんだった。
お父さんとお母さんは同性同士の夫夫だ。
その場合子供を作ることは出来るけど母体となる人の負担が大きい上に、お母さんはとても細く小さかったので母体となるにはリスクが大き過ぎて子供を作ることは諦めるという選択肢を取ったばかりだったらしいとは、後々聞いた。
でもこの時は知らなかったから、お母さんが………シューヤと名乗った男性がそう言ったことにすごくビックリしたを僕は今でも覚えてる。
『そうだな。お陰様で、子供一人増えた所で食っていける程度には稼げてる。』
シューヤさんが言った突拍子の無い言葉に、右目に眼帯を着けたお父さん………フィリップさんもなんて事ないようにそう言って豪快に笑うと、そのまま町役場で記憶喪失の子供を拾ったから養子にするというていで僕の養子縁組の手続きをしてしまった。
その日から、フィリップさんはお父さんでシューヤさんがお母さんとなった。
僕は色が白いこと以外に目立った特徴はなかった。
奥二重で鼻が低くて唇が小さくて、どこにでも居るような顔。
でも“どこにでも居るような顔”だからこそ、僕はお母さんとそっくりだった。
これまた珍しくないキャラメルブロンドの少し固めの髪質とヘーゼルの瞳はお父さんも持っていて、三人で大きな街に行った時に親子だと言えば誰も何も疑わなかった。
まぁ、お父さんと二人の時だと本当に?って疑われてしまうけど。
それでもお父さんとお母さんは、養子な上に一癖も二癖もある僕を本当の子供のように可愛がってくれた。
俺の本当の両親よりも、可愛がってくれた。
文字を知らない、そもそも上手く会話もできない、マナーだってなってない。
そんな僕にお父さんもお母さんも根気強く教えてくれた。
左目が見えないけどそれでも生活しやすいようにと、色々と考えてくれた。
それだけじゃなくて、12歳になったら学校に通わせてくれるらしい。
お金の工面だって大変なのに………。
「でも寂しいから、ちゃんと長期休みになったら帰って来てね。」
「何か困ったことがあったら、すぐに相談しろよ。」
まだ二年も先の話なのに、そう言ってぎゅうぎゅうと抱き締めてくれるお母さんとお父さんは、とても暖かくて泣きそうになる。
この温もりが、ずっとずっと続いて欲しいと思うのはワガママだろうか。
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