蒸汽帝国~真鍮の乙女~

万卜人

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儀式

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 小屋からは、急に坂が急になった。
 ごつごつとした岩場がつらなり、なんどもその岩をよじ登るようにして登る。
 ときおり巨大な石組みの残骸が行く手をふさぎ、意外な場所で醜悪な怪物の像がぬっと出現し、辺りは気味が悪い景色となった。
「この辺は、魔王の城の城郭部分でな、山全体が城といっていい。魔王はこの山全体に結界をはり、みずからの魔力を強くしておったのじゃよ」
 ホルスト老人は、足場の悪い岩の間を身軽に飛び移りながら、ふたりに説明を続けた。
 パックとミリィといえば、老人の後を追うだけで精一杯で、まわりの風景を鑑賞する余裕などまったくなかった。
 朝早く出かけたというのに、昼過ぎになってもまだ山の中腹にも達しない。そろそろ太陽は中天をこし、西の空にひくくかかりはじめている。
 もう一、二時間で夕暮れになる。
「まだつかないの?」
 とうとうミリィは悲鳴をあげていた。
 パックもまた、頭から足の爪先までずっぽりと疲労につかって、答えることも出来ないでいた。
「まだまだじゃ! 今夜はキャンプすることになるぞ」
「キャンプ……野宿ってことですか?」
 パックはげっそりとした。
 こんなに苦労するとは思いもしなかった。
 老人はにやりと笑った。
「苦労すればそれだけ、ご先祖の恩というのが身にしみるもんじゃ。それ、今夜はそこで休むとするか」
 老人はふたりに、巨大な根をはっている巨木を指さした。
 パックとミリィは、倒れこむようにしてその巨木の根本に身を投げ出した。
 はあはあと何度も深呼吸をくりかえして、やっと辺りを見回す余裕ができた。
 気がつくと、太陽は西の稜線に沈むころで、オレンジ色の光があたりを染め上げている。
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