青年オメガは変わり者アルファに恋をする

神谷レイン

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おまけ 鬼崎芸能事務所では

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《お話の前に》
このお話には鬼崎と聡介は勿論、「年上オメガ~」と「生意気オメガ~」のカップル達が出てきます。なので読んでない方は途中まですっ飛ばして読んでね(*'ω'*)

そして三作品とも読んでいる方へ。
三作品の時系列は「青年オメガ」→「生意気オメガ」→「年上オメガ」(現在)という流れで書いています。

ですが、このお話では→→→
「青年オメガ」的には鬼崎と聡介が結婚して5,6年目。
「生意気オメガ」の蘇芳と彰が結婚して2,3年目。
「年上オメガ」の朝陽と凛はまだ番になっておらず、「年上オメガ」本編の一年前のお話。という感じです。

なので『あれ?朝陽と凛はまだ番じゃない?』とならないよう、上記の事を念頭に本編をお楽しみくださいませ~('ω')ノ


***************************




 ――――それは聡介と鬼崎が結婚して数年後の、ある日の鬼崎事務所。

「仁にぃ! 聞いてくれよぉ、蘇芳のやつがぁ!!」

 プリプリと怒りながら社長室に入ってきたのは子役の頃から事務所に所属し、今では看板俳優の一人として活躍している彰(アキラ)だった。
 二十代半ばだと言うのに、まだまだ高校生でも通用しそうなあどけない顔立ちに、金の髪とキャラメル色の瞳は可愛く、老若男女から人気がある。そして鬼崎と子供の頃から兄弟のように育った彰は、時折こうして旦那の愚痴りに社長室へとくるのだが、そこに当人はおらず、代わりに同じ所属俳優の天ヶ瀬・凜(あまがせ・りん)がいた。

 凛は三十を過ぎた男だが、175㎝の細身の体。Ω(オメガ)特有の色素の薄い髪と瞳。色白の肌に端正な顔立ちは美しく、だが見た目に反して性格はなかなかの天然で、そのギャップからこちらも幅広い世代に人気があった。
 なので、二人は事務所の看板俳優と言っても過言ではなかった。
 そして二人は若い頃から親しくしているので、当然彰は凛に声をかけた。

「あれ? 凛じゃん」
「彰君」
「凛がどうしてここに? 仁にぃは?」

 そう彰は問いかける。年齢は凛の方が上だが彰の方が芸歴は長く、そしてあっけらかんとした性格もあって年上の凛にも彰は鬼崎と変わらない話し方をした。そして凛も気にせず、普通に返した。

「俺は待ち合わせ。社長なら急用ができたって言って、さっき帰ったよ。それから一週間ほど休むって」

 凛が答えると、彰は「あ~」と納得の声を上げた。ハッキリした言葉はなかったが、鬼崎のパートナーがヒートになった事を彰はすぐに察したからだ。けれど過去を知る彰はしみじみと呟いた。

「本当、仁にぃってば変わったなぁ。俺や凛には変わらない態度だけど、昔は基本的にΩには冷たかったのに」

 彰が腕を組んで過去を思い出しながら言えば、同じく鬼崎の過去を知る凛は頷いた。

「そうだね。俺達には優しかったけど、昔はちょっと冷たいところがあったよね。でも、それも他のΩの子達が詰め寄ってたからだと思うけど」
「仁にぃって顔良いもんな。この前も打ち合わせに来ていた人にモデルだと勘違いされてたし」
「毎回の事だよね」

 凜はふふっと笑って言った。そして聞いた話を思い出す。

「でも実際、鬼崎社長って子供の頃は子役もしていた事があるんだよね? 彰君と兄弟役で出たことがあるって聞いたけど……」
「あー、ずっと前な。俺がまだ四歳くらい? の時に。だから、その話を聞きつけた人が何度か仁にぃに役者として出ないかって持ち掛けてた事もあったみたいだけど、仁にぃは出るより裏方の方がいいって。表に出るのは苦手なんだってさ」
「そうなんだ。鬼崎社長なら演技も上手くこなしそうだけど」
「俺もそう思う。でも、本人にその気がないんじゃな~。それにあんまり目立ちたくないみたいだし。それこそ目立って、聡介君に何かあったら嫌なんだろ」
「そうだね。鬼崎社長、聡介君のことを大事にしてるもんね」
「ま、お見合いの当日に項を噛むぐらいなんだからな~」

 彰は小料理屋『羽山』で聡介と会った事はすっかり忘れていて、鬼崎から聞いた話を鵜呑みにしていた。

『お見合い当日にお見合い相手の子の項を噛んで番になった。卒業したら結婚する』

 そう、突然事務所の主要メンバーを集めて発表した言葉を。

「あの時は驚いたよなー」
「本当に。鬼崎社長、結婚する雰囲気なかったから」
「そうだよなー。それが今じゃ、聡介君一筋なんだから」

 彰はそう言うが、まるで他人事のように言うから凛は思わず笑ってしまった。

「ふふ、そういうけど彰君の旦那さん、蘇芳さんだって彰君一筋じゃないか」

 凛が告げると彰の頬がほんのりとぽっと色づく。

「な、別にそんなんじゃねーし」
「照れて可愛いー」

 凛がからかうと彰は「違うって」とムキになる。そういうところが、ますます可愛いと言うのに。

「別に一筋って言うか、執着? みたいな感じはあるけど。α性が強いと番のΩに対してそうなるんじゃね? 仁にぃもそうだし、俺の父さんもだし。……てか、それを言うなら凛もだろ」
「俺?」
「そうだよ、朝陽だってαだろ」

 彰は凛が養っているα性の男子高校生・朝陽を思い出して言った。しかし凛はピンと来ていない。

「朝陽は確かにαだけど、別に俺と朝陽はそんな関係じゃないし」
「いやいや、そんな訳ないだろ。朝陽の奴、凛の事」

 彰がそう言いかけた時、そこへちょうどよく本人がやってきた。

「俺がなんです?」

 ぬっと現れたのは肩に学生鞄をかけ、学ランを着た見目麗しい青年・朝陽だった。無造作に伸びた黒髪に野性味のある目元、185㎝の身長にすらりと伸びた足は、ぱっと見、事務所の俳優に見えるほどだ。

「朝陽、早かったな」

 朝陽の姿を見て、凛はすぐさま声をかけた。すると朝陽は「ああ」と粗野に返事をすると、すぐに視線を彰に戻した。

「で、俺がなんですか。彰さん」

 まだ十七歳の青年に見下ろされながら聞かれ、年上だけど170㎝もない小柄な彰はむっとする。

「別になんでもねーよ。それより朝陽、お前また身長が伸びたんじゃないか? 一体、何食ったらそんなにでかくなんだよ。ちょっと前まで俺と同じぐらいだったのにっ」
「別に普通ですけど。むしろ彰さんが縮んだんじゃないですか?」
「なんだとーっ!?」
「こら、朝陽。彰君に失礼な事を言わないの!」

 凜が注意すれば、朝陽はふいっと顔を逸らした。そう言う所だけはまだ子供っぽい。

「たく、中坊の頃はまだ可愛げがあったのに」
「ごめんね、彰君」
「凛が謝らなくていいよ。それよりなんで朝陽がここに?」

 彰が尋ねると凜よりも先に朝陽が答えた。

「今から凛と外で飯を食うんです。前から約束してたんで」
「それで迎えに?」

 尋ねる彰に今度は凛が答えた。

「うん、社長室で待ってるように言われてね。あ、でも朝陽、鬼崎社長は用事ができて帰っちゃったから」
「そう」
「あれ? 鬼崎社長に用があったんじゃないの?」
「別に」

 そっけなく答える朝陽に凛は不思議そうにしたが、いつもはにぶい彰が気が付いた。
 凜はこの見た目にこの気さくさ、そのおかげで事務所でも一人でいるとすぐに人に囲まれてしまう。しかし社長室にいれば、そうそう人は来ない。その為に朝陽が凛にここで待つように言った事を。

「ははーん、なるほどな~」

 わかった彰はしたり顔で朝陽を見た。その朝陽は彰をじっと見て「なんすか」と返事をする。

「べっつにー? 朝陽も大変だなーっと思って」

 彰が含めた言い方をすれば、朝陽はふいっと視線を反らした。そんな朝陽に彰はニヤニヤしてしまう。
 彰は知っていたからだ。朝陽がずっと凛を好いている事を。
 けれど、朝陽の恋心に未だ気が付いていない凛だけは首を傾げた。

「彰君? 朝陽??」
「いい、凛。気にするな。彰さんがおかしいのは前からだ」
「おい、誰がおかしいって!? 俺は普通だ!」
「はいはい、そうですね」
「おい、俺は普通だって言ってるだろ!」

 彰はぷんっと怒って、朝陽に言う。しかし朝陽はじっと彰を見て、普通とは? という表情を見せた。
 二十半ばになるのに、こんなに可愛らしい男がどこにいるのだろうか。その上、屈託のない性格は誰をも魅了する。人付き合いが苦手な朝陽でさえ、彰は嫌いになれない。

「普通、ね」
「おい、なんでまだ何か言いたそうなんだよ」
「……別に。それより彰さんはどうしてここに?」

 朝陽が話題を変える為に尋ねると、彰はここに来た目的を思い出してはっとした顔を見せた。

「あ、そうだ! 俺、やっと仕事が終わったから、仁にぃに蘇芳の愚痴を聞いてもらおうと思って来たんだった!」

 彰が告げると凛と朝陽は同時に首を傾げた。

「「蘇芳さんの愚痴?」」
「そうなんだよ! 思い出しても腹が立つ~! 蘇芳の石頭め!」

 彰はふんっと鼻息を荒々しく出して言ったが、開いているドアから静かに入ってきた人物に凛と朝陽は心の中で『あ』と呟く。けれど気が付いていない彰はプンプンしながら言った。

「蘇芳の奴、全然融通が利かないんだよ! ホント、あいつって横暴で石頭でさっ、俺の言う事を聞いてくれないんだ!」

 彰が凛と朝陽に言えば、二人の視線はなぜか自分の後ろにあって。彰が『ん?』と思って振り向けば、そこには笑顔の蘇芳が立っていた。

「誰が横暴で石頭だって?」

 そう言ったのは蘇芳・正隆(すおう・まさたか)。三十代のハンサムな男で見るからにα性。190㎝近い身長にしっかりした体躯に、仕立ての良いスリーピースのスーツが良く似合っている。オールバックにしている髪が男らしさと色気が溢れていて、彰とは正反対の男だ。だが彼こそが彰の番だった。

「ぴゃっ!? すすすす、蘇芳!?」

 驚いた彰はその場でぴょんと小さく飛んだが、その腰を逃がさないと言わんばかりに蘇芳ががっしりと掴んだ。

「彰、誰が横暴で石頭か教えてもらおうか?」

 笑顔で凄まれるが、構わずに彰は暴れて離れようとする。

「ちょ、離せよッ! 俺は朝の事、まだ怒ってるんだからな!」
「それはお前が無謀な事をしようとするからだろう」
「別に無謀なんかじゃないし! 大丈夫だし!!」
「言う事を聞かない奴だな」
「それはそっちだろー!?」

 プンプン怒る彰に蘇芳は呆れたため息を吐く。そして二人のやり取りを見ていた凛と朝陽に気が付き、蘇芳はこう彰に問いかけた。

「なら彰、天ケ瀬さんと朝陽君に聞いてみようじゃないか。朝の話が無謀か否か」
「いいぜ! 絶対、二人はいいって言ってくれるもんね! そうしたら許可しろよ!?」
「わかったわかった」

 蘇芳は余裕の顔で答え、彰はむすっとしたまま凛と朝陽に視線を向けた。

「彰君、一体何があったの?」

 心配そうに聞く凛に彰は事情を説明した。

「実はさ、今度俺が好きな歌手のライブがあるんだ。それを見に行くって言ったら蘇芳に絶対ダメだって止められて。だからバレないように女装して行くって言うのにそれでもダメって言うんだ! 酷くないか!?」

 彰が切々と語れば、凛と朝陽は同情の視線を彰ではなく蘇芳に向ける。
 彰は今の姿でも十分可愛い。なのにもし女装すれば、並大抵の女子より可愛くなるのは目に見えている。その上、子役の頃から表舞台に立っていて人気のある彰は顔も人に良く知られている。
 つまり彰が女装してライブに行けばどうなるか。……速攻バレて騒ぎになる事、間違いなしだ。

「彰君、ライブは行っちゃだめ」
「絶対ダメでしょ。蘇芳さん、大変ですね」

 凜は彰を止め、朝陽は蘇芳に同情し呟いた。しかし彰だけは納得していなくて。

「え、ちょ、なんでだよ!? 別にライブに行ってもだいじょーぶだろ!」

 彰は嘆くように言うが、さすがの凛も”駄目”と首を横に振った。

「えー!?」
「ほら、俺の言った通りだろ。大人しく言う事を聞け。そういう約束だろう」

 蘇芳が言い聞かせるとさすがの彰もそれ以上は言い返さなかった。

「うーっ、わかったよぉ……」

 しょぼんっとした顔で彰が言えば、蘇芳はやれやれという顔を見せ、妥協案を提示した。

「仕方ないな。……俺が一緒に行くならいいぞ」

 蘇芳の言葉に彰の顔はパッと明るくなるけれど、すぐに戸惑いの表情になる。

「え、でも蘇芳はライブとか好きじゃないって言ってたじゃんか」
「だが、見たいんだろ? 数時間ぐらいなら付き合ってやる。だから一人で行くな。いいな?」
「本当にいいの?」

 彰が尋ねると蘇芳は短く「ああ」と答えた。すると、にこにこっと彰は笑顔になり周りにパッと花が咲く。

「ありがと、蘇芳!」
「はいはい。……とりあえず、もう仕事は終わったんだろ? 帰るぞ。二人とも、付き合わせて申し訳なかったな」

 蘇芳は凛と朝陽にそう謝罪した。だが凛は「いえ、大丈夫ですよ」とすぐ返し、彰に声をかけた。

「彰君、良かったね」

 凜が笑って言えば、彰は嬉しそうに「うん」と答えた。その笑顔は二十代半ばの男がするには愛らしすぎるものだった。

「ほら帰るぞ、彰。では」
「はーい。じゃあ、またなっ!」

 彰は蘇芳の後をついて帰って行った。そして残された凛と朝陽はなんだか嵐が去った後のような気分で。

「蘇芳さん、なんだかんだ言っても彰さんには甘いよなぁ」

 朝陽はぽつりと呟き、凛はくすっと笑った。

「蘇芳さん、ああいう風だけど実際は彰君にべた惚れだからね。彰君って可愛いから、その気持ちもわかるけど。……でも彰君も彰君で、蘇芳さんの事が好きだから、本当仲良し夫夫だよ」

 凛は言いながら、彰が蘇芳から贈られたチョーカーを肌身離さずいつも身につける事を思い出す。けれど、不意に凛が見上げれば朝陽がじっと自分を見つめていて。

「朝陽、どうしたの?」
「……いや、あと一年の我慢か、って」
「我慢? 何が?」

 言葉の意味を理解できない凛は首を傾げたが、朝陽は誤魔化すように自分の頭を片手でくしゃっと掻いた。

「あー、なんでもない。それより飯食いに行こうぜ」

 朝陽に言われて凛は問い詰める事もなく、食事に行く事を思い出し、ソファに置いていた自分の肩掛け鞄を手に取る。

「そうだね。でも外食に行くの、久しぶりだね。何食べたいか、もう決めてる?」
「いや、凛が食べたいものでいいよ」
「え、朝陽が食べたいものにしようよ」
「俺はいいから」
「えーっ? うーん、そうだなぁ。……じゃあ、この前一緒にテレビで見た洋食屋さんに行くのはどう? ビーフシチューとかオムライスがおいしそうだったところ! 朝陽もビーフシチュー、食べてみたいって言ってたから」 

 凛が聞くと朝陽は「ああ」と柔らかく笑った。その男っぽいのに優しい笑顔に凛は胸の奥が変な動きをする。でも、その意味にまだ気が付けないで凛は朝陽に言った。

「じゃあ、俺達も行こうか」
「ああ」

 朝陽は返事をし、この一年後に凛と番になるのだが……それは他のお話で。
 そして社長室でのごたごたがあった頃、鬼崎と言えば―――――。



 ◇◇◇◇




 ―――――家に帰り着いた鬼崎は、部屋中に香る匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
 そして、その匂いが濃くなる方へ足を運べば、行きつく先は寝室で。そっとドアを開ければ、ベッドの上には自分の服がこんもりと盛り上がった山があり、その山はもそもそっと動いた。
 その様子を鬼崎は愛おし気な目で見つめた後、ベッドに近づいて縁に腰を下ろすと声を掛けながら服を捲る。

「聡介君、戻ったよ」

 鬼崎が言えば、捲られた服の中には聡介がいて、ほんのりと頬を赤くしていた。

「仁、さん」
「ただいま。涼介とこてつはお義父さんとお義母さんに頼んできたよ」
「ん、ありがと。……いつもごめんね」

 申し訳なさそうに言う聡介に鬼崎は目尻を下げる。

「いいんだよ。聡介君が謝ることない」
「でも仕事も休んでもらって」 
「大丈夫。ちゃんと調整してるし、うちの社員は優秀だから俺がいなくても支障ないよ」

 鬼崎が言い聞かせると聡介は「ぅん」と小さく返事をした。しかし、この前鬼崎に用があって事務所に顔を出した時の事を思い出した。ここ数年で、すっかり仲良くなった彰に尋ねられたことを。

「そう言えば……仁さん」
「ん? 何?」
「この前、彰君が言っていたこと……訂正しないの?」
「彰が言っていたこと?」

 何の事かわからず、鬼崎が尋ねれば聡介はその内容を教えた。

「仁さんがお見合い当日に俺の項を噛んで番にしたって話」
「ああ、その事?」

 聡介はこの前事務所を訪ねた時、彰に『前から聞きたかったんだけど……仁にぃがお見合い当日に聡介君の項を噛んで番にしたって聞いたけど本当?』と尋ねられた。だから否定しようとしたのだが、聡介よりも先に鬼崎が彰に『本当だよ』と告げてしまったのだ。

「本当は違うのに、どうしてああ言ったのか気になる?」

 鬼崎に尋ねられて聡介は目で答えを求める。すると鬼崎はふっと笑った。

「αは気に入ったΩほど逃さないように項を噛む。俺にとって聡介君がそうであると示したかったからだよ、俺が聡介君に心底惚れてるってわかれば、事務所の人間は聡介君に手を出したりしないだろ?」

 パチッとウインクされ、聡介は胸がどきりっとする。好きだと言われているようなものだから。

「そ、そんな俺に手を出す人なんて」
「いるよ、聡介君はこんなに可愛いんだから。うちの事務所はα性の子も所属してるし」
「……それを言うなら仁さんの方が他の人に」
「俺は聡介君にしか興味ない」

 ハッキリと告げられ、ただでさえ熱い頬がますます火照ってしまう。

 ……仁さんって、本当に俺の事が好きだな。うれしい。

 だから思わず聡介は鬼崎の服の山をぎゅっと抱き締める。しかし、その状態をみた鬼崎は面白くない。

「それにしても聡介君、俺はここにいるけどいつまで服を抱き締めてるの?」

 鬼崎が両手を広げて誘うように言えば聡介は抱き締めていた服を手放して、もそもそっと服の山から出てくると目の前にいる鬼崎に抱き着いた。そして服の山から出て来た聡介が身につけているのは鬼崎が昨晩着ていたTシャツ一枚だけ。その色っぽい姿に鬼崎の欲情の火が点く。
 そして聡介も鬼崎に抱き着き、αの香りに熱が上がる。早く肌に触れたくてたまらない。

「ん、仁さん」

 もじもじっと動き、体を摺り寄せれば鬼崎は口を綻ばせた。

「聡介君、大好きだよ」

 鬼崎が言うと、聡介にちゅっとキスをした。そしてそのキスで聡介のヒートのスイッチが完全に入る。

「ん、はぁ……仁さん、おれもすき」
「ふふ、可愛いね」

 鬼崎は愛を返して、自分の服が散らばるベッドに聡介を押し倒した。
 それから二人は数日のヒート期間を過ごしたのだが――――数カ月後には二人目の存在を知ることになるのだった。


 


 つづく―――――!?





*****************



2カップルのカメオ出演はいかがでしたか?
しかし鬼崎芸能事務所……恋が成り立ち過ぎてるかしら(笑)

まあ、それはさておき。たくさんのお気に入り、いいね、感想まで頂き、ありがとうございます~!\( 'ω')/ヒィヤッハァァァァァァァア!!!


そして明日も一話投稿するよ。お楽しみに☆
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感想 1

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