1 / 23
プロローグ(父の策略)
しおりを挟む
娘のアリーは、地味で控えめこそあるがスタイルだけでなく、何よりも美しい。
亡くなった母親譲りで誰もが羨むような美貌の持ち主である。
出るところは出ているし引っ込むところは引っ込んでいる。
立ち振る舞いは美しく優しい性格の気遣いができる娘であった。
きっといいカモが見つかると考えたアリーの父親であるドラチェ伯は娘を社交界の場に連れて行くことにした。
名門であるドルチェ伯爵家に比べれば格下になるコスカ男爵家の嫡男ラインが、案の定アリーに声をかけていた。
アリーは、男性と接点もなく育ってきたせいで、顔を赤らめ恥じらいを持ちながら話している。そんな姿に鼻を伸ばしきっているライン。
確か、コスカ男爵家は領地の特産品であるワインの生産に力を入れており、王宮にもワインを献上しており、莫大な利益を得ていると聞く。男爵家とはいえ、カネとコネを上手く使うことで貴族社会の中で上手く立ち回っているらしい。最近成り上がってきたコスカ男爵が次に欲しいのは貴族としての格でありこればかりはカネとコネばかりでは手に入らない。その意味では名門ドラチェ伯爵家の令嬢アリーとの婚姻は、コスカ男爵家として喉から手が出るほど欲しい相手のはず。
ドラチェ伯は、ラインに声を掛けた。
「お初にお目にかかりますライン殿、私はドルチェ伯爵家当主 ロバン・ドルチェ伯です。コスカ男爵家の次期当主にお会いできるとは光栄です。」
「こちらこそご挨拶が遅れ申し訳ありません、コスカ男爵家 嫡男ラインです。それではやはりこちらの女性は」
ラインから話を振られて赤い顔のままアリーは小さい声であるがボソボソと答えた。
「あ、はい、ロバン・ドルチェの娘アリーと申します。あの……実は……お話が……つい楽しく申し遅れました。すみません」
「何とやはり伯爵家の令嬢であられたか、やはり気品が違う、つい浮かれて名も名乗らず話してしまいました」
「はっははは、それは光栄です。社交会デビューして間もないアリーが、ライン殿のお気に召すとはアリーもなかなかやりますな」
「何をおっしゃいます。アリー嬢は大変魅力的であり、わがコスカ家に妻として迎え入れたい程ですよ」
釣れた!!
ドルチェ伯の視線は天井を見ながらギラギラ輝いた。
「おーそれはありがたい。ライン殿でしたら、コスカ伯爵のご長男でいらっしゃる。うちと大差のない貴族称号ですので安心してミリーを嫁がせることができる」
ドルチェ伯は手を大きく叩き、わざと皆に聞こえるように言った。
「娘のアリーとライン殿の婚約がここに成立しましたぞ」
パチパチとわざとらしく、手を叩き出すドルチェ伯。
周囲の者たちもつられて、拍手し始めた。
ラインは戸惑ったがこの地味な女だと騙しやすいし浮気もし放題だしちょうどいいと思ったのだった。
何よりも豊満な胸とあの美しさに勝るものなど今まで見たこともない。
アリーはわけもわからずに社交界デビューをいきなりさせられ、知らない男と婚約が決まってしまうなんて予想もしておらず困惑していた。しかしアリーは父親の言うことは絶対だと信じて疑ってこなかったので、その場で立ちすくむしかなかったのだった。
あっという間に婚約が決まりバタバタと準備をすすめていると、いつの間にか結婚式当日になっていた。
アリーは純白のドレスに身にまとい、教会の前に立っていたのだった。
亡くなった母親譲りで誰もが羨むような美貌の持ち主である。
出るところは出ているし引っ込むところは引っ込んでいる。
立ち振る舞いは美しく優しい性格の気遣いができる娘であった。
きっといいカモが見つかると考えたアリーの父親であるドラチェ伯は娘を社交界の場に連れて行くことにした。
名門であるドルチェ伯爵家に比べれば格下になるコスカ男爵家の嫡男ラインが、案の定アリーに声をかけていた。
アリーは、男性と接点もなく育ってきたせいで、顔を赤らめ恥じらいを持ちながら話している。そんな姿に鼻を伸ばしきっているライン。
確か、コスカ男爵家は領地の特産品であるワインの生産に力を入れており、王宮にもワインを献上しており、莫大な利益を得ていると聞く。男爵家とはいえ、カネとコネを上手く使うことで貴族社会の中で上手く立ち回っているらしい。最近成り上がってきたコスカ男爵が次に欲しいのは貴族としての格でありこればかりはカネとコネばかりでは手に入らない。その意味では名門ドラチェ伯爵家の令嬢アリーとの婚姻は、コスカ男爵家として喉から手が出るほど欲しい相手のはず。
ドラチェ伯は、ラインに声を掛けた。
「お初にお目にかかりますライン殿、私はドルチェ伯爵家当主 ロバン・ドルチェ伯です。コスカ男爵家の次期当主にお会いできるとは光栄です。」
「こちらこそご挨拶が遅れ申し訳ありません、コスカ男爵家 嫡男ラインです。それではやはりこちらの女性は」
ラインから話を振られて赤い顔のままアリーは小さい声であるがボソボソと答えた。
「あ、はい、ロバン・ドルチェの娘アリーと申します。あの……実は……お話が……つい楽しく申し遅れました。すみません」
「何とやはり伯爵家の令嬢であられたか、やはり気品が違う、つい浮かれて名も名乗らず話してしまいました」
「はっははは、それは光栄です。社交会デビューして間もないアリーが、ライン殿のお気に召すとはアリーもなかなかやりますな」
「何をおっしゃいます。アリー嬢は大変魅力的であり、わがコスカ家に妻として迎え入れたい程ですよ」
釣れた!!
ドルチェ伯の視線は天井を見ながらギラギラ輝いた。
「おーそれはありがたい。ライン殿でしたら、コスカ伯爵のご長男でいらっしゃる。うちと大差のない貴族称号ですので安心してミリーを嫁がせることができる」
ドルチェ伯は手を大きく叩き、わざと皆に聞こえるように言った。
「娘のアリーとライン殿の婚約がここに成立しましたぞ」
パチパチとわざとらしく、手を叩き出すドルチェ伯。
周囲の者たちもつられて、拍手し始めた。
ラインは戸惑ったがこの地味な女だと騙しやすいし浮気もし放題だしちょうどいいと思ったのだった。
何よりも豊満な胸とあの美しさに勝るものなど今まで見たこともない。
アリーはわけもわからずに社交界デビューをいきなりさせられ、知らない男と婚約が決まってしまうなんて予想もしておらず困惑していた。しかしアリーは父親の言うことは絶対だと信じて疑ってこなかったので、その場で立ちすくむしかなかったのだった。
あっという間に婚約が決まりバタバタと準備をすすめていると、いつの間にか結婚式当日になっていた。
アリーは純白のドレスに身にまとい、教会の前に立っていたのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
64
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる