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伯爵
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いったい、いつの時代に描かれたものだろう。
ひとりの青年の全身像が描かれている。
年令二十代後半くらいか、ほっそりとした細身の身体に、ぴったりとした騎士のコスチュームをまとっている。真っ赤な上着に、青いズボン。膝まである革靴。ズボンの両脇には黒と黄色で縁取りを縫い付けられている。腰には細身の剣をたらし、肩からはマントがひるがえっていた。
青年の顔はやや憂いをおび、その目はどこか遠くを眺めているようだった。真っ黒い髪の毛に、灰色の瞳。画家はこの肖像画にどこか不安な雰囲気をこめることに成功していた。
その青年の顔を見つめるミリィは、奇妙な感覚に襲われていた。
なんだか肖像画の人物に見つめられているような……。
いまにもその肖像画から、青年が歩み寄ってきそうな……。
!
絵の中の青年のマントがかすかに動いた──ような気がする。
ぶるっ、とミリィは首をふった。
馬鹿な、どうかしている。
隣りのケイはぽかん、と口をあけている。
「どうしたの?」
「見た? マントが動いたわ!」
ミリィは仰天した。
それではいまのは気のせいではなかったのか?
と、青年が一歩、足を前に踏み出した。
ひとりの青年の全身像が描かれている。
年令二十代後半くらいか、ほっそりとした細身の身体に、ぴったりとした騎士のコスチュームをまとっている。真っ赤な上着に、青いズボン。膝まである革靴。ズボンの両脇には黒と黄色で縁取りを縫い付けられている。腰には細身の剣をたらし、肩からはマントがひるがえっていた。
青年の顔はやや憂いをおび、その目はどこか遠くを眺めているようだった。真っ黒い髪の毛に、灰色の瞳。画家はこの肖像画にどこか不安な雰囲気をこめることに成功していた。
その青年の顔を見つめるミリィは、奇妙な感覚に襲われていた。
なんだか肖像画の人物に見つめられているような……。
いまにもその肖像画から、青年が歩み寄ってきそうな……。
!
絵の中の青年のマントがかすかに動いた──ような気がする。
ぶるっ、とミリィは首をふった。
馬鹿な、どうかしている。
隣りのケイはぽかん、と口をあけている。
「どうしたの?」
「見た? マントが動いたわ!」
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と、青年が一歩、足を前に踏み出した。
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