【完結】異世界に転生したら、元カレが敵みたいですが、溺愛騎士様がいるので大丈夫です。

SORA

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魔法使いのラリー

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「いや~おもしろいものをみせてもらったよ。」

と膝を抱えながら爆笑している謎のローブ姿の男が突然目の前に現れた。

笑っていたかと思うと、カインに近づき、カインとともに消えてしまった。

「えぇ…何が起きたの。」混乱する私。カインはどこに連れていかれたのだろう。

あの人誰なの。怖い。わからないってこんなに不安なんだ。

今更ながら自分の置かれている状態の異常さに気づく。涙が頬を濡らし、

その場でへたり込んでしまう。

「アズサ、大丈夫か。」

とカインの声がする。カインの声を聞くとなぜか安心する。

「悪かった。コイツは、魔法使いのラリー。俺の友人だ。

倒れた俺を部屋まで運んでくれた。だから、心配するな。悪い奴じゃないから。」

とローブの男を連れて話してくれた。

「そうだったんですね。突然、二人消えてしまって、私が今頼れるのは

カイン様しかいないのにどうしよう。どうすればいいのかわからなくて。

とにかく不安だった」

と子供のように声を出しながら、わあわあ再び泣いてしまう私。

「なんか、ごめん。私が自己紹介してから、カインを運べばよかったな。

美しいお嬢さんをこんなに泣かせてしまった悪いラリーを許してくれ。この通り。」

と私の目にキスするラリー。私は、びっくりして、涙が止まっていた。

「お前、アズサに何しているんだ。」

カインがラリーを私から引き離す。ラリーは悪びれもなく、

「泣き止むおまじないだよ。それに、このお嬢さん馬のミルクおいしいって。

相当遊んでいるってことでしょ。私とも遊んでほしいな。」

「どういうことですか?遊ぶってどういう意味ですか。馬のミルクは

何かの遊びに使えるのですか。」

と聞きながら、私は混乱する。

「意味わかってなかったの。なら教えてあげる。馬のミルクは、精液と

同じ味だから女性は嫌いだし、普通飲まないんだよ。好き好んで飲むのは

娼婦のお姉ちゃんたちくらいだよ。」

と、ラリーはにやにやしながら私に教えてくれた。

私、今なら恥ずかしくて死ねるかもしれない。馬のミルクをおいしいと飲み、

男性器は見慣れていると言った。カインが鼻血出すはずだよね。

見慣れているっていったのは、カインを安心させるために言っただけで、

正直あんな大きいモノなんか初めて見たし。

「誤解をさせてしまい、すみませんでした。馬のミルクは普通に

おいしいと思います。けど、それを知ってしまうと今後二度と飲みません。」

確かに、味が似ているなとは思ったよ。ゆうが毎回口でした後に

飲んでって言うから。はじめは苦くて嫌いだったけど、慣れていくうちに

好きになっていた。私もゆうに捨てられたくなくて必死だったんだと思う。

また、ゆうだよ。もうゆうのこと思い出すのはやめよう。

「でも、嫌いじゃないんだったら、今度俺のを飲ませてあげるよ。」

とラリーは飄々と言ってのける。

慌てて否定しようとすると、カインがラリーの頭を叩いていた。


「お前、いい加減にしろよ。てか、何しにきた。用事があるから俺の家に

来たんだろ。」

「あぁ、そうだった。隣町で女性が連れ去られる事件が発生している。

それで、隣町を調査することになった」

最近、俺の家周辺に怪しい奴がいるのと関係があるかもしれない。

「いつ、出発だ。」カインは尋ねた。

「王命令につき、明日出発だ。」と言い放ち、ラリーは帰っていった。

カインは、アズサをどうしようかと考える。俺の家に置いておくのが

安心だが、アズサはどうしたいかを確認しよう。

「アズサ、こんな状況で悪いが明日から隣町へ調査に出かける。俺の家は

自由に使ってもかまわないが、どうする。」

カインはアズサに問いかける。

「私は、家もありませんし、行く当てもありません。なぜ、ここにいるのかも

わかりません。ここに置いてもらえるなら、食事や洗濯でも何でもします。

よろしくお願いします。」

「わかった。なら、俺の不在の間、馬の世話をお願いできるか。食事や洗濯などは

自由に使ってくれて構わない。」

「カイン様、ありがとうございます。ご迷惑をおかけしないように精一杯

頑張ります。」
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