【アステリウム】

漣 琉華

文字の大きさ
17 / 19

14、フィリア

しおりを挟む
ついに、その時がやってきたか。


私とティファーナが17となり、後1年で卒業となる年にヒロインの少女が編入生としてやって来た。


このお話の中でヒロインとなるのは、子爵家の少女。元は少し裕福な家庭の少女だが、親をなくし、子爵家に引き取られて養女となり攻略対象者と出会い結ばれる。


ヒロインは、その愛らしい見た目と明るい人柄で、あっという間にジェイク殿下と仲良くなりよく一緒にいるのを見かけるようになった。


私を目の敵にしているメルドア公爵令嬢達は、標的をヒロインの少女アイナに変更したらしい。私の仕業に見せかけようとしているが、兄達には通用しないだろうし、家のこともある。隙を見せなければ良いと、とりあえずは様子見に留めているが、ティファーナはご立腹らしい。


「フィリア、本当に良いの?あの子、礼儀作法などや常識に疎すぎるわ。あんな子が王子妃になるなんて無理よ。私のように王妃教育を受けているわけでもない。貴方のように、第2王子妃となるための努力をしていないのよ。貴方は魔道具研究所でも努力して、素晴らしい成果を上げているわ。あの子は貴方に少しも勝てるところがないじゃないの。」


「ティファ、いいのよ。少なくとも、彼女と一緒にいるジェイク殿下は笑っていらっしゃるわ。もしも彼女と一緒になりたいのなら、手順を踏んで婚約を破棄することを伝えて正式な方法で破棄すればいい。そして教育をすぐに受けさせて努力してもらえば良いわ。」


「そんな簡単にはいかないわよ。貴方は世界の共通語以外に帝国や他国の言葉や文化だって学んでいたのよ。追いつけるわけがないわ。」


「ティファのおかげよ、それは。…ねぇ、ティファ。もし正式に婚約が破棄されてしまったら、多少騒がれるでしょうけど結婚出来なくなるわけじゃないわ。大人になっても会えるわ。だから、大丈夫よ。」


「……無理はしちゃダメよ。」


「ええ、ありがとう…ティファーナ。」



だが、メルドア公爵令嬢のやり方は激しくなっていき、私が嫌がらせをしていることになっていった。私のことを信じてくれている人は、意外にも多いし、下級貴族の令息、令嬢にはなぜか好かれているので、心配された。


ジェイク殿下には、睨まれるようになり、2回ほど怒鳴られた。


最初から嫌われていたが、それに拍車がかかったらしい…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

卒業パーティーのその後は

あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。  だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。   そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

モブは転生ヒロインを許さない

成行任世
恋愛
死亡ルートを辿った攻略対象者の妹(モブ)が転生ヒロインを断罪します。 .

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

処理中です...