【アステリウム】

漣 琉華

文字の大きさ
16 / 19

13、レンドルフ帝国王女ユリシアの心配

しおりを挟む
無理やり護衛を振り切って外に出て、獣に襲われて、助けられ手当された。


お兄様は最初警戒していたけれど、そんなのが無駄に思えるほどに、フィリア姉様は優しくて暖かい人だった。



帰ってからは、お手紙を沢山書いて送った。お兄様達も私ほどではないけれど送っているのを知っている。ジーク兄様は絶対フィリア姉様が好きだと思うのだけど、憎たらしいことにお姉様には婚約者がいる。


噂では婚約者扱いをしていないらしいが…どうしてくれようかしら



ーお姉様が専属メイドであるアンジェと一緒にやってきた。


お姉様は、どことなく貴族令嬢らしからぬところがあるひとだが優しくて、ちゃんと公の場ではきちんと振る舞える人で私は大好きだ。



お姉様はしばらく会わない間に、とても綺麗になっていた。サラリと揺れる艶やかな黒髪、海のように綺麗な宝石のような瞳。まだあどけなく見える部分と落ち着いた大人っぽく見える部分が合わさって、魅力が上がったと思う。アンジェはますます凛々しくどことなく冷たい美女になっていた。



国に来たお姉様は、少し疲れて見えた。


「ユディ、少し外に行かない?」


「どこに行くのですか?フィリア姉様。」


「アンジェとあと護衛を連れて少し乗馬をしようと思って!どうかしら?」


「やります!お姉様と一緒に!」


「服は私が商会に頼んでおいたのがあるからそれにしましょう。じゃあ、明日にね。陛下には、きちんと許可を得ておくわ。」



ーー体にピッタリとした白いズボンに金ボタンの付いた赤いジャケット。濃茶のロングブーツといった格好をしたお姉様は、いつもよりも凛とした感じだった。髪を1つに結っている(ポニーテール)こともあると思う。



…一緒に、散歩したり、本を読んでもらったり、数日はあっという間に過ぎていった。


ただ、部屋で抱きしめられ「ありがとうユディ…………もう少し頑張れそうよ。」


後半はよく聞こえなかったが、この時に城に引き留めていたらあんな婚約者に馬鹿なことをされることもなかったのかもしれないと怒り狂いお姉さまの国に乗り込もうとして周りに止められる羽目になるのは、お姉さまが帰ってしばらく経った後だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

卒業パーティーのその後は

あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。  だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。   そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

モブは転生ヒロインを許さない

成行任世
恋愛
死亡ルートを辿った攻略対象者の妹(モブ)が転生ヒロインを断罪します。 .

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

処理中です...