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第十章
真兼モール
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デート当日。
真兼モール出入り口に掲げられている「銀河番長ガンガガン」イベントショーの幟{のぼり}を目にし、僕はちょっと後悔した。イベント開催については、ちゃんと承知していたのに、すっかり念頭から消えていたのだ。
いやいや、僕は「ガンガガン」というマンガとアニメは好きですよ。主人公が番長という設定なのに、ストーリー自体はガッツリSFしているのが好感が持てる。もっともこんなことをガンガガンのファンであるツッパリや、ヤンキーに言えば額に青筋を立てて「ガンガガンをSFなんていうのは許せねえ!」と怒り狂うだろうが。
それにガンガガンのキャラクターの一人、リームを演じている声優の黒木来夢は、僕のお気に入りの声優だ。
問題なのはガンガガンの主なファン層は小さい子供だからだ。当然、イベントを開催している休日となると、モールには子供たちが殺到することになる。
僕は背後を振り返り、新山姉妹に話し掛けた。
「どうする? ガンガガンのイベントがあるよ」
すると檸檬と蜜柑の二人は、にっこりと笑いかけ答えた。
「あたしたち、ガンガガンは好きですよ」
「そう、本格的なSF作品ですから」
僕は呆気にとられ、つい大声を上げた。
「えーっ? 君たち、実はSF者だったのか!」
僕の驚きに、双子はニンマリと笑いかけた。
これで安心だ。僕は双子を伴い、真兼モールに入った。
モールに入ると、その場にいた客たちが一斉に僕を見た。もちろん、僕を見ているわけではなく、背後の双子に注目しているだけだ。
僕は素早くモール内を見渡した。
どこかに朱美がいるはずだが、僕の視界には入ってこない。
ゆっくり歩いていくと、突然、大音量の音楽がフロア内を満たした。
「銀河番長ガンガガン」のテーマソングだ。今どきのアニメの主題歌には珍しく、歌詞のほとんどがガンガガンの名前を連呼している。
♪銀河番長ガンガガン!
♪叫べ、走れ、飛べガンガガン・ロボ!
♪敵は銀河を滅ぼすオータック大魔王!
♪負けるなガンガガン、くじけるなガンガガン!
♪銀河は君の出番を待っている~!
こんな調子で勇ましいマーチ調の音楽が、フロア内に鳴り響いていた。歌に合わせ、子供たちの黄色い歓声が上がっている。音楽の鳴り響く方向を見ると、やってる、やってる! ガンガガンのイベントショーが、一階フロア真ん中の演壇で始まっていた。
濛々とした水蒸気が巻き起こり、噴霧された白い霧の中からガンガガンの操る巨大ロボが姿を現した。着ぐるみだから、せいぜい身長二メートルほどだが、驚くほど出来は良く迫真性があった。
すると一方の出口から敵方のロボットや怪人がわらわらと出現し、ガンガガンロボと丁々発止の戦いが始まる。
凄え!
初めて見るが、迫力たっぷりで、こりゃ子供ばかりじゃなく僕のような屋探{やさぐ}れたSFオタクだって虜にするはずだ。
僕たちは吸い込まれるように、イベントショーに近づいていった。周囲にはすでにショーにかじりつくように、子供たちの輪が出来ていた。
まさかあの中に入り込むわけにもいかず、僕は落ち着ける場所を探した。
するとショーから少し離れた場所に、セルフサービス方式の喫茶コーナーを見つけた。フロア内に幾つかテーブルが出され、そこには何組かの先客がいる。
双子を振り向くと、僕の意を汲んで軽く頷いた。
喫茶コーナーに近づくと、一番外側のテーブルに座っている一組が目についた。
背の高いスタイルの良い美人が二人。一人は日本人だが、もう一人は肌の色から判断してアフリカ系の少女だ。どちらも美人であることには変わりない。二人のテーブルにはジャガイモに目鼻といった感じの、もっさりとした印象の男性が座っている。
僕はそのテーブルに座っている日本人の美人に、目が釘付けになってしまった。
だってその美人の胸ときたら!
ほとんど顔と同じくらいあって、しかも重力に負けずドーンと前に突き出しているんだぜ!
これが目に入らずにいられましょうか!
僕の口は我知らず、ポカンと開きっぱなしになっていたのだろう。
いきなり横から手が伸びてきて、僕の開きっぱなしの顎を上へ押し上げた。パクン! と僕の口は勢いよく閉じ、その手の持ち主が横柄な口調で話し掛けた。
「何、ボケーっと見ているんだ! 今のお前の顔、バカみたいだぞ!」
さっと視線をやると、真っ赤な髪の毛、ピンク色の縁をした眼鏡を架けた美少女が視界に入ってきた。
真兼朱美だった。
真兼モール出入り口に掲げられている「銀河番長ガンガガン」イベントショーの幟{のぼり}を目にし、僕はちょっと後悔した。イベント開催については、ちゃんと承知していたのに、すっかり念頭から消えていたのだ。
いやいや、僕は「ガンガガン」というマンガとアニメは好きですよ。主人公が番長という設定なのに、ストーリー自体はガッツリSFしているのが好感が持てる。もっともこんなことをガンガガンのファンであるツッパリや、ヤンキーに言えば額に青筋を立てて「ガンガガンをSFなんていうのは許せねえ!」と怒り狂うだろうが。
それにガンガガンのキャラクターの一人、リームを演じている声優の黒木来夢は、僕のお気に入りの声優だ。
問題なのはガンガガンの主なファン層は小さい子供だからだ。当然、イベントを開催している休日となると、モールには子供たちが殺到することになる。
僕は背後を振り返り、新山姉妹に話し掛けた。
「どうする? ガンガガンのイベントがあるよ」
すると檸檬と蜜柑の二人は、にっこりと笑いかけ答えた。
「あたしたち、ガンガガンは好きですよ」
「そう、本格的なSF作品ですから」
僕は呆気にとられ、つい大声を上げた。
「えーっ? 君たち、実はSF者だったのか!」
僕の驚きに、双子はニンマリと笑いかけた。
これで安心だ。僕は双子を伴い、真兼モールに入った。
モールに入ると、その場にいた客たちが一斉に僕を見た。もちろん、僕を見ているわけではなく、背後の双子に注目しているだけだ。
僕は素早くモール内を見渡した。
どこかに朱美がいるはずだが、僕の視界には入ってこない。
ゆっくり歩いていくと、突然、大音量の音楽がフロア内を満たした。
「銀河番長ガンガガン」のテーマソングだ。今どきのアニメの主題歌には珍しく、歌詞のほとんどがガンガガンの名前を連呼している。
♪銀河番長ガンガガン!
♪叫べ、走れ、飛べガンガガン・ロボ!
♪敵は銀河を滅ぼすオータック大魔王!
♪負けるなガンガガン、くじけるなガンガガン!
♪銀河は君の出番を待っている~!
こんな調子で勇ましいマーチ調の音楽が、フロア内に鳴り響いていた。歌に合わせ、子供たちの黄色い歓声が上がっている。音楽の鳴り響く方向を見ると、やってる、やってる! ガンガガンのイベントショーが、一階フロア真ん中の演壇で始まっていた。
濛々とした水蒸気が巻き起こり、噴霧された白い霧の中からガンガガンの操る巨大ロボが姿を現した。着ぐるみだから、せいぜい身長二メートルほどだが、驚くほど出来は良く迫真性があった。
すると一方の出口から敵方のロボットや怪人がわらわらと出現し、ガンガガンロボと丁々発止の戦いが始まる。
凄え!
初めて見るが、迫力たっぷりで、こりゃ子供ばかりじゃなく僕のような屋探{やさぐ}れたSFオタクだって虜にするはずだ。
僕たちは吸い込まれるように、イベントショーに近づいていった。周囲にはすでにショーにかじりつくように、子供たちの輪が出来ていた。
まさかあの中に入り込むわけにもいかず、僕は落ち着ける場所を探した。
するとショーから少し離れた場所に、セルフサービス方式の喫茶コーナーを見つけた。フロア内に幾つかテーブルが出され、そこには何組かの先客がいる。
双子を振り向くと、僕の意を汲んで軽く頷いた。
喫茶コーナーに近づくと、一番外側のテーブルに座っている一組が目についた。
背の高いスタイルの良い美人が二人。一人は日本人だが、もう一人は肌の色から判断してアフリカ系の少女だ。どちらも美人であることには変わりない。二人のテーブルにはジャガイモに目鼻といった感じの、もっさりとした印象の男性が座っている。
僕はそのテーブルに座っている日本人の美人に、目が釘付けになってしまった。
だってその美人の胸ときたら!
ほとんど顔と同じくらいあって、しかも重力に負けずドーンと前に突き出しているんだぜ!
これが目に入らずにいられましょうか!
僕の口は我知らず、ポカンと開きっぱなしになっていたのだろう。
いきなり横から手が伸びてきて、僕の開きっぱなしの顎を上へ押し上げた。パクン! と僕の口は勢いよく閉じ、その手の持ち主が横柄な口調で話し掛けた。
「何、ボケーっと見ているんだ! 今のお前の顔、バカみたいだぞ!」
さっと視線をやると、真っ赤な髪の毛、ピンク色の縁をした眼鏡を架けた美少女が視界に入ってきた。
真兼朱美だった。
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