【完結】異世界に転生したら、元カレが敵みたいですが、溺愛騎士様がいるので大丈夫です。

カインとゆうの戦い

カインは、転移する前のラリーの様子が気になったが、今はモンスターを

倒すことが先だと思い、転移先を確認した。そこは、前回黒髪を捕らえた

屋敷だった。屋敷の中から、叫び声が聞こえる。

この声はアズサだと気付くのと同時に、俺は屋敷に駆け込んだ。

目の前の光景にゾッとする。モンスターになったゆうが、アズサに

覆いかぶさっている。アズサは痛みと辛さからなのか、目をつぶりながら

泣いている。俺は、モンスターへと剣を切りつけた。しかし、剣が折れて

しまう。モンスターの体は、鋼のように硬くなっていたのである。

モンスターは俺の攻撃もおかまいなく、腰を振り続けている。腰を振るたびに

アズサは悲鳴を上げ、痛みに耐えている。

「やめろっ。アズサから離れろ」

俺は、そう叫びながら、モンスターに突進した。モンスターは見向きもせずに

恍惚とした顔のまま、続けている。

俺の声に反応したアズサは、目を見開いた。そして

「カイン様、見ないでっ。お願い」

そう言うと、アズサの体がガクッとなり、全く動きがなくなってしまった。

まさか。アズサが死んだ。俺はモンスターに殴り掛かった。

今まで何もしゃべらなかったモンスターがいきなり話しだす。

「お前は、いつも俺たちの邪魔をする。でも、今日はアソコは

たたせてないようだな」

ニタニタと笑いながら、俺に近づいてくる。

「お前さえいなければ、梓は俺のものだったのに」

モンスターは俺の首を握りつぶす。これほどの力では本当に殺されてしまう。

「アズサは、モノではない！」

つぶされそうになりながらも言ったつもりだが、全く声として

発声できていなかった。