【完結】異世界に転生したら、元カレが敵みたいですが、溺愛騎士様がいるので大丈夫です。

モンスターゆう、現る

俺は、モンスターとなってしまった。体は熱いし、俺は今度こそ本当に死んで

しまうのであろうか。死ぬ前に梓に会いたい。梓に会って、きっちりと俺の気持ちを

本当に大好きだったんだと伝えたい。まり子とやった時といい、媚薬の

治験で、何人とも交わった時も気持ちはよかったが、ただ性欲が満たされただけで、

心までは満たされることはなかった。梓に頭を撫でてもらい、抱きしめてもらって

いた時の方が、よっぽど満たされていたことにいまさらになって、気づいた。

魅惑の薬と俺の効果なのか、こんなデカい醜いモンスターに次から次へと、

女性が群がってくる。反吐が出る。お前ら全員死ねと女性たちを吹っ飛ばして

いった。もう俺には梓しかいらない。アズサ以外は必要ない。

頭は梓のことしか考えられなくなっていた。梓は、どこにいる。早く探し出し

たいと焦る気持ちがモンスターとしての能力を発揮させる。

嗅覚が優れている。離れている梓の匂いがわかるようになった。こっちだと感覚的に

感じ、走っていくのであった。

その頃、ラリーは警察隊から黒髪の男が逃亡したことを聞かされていた。

慌てて、カインの家に向かう。カインは、アズサのシャワー後、にこにこしながら、

髪を乾かしてあげ、櫛で梳いてあげている。

その様子を見てしまったラリーは落胆する。コイツ、騎士としての威厳や尊厳は

どこ行った。デレデレ状態では、仕事にならないのではないかと心配になる。

その不安は的中することになる。

ラリーは、カインに捕まえた黒髪が逃亡し、モンスターになってしまったことを

知らせた。アズサはそれを聞くと、涙ぐみ悲しみだした。それに気づいたカインが、

涙を拭いてあげ肩を抱き、慰めている。

「話を最後まで聞けよ。カイン。今からお前はそのモンスターを退治しに

行くんだよ。」

「いやだ。アズサを一人にさせられない。また、攫われたらどうするんだ。」

とカインは過保護の親のように言い放つ。

「お前、断ることはできないのは、わかっているだろ。」

俺は、キレそうになった。

すると、アズサが話し出す。

「すみません、カイン様。ゆうの問題は私の責任でもあります。一緒に

連れてってくれませんか。」

カインは、アズサの一言で急に態度を変えた。女でこんなに変わるものなのか。

カインが行くのはいいが、アズサを連れて行くわけにはいかなかった。

「悪いが、アズサは無理だ。危険すぎる。カインだけ強制的に連れていく。

すまない。」

そう言って、俺はカインをモンスターが暴れている場所まで転移させることにした。