【完結】異世界に転生したら、元カレが敵みたいですが、溺愛騎士様がいるので大丈夫です。

彼の浮気

　私、28歳の今泉梓は、彼氏の浮気現場を目撃してしまいました。

最近、会う回数も減り、急に会いたいと電話すると、仕事だと明らかに飲み屋にいる声が聞こえるのに嘘をつく。怪しいなと思いながらも、彼氏を信じていました。だって、好きになった相手ですよ。すぐに嫌いになれますか？

しかし、ある日私は、突然彼の家行くことにしました。やっぱり浮気相手と鉢合わせすなんかしないよねと不安に思いながらも、まだ信じたい。誰もいなかったら、私は彼にプロポーズしよう。そう心に決めて、彼の家へ参りました。

ピンポーン。ピンポーン。

誰もいない。やっぱり彼は浮気なんかしてないと、安心したその時、

「は～い。どちら様ですか。」

と甘たるい声で、着衣を整いながら出てきた若い色っぽい女性。

「ゆう先輩。おばさん来たみたいですよ。」

と彼の方に向かって話している。

待って。誰がおばさんなの。あなたより年上だけれどもおばさんってひどい。

「ゆう。おばさんじゃなくて、梓だけど。」

甘たるい声の主は、何か感づいたのか早々と服を着て、部屋を飛び出していった。

ゆうは、パンツ一丁でベッドの上で正座をしている。いやいや服着とけよ。今やってました感出してるんじゃねえよ。

ゆうは、泣きそうな声で、

「梓、ごめん。昨夜飲みすぎたのもあるが、別れてくれないか。」

私は、聞き間違いかと思い、

「ごめん。聞こえなかったから、もう一回言ってくれる？」

ゆうは、イライラした様子で

「だから、別れてほしいって言ってるだろ。普通、わかるでしょ。」と言った。

「わかった。さようなら。」

それだけしか言えず、彼の家を後にした。

私は、考えながら、道路を歩いていると前からトラックが突然出てきた。

いや、出てきたのではなく、私が飛び込んだのかもしれない。記憶が曖昧だ。

意識が遠のいていく中、私このまま死ぬのかな。

結婚して、子供産みたかったな。お母さんお父さんより先に死ぬなんて。

私は最後まで親不孝者だったな。

涙を流しながら私は意識を手放した。