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ここはどこですか。
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ふかふかするベッドで、お姫様になったみたいだなと思いながら、
目を覚ました。目の前の光景に絶句する。ふかふかベッドだと
思っていたのは、わらだった。何か汚いし、臭い。
ここはどこだろうと、周りを見渡すと、馬がニ頭いた。
そこは、馬小屋のようだった。
起き上がろうとすると、頭が痛い。そして、考えてみる。
ゆうに振られて、帰る途中で、トラックに轢かれた。
死んではいないみたいだけど、病院ではなく、馬小屋って。
異世界小説の読みすぎだとしても、転生で目覚めるなら、
大自然の中とか、王子様の前でとか、幼少時に前世の記憶が
蘇るみたいなのが多いはずなのに。誰もいない。馬しかいない。
馬好きの私は、馬を眺めて落ち着くことにした。
そういえば、ゆうが競馬デートの時、私は馬に夢中だったなと
思い出す。ゆうは、馬券を買うけど、一度も勝ったことはなく、
負けるたびに不機嫌になっていた。馬を見るだけでも、
ゆうを思い出すとか、私どれだけゆうを好きだったのかな。
私はそんな自分に失笑した。
すると、遠くから足音が聞こえてきたと理解したのと同時に、
私は剣先を向けられていた。
「おい。お前はだれだ。なぜ、ここにいる?」
私は、殺されると思い、声も出せずに怖すぎて、
涙だけが零れ落ちた。
男は、躊躇することもなく、
「何か言えよ。さもなければ、斬るぞ。」
と剣先を首に近づけ、私の首は血がにじむ。
「すみません。目覚めたらここにいました。」
と私は嗚咽をもらしながらなんとか声を出した。
「また、異世界からの神落としか。お前、黒髪だし。
これで二回目かよ。」と男は不機嫌につぶやいた。
そして、睨みつけながら、私を見下ろしている。
「すみませんが、剣を下ろしていただけないでしょうか。」
と丁重にお願いする。
「わかった。しかし、何かおかしいそぶりを見せたら、
殺すからな。」
私は、黙って頷いた。でも、この人、怖いけど、異世界とか信じている
なんて、頭悪そうなイケメンなんだなと場違いな感想を持つ私だった。
「ご理解いただき、ありがとうございます。ここはどこですか。
私は日本から来た今泉梓と申します。」
「ここは、ディバユニという王国だ。俺の名前は、カインだ。
お前の名前はイマーズ アズサか。長い名前だな。」
「いえ、イ・マ・イ・ズ・ミ アズサです。」
「ん?イマズミ アズサか。」
「もう、アズサでいいです。」
「なら、初めからそう名乗れよ。」
そんなキレなくてもいいじゃん。短気な奴。カインって名前か。
覚えやすいな。外国の人には、ファーストネームで呼ばれることを
すっかり忘れていた。大学でも、英語の講師も苗字は聞き取れない
みたいだったし、生徒みんなに名前呼びだったもんな。
けど、ディバユニってどこ。世界地図にもないよね。
でも、言葉わかるし、会話できるってことは言語も同じって
ことだよね。それはありがたいけど、本当に異世界に転生したのかな。
こんな簡単に転生とか現実にあるのかな。簡単ではないか、
死んでいるのだろうし。疑問はたくさんあるけど、考えても今はどうにも
ならないし、今後どうするか考えなくては。
「思い悩んでいるみたいだが、大丈夫か。アズサ。強く言い過ぎたのは
、謝る。悪かった。最近、この辺りで変な奴らがうろついているという
噂があったから、いつも以上に警戒していた。」
と頭をポリポリ掻きながら、謝ってきた。
いきなりのキャラ変とか、やめてよ。ドSキャラの俺様かと思ったら、
仕事モードだったのね。そのギャップと優しさとか心病んでいる
私には癒しです。ありがとうございます。
「いえ、大丈夫です。目覚めたばかりとはいえ、勝手に敷地内に
侵入してしまい、ごめんなさ・・・・」と話の途中で私は倒れてしまった。
目を覚ました。目の前の光景に絶句する。ふかふかベッドだと
思っていたのは、わらだった。何か汚いし、臭い。
ここはどこだろうと、周りを見渡すと、馬がニ頭いた。
そこは、馬小屋のようだった。
起き上がろうとすると、頭が痛い。そして、考えてみる。
ゆうに振られて、帰る途中で、トラックに轢かれた。
死んではいないみたいだけど、病院ではなく、馬小屋って。
異世界小説の読みすぎだとしても、転生で目覚めるなら、
大自然の中とか、王子様の前でとか、幼少時に前世の記憶が
蘇るみたいなのが多いはずなのに。誰もいない。馬しかいない。
馬好きの私は、馬を眺めて落ち着くことにした。
そういえば、ゆうが競馬デートの時、私は馬に夢中だったなと
思い出す。ゆうは、馬券を買うけど、一度も勝ったことはなく、
負けるたびに不機嫌になっていた。馬を見るだけでも、
ゆうを思い出すとか、私どれだけゆうを好きだったのかな。
私はそんな自分に失笑した。
すると、遠くから足音が聞こえてきたと理解したのと同時に、
私は剣先を向けられていた。
「おい。お前はだれだ。なぜ、ここにいる?」
私は、殺されると思い、声も出せずに怖すぎて、
涙だけが零れ落ちた。
男は、躊躇することもなく、
「何か言えよ。さもなければ、斬るぞ。」
と剣先を首に近づけ、私の首は血がにじむ。
「すみません。目覚めたらここにいました。」
と私は嗚咽をもらしながらなんとか声を出した。
「また、異世界からの神落としか。お前、黒髪だし。
これで二回目かよ。」と男は不機嫌につぶやいた。
そして、睨みつけながら、私を見下ろしている。
「すみませんが、剣を下ろしていただけないでしょうか。」
と丁重にお願いする。
「わかった。しかし、何かおかしいそぶりを見せたら、
殺すからな。」
私は、黙って頷いた。でも、この人、怖いけど、異世界とか信じている
なんて、頭悪そうなイケメンなんだなと場違いな感想を持つ私だった。
「ご理解いただき、ありがとうございます。ここはどこですか。
私は日本から来た今泉梓と申します。」
「ここは、ディバユニという王国だ。俺の名前は、カインだ。
お前の名前はイマーズ アズサか。長い名前だな。」
「いえ、イ・マ・イ・ズ・ミ アズサです。」
「ん?イマズミ アズサか。」
「もう、アズサでいいです。」
「なら、初めからそう名乗れよ。」
そんなキレなくてもいいじゃん。短気な奴。カインって名前か。
覚えやすいな。外国の人には、ファーストネームで呼ばれることを
すっかり忘れていた。大学でも、英語の講師も苗字は聞き取れない
みたいだったし、生徒みんなに名前呼びだったもんな。
けど、ディバユニってどこ。世界地図にもないよね。
でも、言葉わかるし、会話できるってことは言語も同じって
ことだよね。それはありがたいけど、本当に異世界に転生したのかな。
こんな簡単に転生とか現実にあるのかな。簡単ではないか、
死んでいるのだろうし。疑問はたくさんあるけど、考えても今はどうにも
ならないし、今後どうするか考えなくては。
「思い悩んでいるみたいだが、大丈夫か。アズサ。強く言い過ぎたのは
、謝る。悪かった。最近、この辺りで変な奴らがうろついているという
噂があったから、いつも以上に警戒していた。」
と頭をポリポリ掻きながら、謝ってきた。
いきなりのキャラ変とか、やめてよ。ドSキャラの俺様かと思ったら、
仕事モードだったのね。そのギャップと優しさとか心病んでいる
私には癒しです。ありがとうございます。
「いえ、大丈夫です。目覚めたばかりとはいえ、勝手に敷地内に
侵入してしまい、ごめんなさ・・・・」と話の途中で私は倒れてしまった。
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