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第五章「告白は二人っきりで!」
11 エンキ様
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それから庭園に行くと一応部屋にメモ書きを残し、俺とレノは二人で向かった。
「ひぇ~。これ、ちょっとした植物園じゃん!」
俺は庭園の入り口にある看板を見て呟く。そこには庭園の地図が書かれていたが、その広さは庭園と言うには大き過ぎた。
……色んな植物があるっぽいな~。これは一日がかりでも回り切れなさそう。ま、とにかく行ってみるか~。
「レノ、行こうぜ……レノ?」
俺はレノに声をかける。だが返事が戻ってこず、レノを見れば別の方向を見ていた。
……何見てんだ?
その視線の先を追えば、渡り廊下を神官達が慌ただしく駆けている。
「キトリー様、何かあったんでしょうか?」
「うーん、どうしたんだろうな?」
俺はレノの問いに応じるが、眺めている間に神官達は建物の中に入ってしまった。
「何か探しているようでしたが……」
「うーん、後でノアさんに聞いてみるか。ま、とにかく俺達は庭園の中を探索しようぜ」
俺が再度誘うと今度こそレノは「はい」と返事をしてくれた。そして俺達は庭園の中を歩き始める。
道は綺麗に整備されていて迷う事はなく、剪定された樹木や手入れをされた草花が道の脇を美しく飾っている。おかげで歩いてて目に楽しい。
そして道の途中には休憩ができるようにベンチが置かれ、老人の神官さんが膝に猫を抱えのんびり座っていた。俺も将来ああなりたい(切望)
でも歩いて三十分ほどした頃、俺は庭園であるモノを見つけた。それは俺が地図を見た時から気になっていたものだった。
「あ、あった!」
声をあげた俺の視線の先には、生垣で作られた迷路がある。なので俺は早速中へと突入した。呼び止めるレノを無視して。
「あ、坊ちゃん!!」
「レノはゴールに行っといて~!」
……俺ってば、こういうのすっごい好きなんだよな~! ゴール目指してレッツ・ゴー!
そうして俺はレノを置き去りにして中をウロウロ、ちょこちょこと右往左往歩いて攻略していく。だが十分も歩けば出入り口らしき先を見つけ、俺は少し駆け足で迷路から出た。
「ゴールぅぅぅ?」
俺は両手を上げて叫んだが、その語尾はすぐに疑問形になる。だって迷路を出たと思ったら、そこは広場になっていて、中央には白亜の四阿が立っていたから。
……あれ? 出口じゃなかったのか? レノもいないし。
そう思っていると、四阿の中には先客がいた。
「おや、初めて見る顔だね。……もしかして君はキトリー君かな?」
その人は椅子に座ったまま、俺を見て言った。
金の刺繍がされた黒い羽織を身に着け、黒い服を着込んだ俺より年上の男。年齢は四十代くらいだろうか、甘いマスクに蠱惑的な琥珀色のたれ目、肩まで伸びた黒髪を持つ、色っぽい、まさにセクシーという名が合う男の人がいた。
だが俺は知っている。この神聖国で黒い羽織を着ることが許されているのはある一族だけ。それは聖女の一族……つまり。
「ももももも、もしや、エンキ様ッ!?」
俺が尋ねると、セクシーな男性こと、エンキ様はにこりと笑った。
「初めまして、キトリー君。自己紹介は必要なかったようだね」
エンキ様はニコニコしながら言い、俺は開いた口が塞がらない。
……会うのは午後だって話だよな? どうしてエンキ様がここに。
そう思った時、さっき神官達が騒いでいたのを思い出した。
……もしかして神官さん達、エンキ様を探してたんじゃ。そしてこの人、ここで絶賛おサボり中なんじゃ。
「もしよかったら、こちらに来ないかい? キャンディがあるんだけど、一つどうかな?」
エンキ様はちょいちょいと俺を手招いて言い、俺はキャンディという甘い響きに呼ばれてフラフラと歩み寄った。だが、そんな俺の腕を誰かが後ろから掴む。
「坊ちゃん!」
声をかけられて振り返れば、そこにはレノがいた。
「レノ!? お前、どっから出て来たんだ?」
「坊ちゃんがなかなか出てこないから出口から逆走してきたんですよ。全く、アナタと言う人は」
レノは呆れた顔をして俺を見た。でも出口から入ってくるなんて、ルール違反じゃないのー?
「それよりあちらの方は……」
レノも四阿にいる人物に気がつき、誰かすぐにわかったようだ。そして、それはエンキ様も。
「ああ、君がレノ君か。よかったら、君もこちらにおいで」
エンキ様はにこやかな顔をして俺達を誘った。なので、俺達は揃ってエンキ様の元へ歩み寄る。
「失礼します」
声をかけて四阿の中に入れば、テーブルの上には小瓶が置かれ、そこには裁縫道具と刺繍中の布も一緒にあった。どうやらエンキ様はここでのんびり刺繍をしていたようだ。だが、布には朱色で刺繍された可愛らしいキツネの絵が。
……キツネちゃん! こんなセクシーな人が可愛いキツネちゃんなんて、ギャップ萌え~っ。
「これは私の趣味でね。ガラじゃないのはわかっているんだが」
俺の視線に気がついたエンキ様が少し恥ずかしそうに言った。だが俺は首を横に振る。
「いえ、いい趣味だと思います!」
俺がハッキリ言うとエンキ様は少し驚いた顔をしたが、嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう」
はにかむ笑顔がこれまたセクシィ~!
……うーん、この人なら確かに二十代の女の子も結婚したがるかも。俺でさえ、ちょっと恥ずかしくなっちゃうよ。
「それより椅子に腰かけたらどうだい?」
エンキ様に勧められ、俺達は空いてきた席に座る。するとエンキ様はキャンディが入っている小瓶を開けて俺達に差し出した。
「りんご味のキャンディだよ」
瓶の中には丸い白色のキャンディ玉がいっぱい入っている。なので俺は遠慮せず一つ貰った。
「ありがとうございます」
俺はお礼を言って、すぐに口の中に放り込む。コロコロと舐めれば、りんごの甘い味がすぐに舌へと広がる。
おいし~っ。
「レノ君もどうかな?」
「いえ、私は。ありがとうございます」
レノは断り、エンキ様は「そうかい?」と言って小瓶の蓋を閉じた。
「ところでキトリー君はバルト帝国から来ているんだったね。ランネットが間違って君を呼んだとか」
「ええ、まあ」
……間違ってはないデス。こじつけで俺を呼んだんですよ、アナタの問題で。
とは言えず、心の中だけに納めておく。
「バルト帝国、随分昔に一度行った事があるがいい国だった。……ローラさんはお元気かな?」
エンキ様から母様の名前が出てきて俺は驚く。なんでエンキ様が母様の事を?!
「ええ、元気にしてますけど、どうして母の事をご存じで?」
「私がまだ子供の頃、ローラさんはよくうちに来ていてね。ローラさんが姉と友達だったこともあって、私も一緒に遊んでもらったんだ」
……なんと! 母様が神聖国によく行っていたとは聞いていたけど、まさかエンキ様と会ってたなんて。しかもエンキ様のお姉さんとお友達なんて、初耳なんですけど!? てか、エンキ様のお姉さんって……行方不明になった皇女様!?
「そ、それは知りませんでした」
「もう随分と疎遠だからね。ローラさんはバルト帝国にお嫁に行ってしまわれたし、姉も行方知れずになってしまったから」
エンキ様は少し苦笑しながら答えた。
……エンキ様のお姉さん、本当にどこに行ったんだろう。というか、どうして行方不明に。うーむ。
俺は顎に手を当てて考える。
しかしそんな時、俺はあるモノに気がつく。
「ひぇ~。これ、ちょっとした植物園じゃん!」
俺は庭園の入り口にある看板を見て呟く。そこには庭園の地図が書かれていたが、その広さは庭園と言うには大き過ぎた。
……色んな植物があるっぽいな~。これは一日がかりでも回り切れなさそう。ま、とにかく行ってみるか~。
「レノ、行こうぜ……レノ?」
俺はレノに声をかける。だが返事が戻ってこず、レノを見れば別の方向を見ていた。
……何見てんだ?
その視線の先を追えば、渡り廊下を神官達が慌ただしく駆けている。
「キトリー様、何かあったんでしょうか?」
「うーん、どうしたんだろうな?」
俺はレノの問いに応じるが、眺めている間に神官達は建物の中に入ってしまった。
「何か探しているようでしたが……」
「うーん、後でノアさんに聞いてみるか。ま、とにかく俺達は庭園の中を探索しようぜ」
俺が再度誘うと今度こそレノは「はい」と返事をしてくれた。そして俺達は庭園の中を歩き始める。
道は綺麗に整備されていて迷う事はなく、剪定された樹木や手入れをされた草花が道の脇を美しく飾っている。おかげで歩いてて目に楽しい。
そして道の途中には休憩ができるようにベンチが置かれ、老人の神官さんが膝に猫を抱えのんびり座っていた。俺も将来ああなりたい(切望)
でも歩いて三十分ほどした頃、俺は庭園であるモノを見つけた。それは俺が地図を見た時から気になっていたものだった。
「あ、あった!」
声をあげた俺の視線の先には、生垣で作られた迷路がある。なので俺は早速中へと突入した。呼び止めるレノを無視して。
「あ、坊ちゃん!!」
「レノはゴールに行っといて~!」
……俺ってば、こういうのすっごい好きなんだよな~! ゴール目指してレッツ・ゴー!
そうして俺はレノを置き去りにして中をウロウロ、ちょこちょこと右往左往歩いて攻略していく。だが十分も歩けば出入り口らしき先を見つけ、俺は少し駆け足で迷路から出た。
「ゴールぅぅぅ?」
俺は両手を上げて叫んだが、その語尾はすぐに疑問形になる。だって迷路を出たと思ったら、そこは広場になっていて、中央には白亜の四阿が立っていたから。
……あれ? 出口じゃなかったのか? レノもいないし。
そう思っていると、四阿の中には先客がいた。
「おや、初めて見る顔だね。……もしかして君はキトリー君かな?」
その人は椅子に座ったまま、俺を見て言った。
金の刺繍がされた黒い羽織を身に着け、黒い服を着込んだ俺より年上の男。年齢は四十代くらいだろうか、甘いマスクに蠱惑的な琥珀色のたれ目、肩まで伸びた黒髪を持つ、色っぽい、まさにセクシーという名が合う男の人がいた。
だが俺は知っている。この神聖国で黒い羽織を着ることが許されているのはある一族だけ。それは聖女の一族……つまり。
「ももももも、もしや、エンキ様ッ!?」
俺が尋ねると、セクシーな男性こと、エンキ様はにこりと笑った。
「初めまして、キトリー君。自己紹介は必要なかったようだね」
エンキ様はニコニコしながら言い、俺は開いた口が塞がらない。
……会うのは午後だって話だよな? どうしてエンキ様がここに。
そう思った時、さっき神官達が騒いでいたのを思い出した。
……もしかして神官さん達、エンキ様を探してたんじゃ。そしてこの人、ここで絶賛おサボり中なんじゃ。
「もしよかったら、こちらに来ないかい? キャンディがあるんだけど、一つどうかな?」
エンキ様はちょいちょいと俺を手招いて言い、俺はキャンディという甘い響きに呼ばれてフラフラと歩み寄った。だが、そんな俺の腕を誰かが後ろから掴む。
「坊ちゃん!」
声をかけられて振り返れば、そこにはレノがいた。
「レノ!? お前、どっから出て来たんだ?」
「坊ちゃんがなかなか出てこないから出口から逆走してきたんですよ。全く、アナタと言う人は」
レノは呆れた顔をして俺を見た。でも出口から入ってくるなんて、ルール違反じゃないのー?
「それよりあちらの方は……」
レノも四阿にいる人物に気がつき、誰かすぐにわかったようだ。そして、それはエンキ様も。
「ああ、君がレノ君か。よかったら、君もこちらにおいで」
エンキ様はにこやかな顔をして俺達を誘った。なので、俺達は揃ってエンキ様の元へ歩み寄る。
「失礼します」
声をかけて四阿の中に入れば、テーブルの上には小瓶が置かれ、そこには裁縫道具と刺繍中の布も一緒にあった。どうやらエンキ様はここでのんびり刺繍をしていたようだ。だが、布には朱色で刺繍された可愛らしいキツネの絵が。
……キツネちゃん! こんなセクシーな人が可愛いキツネちゃんなんて、ギャップ萌え~っ。
「これは私の趣味でね。ガラじゃないのはわかっているんだが」
俺の視線に気がついたエンキ様が少し恥ずかしそうに言った。だが俺は首を横に振る。
「いえ、いい趣味だと思います!」
俺がハッキリ言うとエンキ様は少し驚いた顔をしたが、嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう」
はにかむ笑顔がこれまたセクシィ~!
……うーん、この人なら確かに二十代の女の子も結婚したがるかも。俺でさえ、ちょっと恥ずかしくなっちゃうよ。
「それより椅子に腰かけたらどうだい?」
エンキ様に勧められ、俺達は空いてきた席に座る。するとエンキ様はキャンディが入っている小瓶を開けて俺達に差し出した。
「りんご味のキャンディだよ」
瓶の中には丸い白色のキャンディ玉がいっぱい入っている。なので俺は遠慮せず一つ貰った。
「ありがとうございます」
俺はお礼を言って、すぐに口の中に放り込む。コロコロと舐めれば、りんごの甘い味がすぐに舌へと広がる。
おいし~っ。
「レノ君もどうかな?」
「いえ、私は。ありがとうございます」
レノは断り、エンキ様は「そうかい?」と言って小瓶の蓋を閉じた。
「ところでキトリー君はバルト帝国から来ているんだったね。ランネットが間違って君を呼んだとか」
「ええ、まあ」
……間違ってはないデス。こじつけで俺を呼んだんですよ、アナタの問題で。
とは言えず、心の中だけに納めておく。
「バルト帝国、随分昔に一度行った事があるがいい国だった。……ローラさんはお元気かな?」
エンキ様から母様の名前が出てきて俺は驚く。なんでエンキ様が母様の事を?!
「ええ、元気にしてますけど、どうして母の事をご存じで?」
「私がまだ子供の頃、ローラさんはよくうちに来ていてね。ローラさんが姉と友達だったこともあって、私も一緒に遊んでもらったんだ」
……なんと! 母様が神聖国によく行っていたとは聞いていたけど、まさかエンキ様と会ってたなんて。しかもエンキ様のお姉さんとお友達なんて、初耳なんですけど!? てか、エンキ様のお姉さんって……行方不明になった皇女様!?
「そ、それは知りませんでした」
「もう随分と疎遠だからね。ローラさんはバルト帝国にお嫁に行ってしまわれたし、姉も行方知れずになってしまったから」
エンキ様は少し苦笑しながら答えた。
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