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ナチオルド子爵令息の華麗なる転落⑪(⑮)
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―――気に食わないなと、オズワルドは思った。
自分のパートナーに対して色目を使い、馴れ馴れしく名を呼ぶだけじゃなく触れようとする騎士団団長に。
爵位の差があるのですぐさま割って入ることはしない。
だが、不快には思う。
まぁ、ジェームズ本人が不快そうなので溜飲は下がったが。
チラリと、ジェームズがオズワルドを見た。
オズワルドにとって必要な存在か不要な存在かを聞いているのだろう。
オズワルドが中心だと言わんばかりの行動に、思わず口角が上がる。
「これはこれは………私のパートナーがお世話になっていたようで。」
オズワルドはいつものよそ行き笑顔でニッコリと笑い、ジェームズの肩を抱いて引き寄せた。
ジェームズはジッとオズワルドを見上げると、安心したようにフッと口角を上げてから頭を預けた。
可愛いなと撫で回したい衝動に駆られるが、気合入れてセットしている髪を崩したら恨まれそうなので今は耐えておく。
帰りの馬車の中で、思いっきり崩してやる予定だが。
「あ、ああ。これはモリス市長。お久しぶりです。」
「お久しぶりです。その節はどうも、お世話になりました。」
エフィスカリオ侯爵邸での瘴気騒ぎの時は、王都騎士団の力も借りた。
侯爵領である以上、王都騎士団には今後も力を借りることがあるだろう。
なのでこの場で抗議をするつもりはない。
そのつもりはないのだが、ジェームズはあくまで自分の伴侶であって、もう彼の部下ではないので釘はしっかりと刺しておく。
「ただ、いくら恩義がありましても私自身、嫉妬深い性質でして………。ああ、勿論、あくまでも元部下と元上司という関係だということは存じ上げています。ですがやはり、ね。こんなにも愛らしい伴侶が出来れば、束縛したくなってしまうのも仕方ないでしょう?」
オズワルドはしっかりとジェームズの肩を抱き寄せながら、笑みを浮かべながらそう言った。
愛らしい伴侶辺りでジェームズも周りの商人貴族達も首を傾げたが、騎士団長だけは悔しそうな表情を隠すことなくオズワルドを睨みつけた。
そんな反応に、ジェームズは訳が分からないなりにムッとする。
何でオズワルドを睨んでいるんだ。
「この子が急に騎士団を退団し半ば家出をするような形で出奔し、さぞ心配掛けたことでしょう。」
「俺、勘当された。」
「されてない。いい加減認めなさい。まぁ、こんな頑固な子なので心配な気持ちは私は痛い程分かります。」
逆の立場だったら、心配で正直仕事だって手もつかないと思う。
だからこそ別に声を掛け構いたくなる気持ちは大いに分かる。
だが、そこに下心があるならば、話は別だ。
「節度ある距離感で、今後もジェームズ・モリスとお付き合いしていただければ幸いです。」
ナチオルド子爵令息でも、ただのジェームズでもなく。
あくまでもオズワルド・モリスのパートナーとしか対応はさせない。
勿論、オズワルドも同伴の上での交流だ。
まぁ、そもそも同性でのパートナーとなると、異性も同性も不貞の対象となってしまう。
オズワルドの行動は別に行き過ぎでもなんでもないのだ。
「あ、ああ………。では、いずれ、また。」
団長は頷きながらも、グッと拳を握った。
少しでもジェームズが嫌がる素振りを見せるならば、衆目を浴びてでも引き離すつもりだった。
しかしながら、どうだ。
ジェームズはオズワルドの腕の中で、オズワルドの言葉を聞いて。
見たことのない程に幸せそうな笑みを浮かべていた。
勝てない。
男としても、もしかしたら上に立つ者としても勝てないと、一瞬でそう分かってしまった。
勝てる要素は一つ。
爵位だけ。
しかし安定と権力を捨てたジェームズには、そんなものゴミに等しいだろう。
「ええ。いずれ。」
ジェームズが望むのならばその機会を設けてやっても良いが、望まないのならば特には動かない。
そして今のジェームズは、騎士団という場所自体を劣等感を刺激してくる場所としか認識していないのだ。
いつかは乗り越えてコンタクト取りたいと言い出すかもしれないが、乗り越えてもそんなこと言い出さないかもしれない。
ジェームズの心境はジェームズのみぞ知るのだ。
「オズ。」
ジェームズはプライドが高かったが、今はもうそのプライドも随分崩れてしまって劣等感だけが残っている。
だから自分が目の前の男に下心を抱かれてなんて思っていないので、まるで弄ぶかのようにオズワルドの愛称を普通に呼んで袖を指で摘まんで軽く引っ張るというあざとい行動を見せつけれるのだ。
「ん?」
「挨拶、まだ残っているだろう?」
「ああ、そうだね。申し訳御座いません、我々は………」
「構わない。忙しいのに呼び止めてすまなかったな。」
失恋したばかりなのに、イチャイチャを見せつけられるのは正直辛い。
さっさとどこかに行ってくれと、切実にそう思った。
自分のパートナーに対して色目を使い、馴れ馴れしく名を呼ぶだけじゃなく触れようとする騎士団団長に。
爵位の差があるのですぐさま割って入ることはしない。
だが、不快には思う。
まぁ、ジェームズ本人が不快そうなので溜飲は下がったが。
チラリと、ジェームズがオズワルドを見た。
オズワルドにとって必要な存在か不要な存在かを聞いているのだろう。
オズワルドが中心だと言わんばかりの行動に、思わず口角が上がる。
「これはこれは………私のパートナーがお世話になっていたようで。」
オズワルドはいつものよそ行き笑顔でニッコリと笑い、ジェームズの肩を抱いて引き寄せた。
ジェームズはジッとオズワルドを見上げると、安心したようにフッと口角を上げてから頭を預けた。
可愛いなと撫で回したい衝動に駆られるが、気合入れてセットしている髪を崩したら恨まれそうなので今は耐えておく。
帰りの馬車の中で、思いっきり崩してやる予定だが。
「あ、ああ。これはモリス市長。お久しぶりです。」
「お久しぶりです。その節はどうも、お世話になりました。」
エフィスカリオ侯爵邸での瘴気騒ぎの時は、王都騎士団の力も借りた。
侯爵領である以上、王都騎士団には今後も力を借りることがあるだろう。
なのでこの場で抗議をするつもりはない。
そのつもりはないのだが、ジェームズはあくまで自分の伴侶であって、もう彼の部下ではないので釘はしっかりと刺しておく。
「ただ、いくら恩義がありましても私自身、嫉妬深い性質でして………。ああ、勿論、あくまでも元部下と元上司という関係だということは存じ上げています。ですがやはり、ね。こんなにも愛らしい伴侶が出来れば、束縛したくなってしまうのも仕方ないでしょう?」
オズワルドはしっかりとジェームズの肩を抱き寄せながら、笑みを浮かべながらそう言った。
愛らしい伴侶辺りでジェームズも周りの商人貴族達も首を傾げたが、騎士団長だけは悔しそうな表情を隠すことなくオズワルドを睨みつけた。
そんな反応に、ジェームズは訳が分からないなりにムッとする。
何でオズワルドを睨んでいるんだ。
「この子が急に騎士団を退団し半ば家出をするような形で出奔し、さぞ心配掛けたことでしょう。」
「俺、勘当された。」
「されてない。いい加減認めなさい。まぁ、こんな頑固な子なので心配な気持ちは私は痛い程分かります。」
逆の立場だったら、心配で正直仕事だって手もつかないと思う。
だからこそ別に声を掛け構いたくなる気持ちは大いに分かる。
だが、そこに下心があるならば、話は別だ。
「節度ある距離感で、今後もジェームズ・モリスとお付き合いしていただければ幸いです。」
ナチオルド子爵令息でも、ただのジェームズでもなく。
あくまでもオズワルド・モリスのパートナーとしか対応はさせない。
勿論、オズワルドも同伴の上での交流だ。
まぁ、そもそも同性でのパートナーとなると、異性も同性も不貞の対象となってしまう。
オズワルドの行動は別に行き過ぎでもなんでもないのだ。
「あ、ああ………。では、いずれ、また。」
団長は頷きながらも、グッと拳を握った。
少しでもジェームズが嫌がる素振りを見せるならば、衆目を浴びてでも引き離すつもりだった。
しかしながら、どうだ。
ジェームズはオズワルドの腕の中で、オズワルドの言葉を聞いて。
見たことのない程に幸せそうな笑みを浮かべていた。
勝てない。
男としても、もしかしたら上に立つ者としても勝てないと、一瞬でそう分かってしまった。
勝てる要素は一つ。
爵位だけ。
しかし安定と権力を捨てたジェームズには、そんなものゴミに等しいだろう。
「ええ。いずれ。」
ジェームズが望むのならばその機会を設けてやっても良いが、望まないのならば特には動かない。
そして今のジェームズは、騎士団という場所自体を劣等感を刺激してくる場所としか認識していないのだ。
いつかは乗り越えてコンタクト取りたいと言い出すかもしれないが、乗り越えてもそんなこと言い出さないかもしれない。
ジェームズの心境はジェームズのみぞ知るのだ。
「オズ。」
ジェームズはプライドが高かったが、今はもうそのプライドも随分崩れてしまって劣等感だけが残っている。
だから自分が目の前の男に下心を抱かれてなんて思っていないので、まるで弄ぶかのようにオズワルドの愛称を普通に呼んで袖を指で摘まんで軽く引っ張るというあざとい行動を見せつけれるのだ。
「ん?」
「挨拶、まだ残っているだろう?」
「ああ、そうだね。申し訳御座いません、我々は………」
「構わない。忙しいのに呼び止めてすまなかったな。」
失恋したばかりなのに、イチャイチャを見せつけられるのは正直辛い。
さっさとどこかに行ってくれと、切実にそう思った。
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