《BL》転生令息は悪役よりも壁志望、もしくは天井でも可!

神谷レイン

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第四章「ディープな関係!?」

4 ミスターだしぃ!

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 しかし、それからすっかり日が落ちて夜が訪れた頃。

「はー。いい湯だなぁ~」

 俺は温かい湯船に浸かりながらのんびりとしていた。

 ……しっかし、やっぱ別邸の風呂が一番だな~。ゆっくり浸かれるぜぇ~。

 俺は心地よさにハフーッと息を吐く。でも、新たにできた問題に頭を悩ませる。

 ……ま、アシュカがいるからゆっくりはできないんだけどさぁー。しかし、また俺を好きなんて……何を血迷ったんだ?

 俺は上がる湯気を見つめながらムフーっと息を吐き、アシュカと出会った時のことをぼんやりと思い出す。
 それは三年前。うちのバルト帝国と隣のリトロール王国(母様の故郷)の国境にある検問所で問題が発生し、父様に行くよう命じられた時のことだ。

 ……不法入国や密輸しようとする悪人が増えて、それに伴って仕事も増えちゃった騎士達の間で、いざこざが起きたんだよな~。国境の警備は両国から集められた騎士がしてるから、解決するにもややこしくって。それでバルト帝国の公爵家令息であり、リトロール王国の元姫様(母様)の息子である俺が派遣されたんだよな。俺ならどっちも黙らせられるから。

 まあ、そんなこんなで警備隊の問題は俺の華麗なる手腕により、解決したのだが。その時に国境に隣接している森で大型魔獣が発生。

 俺はレノと共に国境の騎士達と魔獣退治となったわけだが、そこにたまたま滞在していたアシュカが手助けに入ってくれて事なきを得たのだ。
 以来、アシュカとは時々手紙をやり取りする文通友達に。

 ……ま、手紙以外にも帝都に立ち寄ったアシュカと二回ぐらい町中で会ったけど。でも今まで俺の事を好きなんて素振りなかったのに。……まぁ、最初の時から妙にアシュカには懐かれているとは思っていたけど、まさか俺の事が好きなんて。……つーか、俺は男にしかモテないのか? かわいい女の子にモテたいんですケドッ!!(悲)

「俺には男にしか通用しないフェロモンでも出てるのか? 全く」

 俺はくんくんっと自分の体の匂いを嗅いだ後、ハァーッと深いため息を吐く。

「ま、フェロモンは置いといても、明日にはきちんと話を聞かないとな。今日はあんまり話せなかったし」

 ……いや、話せなかったというか。レノは邪魔するし、アシュカは人の話を聞かなかったからだけど。……アイツらめ、どうしてくれようか。

 俺は自分勝手な二人に怒りを再燃させつつ、父様の言葉を思い出す。

『神聖国の国内が少しごたついているらしい。こちらまで影響はないだろうが……一応心に留めておきなさい』

 そう父様は去り際に俺に言った。

 ……神聖国内でごたつきか。うーん、明日これも聞いてみるか。しっかし、神聖国ってまだ行った事ないけど、どういう国なんだろ。宗教色が強い国だってのは知っているけど。

「行ってみたいけどなぁ。でも、俺はふわぁぁあ~」

 俺は呟きながら大きなあくびをする。馬車でも寝ていたが浅い眠りだったからか、もう眠い。

 ……移動途中の宿じゃ、レノに襲われないか別の意味でドキドキ(恐怖)してたからな。

「んーむ」

 ……風呂から上がらなきゃ。でも眠いなぁ~。早く上がって……体を拭いて……ふく、を……きがえ、て。

「すぴぃー、すぴぃー」

 目を瞑って考えていたら、俺は本当に眠ってしまったのだった。





 ――しかし、しばらくすると。

「……キト……キトリー……キトリー様、起きてください」

 俺はレノの声が聞こえて、目を開ける。そうすれば浴槽の傍にレノが立っているではないか。

「んあ? レノ?」
「出てこないと思ったら。……こんなところで寝ないでください。何かあったと思うでしょう」
「あ、ごめん。ついウトウトと」

 俺はぽやぽやした頭を濡れ手で掻く。しかしレノを見れば、じっと俺を見ている。正確に言うと俺の下半身を……。

「キャッ! どどど、ドコ見てんのよォ!!」

 俺は手で俺の大事な息子を隠す。子供の頃からレノには裸を見られてるので今更だが、告白を受けた後ではなんだか恥ずかしい。
 しかし恥じらう俺を見て、レノはフッと笑った。

「いえ、あまり子供の頃から変わってないな? と思いましてね」
「ハァ!? 変わってるだろ! ボーイからちゃんとミスターになってるだろ!!(俺の息子が!)」

 ……このやろー、俺の息子君が小さいって言ってんのか!? これはきちんと否定しておかねば漢の股間に関わる!! ん? 沽券だったか??

「可愛いミスターですね?」
「あんだとっ!? ……そりゃ、お前の(アナコンダ君)より小さいけど、普通サイズなの!」
「はいはい、わかりました。それよりもうお風呂から出て、着替えてください。いいですね? じゃないと襲いますよ?」

 レノにじっと舐め回すように見られ、俺は背筋がぞっとする。なにせ、俺は今真っ裸なのだ。

「ヒョッ! 出る! 出るから、ちょっと出てって!!」
「はいはい」

 レノはそう言うと大人しく風呂場から出て行った。

 ……襲うってなんだよ。こえーよ! やっぱり、あいつ既成事実を作ろうと?! 早く着替えねば!!

 俺は身の危険を感じ、風呂から出て、脱衣所で体を拭くと素早く服を着替える。しかしドアを開けて廊下へと出れば、そこにはレノが待っていた。

「ヒェッ!」

 ……こいつ、俺が出てこなかったらマジで襲うつもりだったのか!? やっぱり、レノは本邸に送り返した方がっ。

「何を考えているか丸わかりですが、私はただキトリー様を待っていただけですよ」

 俺がプルプルと震えながら怯えているとレノは呆れた顔をして俺を見た。本当かよ?

「さ、部屋に戻りますよ」

 そう言うとレノは俺の先を歩く、どうやら部屋まで連行するらしい。なので俺はその後ろを歩く……が。

「まさか部屋に着いた途端、俺を襲う気じゃないだろうな?」

 俺が疑いの目を向けて尋ねるとレノは立ち止まってにっこりと笑った。

「そうして欲しいのなら、喜んでそうしますが?」

 ……ゲッ、墓穴掘ったッ!?

「いや、今のは冗談というかぁ~。ちょっとしたジョークよ、ジョーク!」

 俺はハハッと笑ってレノの肩を叩くが、レノの目は全然笑ってない。きょわわわっ。

「全く、早く戻りますよ」

 レノはため息を吐くとまた歩き始めた。なんだか今日のレノきゅんはご機嫌ナナメなようだ。

 ……原因はアシュカだろーなぁ。

 俺はレノの後姿を見ながら思う。レノは出会った時からアシュカの事を苦手としているのだ。なんでかは知らないが。

 ……でもアシュカも同じようにレノの事を嫌ってるんだよなぁ。

 それはさながら蛇とマングースのように。そして俺はいつもそんな二人に挟まれる哀れなカエルの如し、ケロロッ。

 ……全く、元々仲が悪いのにアシュカが俺を好きなんて言うから。余計、火に油じゃねーか。そもそも俺を好きなんて……どっかの誰かさんかよ。

 俺はじっとレノを見る。だが、考え事をしている内に部屋に着き、レノは自然とドアを開けて「どうぞ」と俺に勧める。

「サンキュー」

 俺は返事をして部屋の中に入った。しかしなぜかしらレノまで一緒に入ってくる。

「な、なに?」

 まだ寝るには早い時間だ。それにこの時間帯のレノはいつもなら明日の準備やらで忙しくしている。だから俺はてっきり部屋に連行されるだけだと思っていたのだが。

「一応、アシュカ様の事について言っておこうかと思いまして」
「アシュカ? お、おぅ」

 ……もしかしてアシュカに靡かないように俺に釘でもさす気か? やっぱ、嫉妬でムンムンな感じ? やだわ、モテる男って。(モテてるのは男限定だが)

 俺はそんな事を思うが、返ってきたのは思いもよらぬ言葉だった。

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