【完結】異世界に転生したら、元カレが敵みたいですが、溺愛騎士様がいるので大丈夫です。

アズサと光の球体の正体

私は、また暗闇にいた。今度の暗闇は、死の世界であろうと感じた。

しかし、再び光の球体が近付いてくる。今度は、何の映像を見せるのだろう。

私は、その球体をぼんやりと眺めていた。すると、光の球体がさらに輝きだし、

私はまぶしくて、目を閉じた。光の球体を探そうとしたその時、光り輝く人を

見つけた。まさかね、私はその人をまじまじと見つめた。とても美しく天女のような

黒髪女性であった。その女性は首をポキポキと鳴らしながら話し出す。

「私の願いが叶うまで、長かったわ。なかなか黒髪女性落ちて来ないんだもん」

私は、あまりの展開についていけず、状況を確認することにした。

「あなたの願いって何ですか。なぜ、私にかまうのですか」

不満が出る私。

すると、その女性は、嬉しそうに

「私の願いは、黒髪民族を救うこと。すなわち、あなたとあの黒髪の男の子を

救ってあげることよ。そのために、金髪民族であるカインのおじいちゃん、

ひいおじいちゃん、もっと先のおじいちゃんになるのかな、黒髪民族を助けてって

頼んだのよ」

女性は続けてこう話す。

「でも、駄目ね。昔とは真逆じゃない。私は金髪に殺されたのに、今はあの

黒髪男子が金髪のカインの首を絞めているわよ」

女性が、指をならすと、映像が映し出された。私はその光景を見ると叫んだ。

「ゆう、やめて。カインが死んじゃう」

女性は、イライラした様子で私に問いかける。

「あなたは、いったい誰が好きで、誰を守りたいの。優柔不断な女は

嫌いだわ。どっちか選びなさいよ」

私が好きなのは、カイン様である。でも、守りたいのは誰かと言われれば二人とも

助けたい。優柔不断と言われるかもしれないけれど、ゆうは一度好きになった

相手で、カイン様は私にとってかけがえのない大事な人。選ばないとカイン様は

このままだと死んでしまうだろう。私は決意した。

「私は、二人とも大切なのは変わりありません。二人を助けて私を殺してください」

私は、女性に詰め寄った。

「あなた、黒髪男子に殺されそうになったり、無理やり犯されたりとひどいこと

たくさんされてきたじゃない。普通金髪のカインでしょ」

呆れたように女性は言う。そして、

「でも、あなたは、きっと心根がやさしいのね。私には理解できないけど。

まぁ、いいわ。私の力を授けるから、あなたの好きにしなさい」

そう言って、女性は光の球体に戻り、暗闇だった私の世界を光いっぱいに輝かし、

消える前に、一言だけ残していった。

(私の分まで幸せになってね)