出来の悪い令嬢が婚約破棄を申し出たら、なぜか溺愛されました。

香取鞠里

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 次に目が覚めた時、目の前にレオンの顔があった。


「おはよう、リリィ」

「おは、おはよう」

 レオンとあんなことになったから、目を合わせられない。

 けど、視線をそらした先に見えた景色はレオンの部屋の光景で、更には窓から見える空の様子からすっかり次の日の朝になっていることを感じ取って、恥ずかしさが余計に大きくなった。


「私、そろそろ帰ります」

 一晩ここで過ごしてしまったのなら、私が帰らなかったことを心配されているだろう。

 本来ここに来た理由も今となってはうやむやになっていることもあり、私は一旦引き上げようと上体を起こそうとする。

 しかしそれは、隣で横になっていたレオンにより制された。


「ダメだよ。リリィはしばらくここで一緒に過ごすのだから」

「どういうこと?」

「リリィのお屋敷には、しばらくリリィは僕と過ごすと連絡を入れてあるから心配要らない」

「どうして……」

「言っただろう? リリィにどれだけ僕が君のことを好きかをわからせるって。わかってくれたら、この婚約破棄はなかったことにするって」


 顎を上に向けられたと思えば、優しく唇が重なった。

 それからは、朝晩、レオンに愛される日々が続いた。

 けれど、レオンはどうしてそこまでして私を……?

 それ以外は、何をやっても私はどんくさくて、レオンに愛されていることはわかっても、なかなか信じることはできなかった。


「……はぁっ」

 この日の夜も、レオンと素肌をぶつけ合う。


「ねぇ、リリィ」

「何?」

「まだ僕のこと信じられない?」

「……」


 わからない。

 毎朝、毎晩愛してくれるくらい、レオンは私のことを好きでいてくれるのだろう。

 けど、何でという疑問符ばかりが私の頭のなかに浮かんで、何となく半信半疑なのだ。

 私、レオンを信じて良いのかな?

 レオンは、どうしてこんなどんくさい私を好きだと言ってくれるのだろう?

 もはや強引に婚約破棄を押し通すこともできず、かといってレオンの気持ちを完全に信じられないまま、今夜も私はレオンに抱かれたのだった。
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