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おまけ
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このお話では凛が出てきます。カメオ出演ってやつですかね(笑)
彰は結婚三年目。凛は子供が生まれて半年が経った設定です。
*************
蘇芳に項を噛まれ、結婚して早三年。
事務所の応接室に行くと彰はある人物と出会った。それは産休で休んでいた仲良しのモデル兼俳優仲間の天ケ瀬凛だった。
「凛っ! 久しぶり、元気そうじゃん! うわぁっ、赤ちゃんだ!」
「彰くん、久しぶり!」
彰は久しぶりに事務所へと訪れた凛に声をかけ、ソファに座っている凛も彰を見て笑顔で声をかけた。そして凛は腕に抱えている小さな双子を彰に紹介した。まだ生まれて半年しか経っていない赤ん坊。
「俺の先輩の彰くんだよ。眞貴、光貴」
そう凛は我が子に話しかけた。凛は彰より年上だったが、彰の方が芸歴は長いので凛は一応後輩と言う位置づけだ。でも今はそんな事どうでもいい。彰は目の前にいる小さな天使に声をかけた。
「眞貴くん、光貴くん、こんにちは」
凛の隣に座って彰が話しかけると、二人は彰をじっと見た後、恥ずかし気に凛の胸に顔を隠した。
「ごめん、二人とも恥ずかしがり屋なんだ」
「そうなんだ。にしても、何から何まで可愛いね~!」
彰が言うと凛は嬉しそうに微笑んだ。その顔はすっかり人の親だ。
だが彰が凛の膝の上にいる双子を見ていると光貴は彰が気になるのか、ちらりと彰に視線を向けた。その瞳には好奇心が浮かんでいる。
「光貴、彰くんが気になるの? 抱っこしてもらおうか」
「え、いいの?」
「うん。人に慣れさせないとね」
凛はそう言うと、光貴をひょいっと彰の膝の上に乗せた。光貴は大きな瞳でじぃっと彰を見つめてくる。そして彰も自分の膝に乗る小さな赤ちゃんをじっくりと見つめた。
ふくふくとしたほっぺはほんのり赤く、小さな唇は淡いピンク色。ちょんっと小高い鼻はこじんまりとしていて、くりくりの瞳は可愛らしい。手は小さくて、でもちゃんと爪が付いている。
両手で抱きかかえてしまえるほど小さな体なのに、ちゃんと人間をしてて彰は感動してしまった。でもそんな彰を他所に光貴は「あぶぶーっ」と手を伸ばした。まるで、もっと近くで彰を見たいと言っているみたいに。
だから彰はひょいっと光貴を腕に抱えてみた。でも、そのしっかりとした重みとどことなく香るミルクの匂いに、なんとも言えない気持ちになる。
……赤ちゃんってこんなにしっかりしてて、こんな匂いがするんだぁ。あったかいなぁ。
今まで赤ん坊を身近で抱いたことがなかった彰はじみじみと思った。
だが、その傍で光貴はご機嫌だ。
「あぶっあぶーっ!」
「ばぶぅぅっ」
光貴のご機嫌が移ったのか、眞貴もご機嫌な声を上げた。
「光貴、彰くんの事が気に入ったみたい」
「え、そうなのか?」
「こんなにご機嫌なの、珍しいよ。さっき鬼崎社長が抱っこした時は不貞腐れてたから」
凛はふふっと笑って言った。
しかし、そんな会話をしていたらその本人がやってきた。
「彰、ここにいたのか」
「仁にぃ……と朝陽!」
彰は鬼崎とその後ろからひょっこり顔を出した朝陽に声をかけた。
「彰さん、お久しぶりです」
朝陽は礼儀正しく彰に挨拶をした。
「久しぶり、朝陽も元気そうだな」
「彰さんも。……それにしても光貴が大人しいですね」
「彰くんの事、気に入ったみたい」
「へぇ」
朝陽も珍しそうに大人しく抱かれている光貴を見て呟いた。だがそれを見た鬼崎は顔をしかめさせた。
「おいおい、こんな子供の内から面食いだと後が困るぞ?」
「め、面食いって、光貴はまだ赤ちゃんですよ」
「わっかんねーぞ? 意外に子供ってのはわかってるもんだからな」
凛は反論したが一児の父親である鬼崎はそう呟き、彰に抱かれている光貴の頬をつんっと突いた。すると光貴は不機嫌そうに「あぶっ!」と吠えた。
「仁にぃはすっかり嫌われちゃったみたいだね」
「俺もなかなか顔はいい方だと思うんだけどなぁ。ま、それは置いといて。彰、田中がお前の事、探してたぞ?」
「あ、そうだった! 凛が来てるって聞いて、田中さんおいてきちゃった! 俺、戻るね」
彰はソファを立ち上がって、朝陽に光貴を渡した。
光貴は名残惜しそうに彰に手を伸ばして「あぶぅぅっ!」と声を上げたが、マネージャーである田中をこれ以上待たせるわけにもいかない。
「また今度な」
「あぶっ」
彰が頬を撫でていうと、光貴は嬉しそうに微笑んだ。
……赤ちゃんって可愛いなぁ。
彰はそう思いながら微笑み返し、凛達にも声をかけた。
「じゃあ、凛と朝陽も、また今度な。眞貴くんもね」
「うん。彰くん、わざわざ会いに来てくれてありがとう。また連絡するね。今度はうちでゆっくり会おう」
凛の誘いに頷き、彰はそれから慌ただしく部屋を出て行った。
だが彰が部屋から出て行った後、鬼崎は予言の様に小さく呟いた。
「こりゃ、また産休が一人増えるかもな」
でもその呟きが現実になることを彰は知らなかった。
まさか、次の発情期中に『子づくりしよ?』と蘇芳に迫って、妊娠するなんて……。
おわり
************
おまけ話はいかがでしたか? おまけも楽しんで頂けたなら嬉しいです。
そして皆さま、いつもながらお気に入り、そして誤字報告などありがとうございます!
誤字報告は本当に助かってます。いつも、どっか見逃しちゃうんだよなぁ~(*´ω`)ハァッ
あと近況報告にて、このおまけ話についてのお知らせをしてます。気になる人は覗いてみてね。
彰は結婚三年目。凛は子供が生まれて半年が経った設定です。
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蘇芳に項を噛まれ、結婚して早三年。
事務所の応接室に行くと彰はある人物と出会った。それは産休で休んでいた仲良しのモデル兼俳優仲間の天ケ瀬凛だった。
「凛っ! 久しぶり、元気そうじゃん! うわぁっ、赤ちゃんだ!」
「彰くん、久しぶり!」
彰は久しぶりに事務所へと訪れた凛に声をかけ、ソファに座っている凛も彰を見て笑顔で声をかけた。そして凛は腕に抱えている小さな双子を彰に紹介した。まだ生まれて半年しか経っていない赤ん坊。
「俺の先輩の彰くんだよ。眞貴、光貴」
そう凛は我が子に話しかけた。凛は彰より年上だったが、彰の方が芸歴は長いので凛は一応後輩と言う位置づけだ。でも今はそんな事どうでもいい。彰は目の前にいる小さな天使に声をかけた。
「眞貴くん、光貴くん、こんにちは」
凛の隣に座って彰が話しかけると、二人は彰をじっと見た後、恥ずかし気に凛の胸に顔を隠した。
「ごめん、二人とも恥ずかしがり屋なんだ」
「そうなんだ。にしても、何から何まで可愛いね~!」
彰が言うと凛は嬉しそうに微笑んだ。その顔はすっかり人の親だ。
だが彰が凛の膝の上にいる双子を見ていると光貴は彰が気になるのか、ちらりと彰に視線を向けた。その瞳には好奇心が浮かんでいる。
「光貴、彰くんが気になるの? 抱っこしてもらおうか」
「え、いいの?」
「うん。人に慣れさせないとね」
凛はそう言うと、光貴をひょいっと彰の膝の上に乗せた。光貴は大きな瞳でじぃっと彰を見つめてくる。そして彰も自分の膝に乗る小さな赤ちゃんをじっくりと見つめた。
ふくふくとしたほっぺはほんのり赤く、小さな唇は淡いピンク色。ちょんっと小高い鼻はこじんまりとしていて、くりくりの瞳は可愛らしい。手は小さくて、でもちゃんと爪が付いている。
両手で抱きかかえてしまえるほど小さな体なのに、ちゃんと人間をしてて彰は感動してしまった。でもそんな彰を他所に光貴は「あぶぶーっ」と手を伸ばした。まるで、もっと近くで彰を見たいと言っているみたいに。
だから彰はひょいっと光貴を腕に抱えてみた。でも、そのしっかりとした重みとどことなく香るミルクの匂いに、なんとも言えない気持ちになる。
……赤ちゃんってこんなにしっかりしてて、こんな匂いがするんだぁ。あったかいなぁ。
今まで赤ん坊を身近で抱いたことがなかった彰はじみじみと思った。
だが、その傍で光貴はご機嫌だ。
「あぶっあぶーっ!」
「ばぶぅぅっ」
光貴のご機嫌が移ったのか、眞貴もご機嫌な声を上げた。
「光貴、彰くんの事が気に入ったみたい」
「え、そうなのか?」
「こんなにご機嫌なの、珍しいよ。さっき鬼崎社長が抱っこした時は不貞腐れてたから」
凛はふふっと笑って言った。
しかし、そんな会話をしていたらその本人がやってきた。
「彰、ここにいたのか」
「仁にぃ……と朝陽!」
彰は鬼崎とその後ろからひょっこり顔を出した朝陽に声をかけた。
「彰さん、お久しぶりです」
朝陽は礼儀正しく彰に挨拶をした。
「久しぶり、朝陽も元気そうだな」
「彰さんも。……それにしても光貴が大人しいですね」
「彰くんの事、気に入ったみたい」
「へぇ」
朝陽も珍しそうに大人しく抱かれている光貴を見て呟いた。だがそれを見た鬼崎は顔をしかめさせた。
「おいおい、こんな子供の内から面食いだと後が困るぞ?」
「め、面食いって、光貴はまだ赤ちゃんですよ」
「わっかんねーぞ? 意外に子供ってのはわかってるもんだからな」
凛は反論したが一児の父親である鬼崎はそう呟き、彰に抱かれている光貴の頬をつんっと突いた。すると光貴は不機嫌そうに「あぶっ!」と吠えた。
「仁にぃはすっかり嫌われちゃったみたいだね」
「俺もなかなか顔はいい方だと思うんだけどなぁ。ま、それは置いといて。彰、田中がお前の事、探してたぞ?」
「あ、そうだった! 凛が来てるって聞いて、田中さんおいてきちゃった! 俺、戻るね」
彰はソファを立ち上がって、朝陽に光貴を渡した。
光貴は名残惜しそうに彰に手を伸ばして「あぶぅぅっ!」と声を上げたが、マネージャーである田中をこれ以上待たせるわけにもいかない。
「また今度な」
「あぶっ」
彰が頬を撫でていうと、光貴は嬉しそうに微笑んだ。
……赤ちゃんって可愛いなぁ。
彰はそう思いながら微笑み返し、凛達にも声をかけた。
「じゃあ、凛と朝陽も、また今度な。眞貴くんもね」
「うん。彰くん、わざわざ会いに来てくれてありがとう。また連絡するね。今度はうちでゆっくり会おう」
凛の誘いに頷き、彰はそれから慌ただしく部屋を出て行った。
だが彰が部屋から出て行った後、鬼崎は予言の様に小さく呟いた。
「こりゃ、また産休が一人増えるかもな」
でもその呟きが現実になることを彰は知らなかった。
まさか、次の発情期中に『子づくりしよ?』と蘇芳に迫って、妊娠するなんて……。
おわり
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おまけ話はいかがでしたか? おまけも楽しんで頂けたなら嬉しいです。
そして皆さま、いつもながらお気に入り、そして誤字報告などありがとうございます!
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