【完結】異世界に転生したら、元カレが敵みたいですが、溺愛騎士様がいるので大丈夫です。

SORA

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カインの恋心

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女性連れ去り事件の犯人も捕まり、隣町からカインの家へと戻ってきた二人。

結ばれてからというもの、二人は甘い生活を送れるのだとカインは思っていた。

「アズサ、疲れただろう。シャワーを浴びてゆっくり眠っておいで。」

とカインは優しくアズサの頭を撫でながら言う。

アズサはというと、この甘い雰囲気に酔いそうになっていた。もう流されて

この甘い生活を楽しんでしまおうかなと思うこともある。

けれど、ゆうとのことを考えると、自分だけ楽しむわけにはいかない。

「カイン様、私は居候させてもらっている身です。先日のことは、

お忘れください。」

私は、心を落ち着かすため、馬小屋の様子を見に行くことにした。

やはり、糞やわらが散乱していた。

「マロン、ただいま。すぐに綺麗にしてあげるからね。」

そう言って、馬小屋を掃除することにした。

カインは、ショックを受けていた。先日のことは忘れてくれと言われた。

あれは、俺の頭痛を治すためにしたことであって、愛情はなかったという

ことであろうか。あんなに、二人で素敵な気持ちの良い時間を過ごしたのに。

けれど、俺は頭痛のせいで強引に抱いてしまったように感じる。アズサも

媚薬のせいかもと言っていた。

では、まだ、俺の片思いってことになる。あんな美しく、抱くとかわいく変貌する

アズサと一緒に暮らして俺は耐えられるのだろうか。早く両想いになって、

毎日幸せな日々を過ごしたい。いや、アズサがいるだけで、幸せではあるが、やはり

触れたいというのも男心である。

よし、俺の気持ちを正直にアズサに伝えて、行動で示していくぞ。カインは心に

誓うのであった。

アズサは、馬小屋の掃除をしてマロンとお話していた。

マロンは、ヒヒンと鳴きながら、私の顔にすり寄って慰めてくれている。

ゆうが捕まり、カイン様に甘々に扱われ、色々なことがあった。

私はいったいどうしたらいいんだろう。気づけば、ため息をついていた。

カインが、馬小屋にやってきた。昼食の準備をしてくれたらしい。マロンにまたねと

言い、私はカインの家に戻っていた。

昼食は、オムライスだった、この国にオムライスなんかあるのかなと不思議に

思いながら席に着いた。すると、オムライスの上にケチャップで

(アズサ愛している)

と書かれている。カイン様って女子なの。カイン様は真っ赤になっている。

照れるならやめとけばいいのに。私はあえて何も言わずにオムライスを口に運んだ。

中のごはんは、ケチャップライスではなく、ターメリックライスだった。おいしい。

「カイン様、おいしいです。」

私は、黙々と食べ進めることにした。内心はカイン様の真っ赤に照れた顔が

かわいくて、こんなことされたのも初めてでドキドキしていたけど、

それは気づかないことにした。

俺は、アズサへの思いをオムライスの上に書いた。ベタ過ぎただろうか。俺って

こんな奴だっけ。アズサの前では、デレデレしているような気がする。

アズサはどんな反応するだろうか。

アズサは、おいしいと言ってくれた。しかも、ほのかに顔を赤らめている。

今は、この反応を見られただけで十分である。焦りは禁物だという言葉を

先代が残してくれている。今こそ、それを守るべきであろう。
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