【完結】異世界に転生したら、元カレが敵みたいですが、溺愛騎士様がいるので大丈夫です。

SORA

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アズサの特訓

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1か月の特訓はとでも厳しかった。ベンの言う通りにできなければ、

すぐに罵声と怒号が飛び交う毎日。これ日本だったら、パワハラになると

思うくらい、スパルタだった。

けど、職場にもお局や嫌味を言う係長、自分はできないくせに

偉そうぶってる部長などおかしな人たちはいっぱいいた。その人たちに比べ、

ベルは口は悪いが、しっかりと指導はしてくれる。意外に、面倒見がいいようだ。

ベンも、はじめこそ罵詈雑言だらけだったけど、私が日本の社会人で培っていた

スルー力を発揮したら、途中で嫌味は言わなくなった。だけども、イメージが

なかなか掴めないときには、想像力がない、頭が悪い、ブサイクだと

私自身の内面や外見をいじりだし、嫌味ではなく、事実を突きつけてくるので

精神的にダメージが大きかった。そして、彼はファローを全くしない。私褒めれれて

伸びるタイプなんですけどと思いながらも、私ができそうなときは右の口角が

上がるので、応援してくれてるのがすごくわかった。

癒しの力の使い方も、お願いしながら手を握すれば大丈夫だと思っていたが、

力を具現化するイメージを持てと言われた。具現化するイメージが

何かわからず、コツを掴むまでに時間はかかってしまったが、ベルが治癒の力を

具現化して、私に丸い白い光を見せてくれたおかげで、イメージしやすくなった。

心の中で丸い黄色い光をイメージする。そして、そのイメージが正確に定まった時、

お願い癒してと思えば、完璧になるようだ。

まだ、一度も試していないので、本当に癒すことができるのかは不明だが、

なんとなくできそうな気がする。だって、厳しいベルの特訓に耐えたんだもん。

ベルは、あとは試す必要があると言って、ラリーの家でラリー様を治せるか

明日試してみることになった。ミスったとしても何も起こらないそうだから、

少し気が楽である。

次の日、ラリー様の家に行った。記憶が戻るかもということで、

任務の一環として、カインも来ていた。もちろん、お師匠様もベンも一緒だ。

ラリー様は何か元気がない。心配になり、早く治して上げようと思い、ラリー様の

手を握った。カインも私がラリー様の手を握るのは治療だと頭では

理解しているようだが、睨むようにラリー様を見ている。そんな様子のカインを見て

私はかわいいな、あとでご褒美あげなきゃなと思っていた。

おっと、いけない、今は全集中しないと。

目をつぶり、黄色い丸い満月のようなイメージを描く。三日月から半月、

半月から満月へと月の満ち欠けのように満月になった瞬間、記憶を戻してと

願いながら、手を強く握る。ラリー様の手が一瞬黄色く光る。

私は、力を送り続けた。

私は、力を込めすぎたのか、その場で倒れこんでしまった。

力の使い過ぎ、すなわち魔力の欠乏だったらしく、お師匠様がすぐに魔力を

送ってくれたので、すぐに復活した。

ラリー様はまだ、眠っているようだ。私は上手くできたかとても心配だった。

ベンもめずらしく心配そうにしている。カインはというと、私が倒れ、パニックを

起こしたらしく、お師匠様に静かにせぇと殴られ、ベンにはこの脳筋は、筋肉だけで

なく恋愛バカだったのかと言われ、バカにされ続けていたらしい。

ラリー様が、目を覚ました。

「ラリー大丈夫か」

初めに、カインが聞いた。

「私は何日もの間眠っていたのだ?モンスターはどうなった?アズサは」

とあわてて、ベッドから起きようとするも、頭がズキッと痛んだようで

頭を押さえだす。

「ラリー様、大丈夫ですか」

たまらず、私は声をかけた。

「アズサか?無事だったのか。よかった」

どうやら、ラリー様は、記憶が戻っていたようだ。私は安心した。

特訓してくれたベンにお礼を言おうとしたら、ベンは口角を上げ、目が少し

吊り上がっている?もしかして、喜んでくれているのだろうか。

カインは、ラリー様に宣言している。

「アズサは、俺の婚約者だからな」

「お前が、アズサに職務放棄するくらい好きだって、嫌というほど知っているよ」

「ホッホッホ。よかったのぉ」

私もラリー様の記憶が戻り嬉しい。ちゃんと癒すことができたので、安心もした。

しかし、私の癒しの力が、災いを招くなど、この時はまだ知らなかった。
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