4分の1の人生で学んだのは、あれ程嫌いだった「生きてさえいれば何とかなる」だった話

蒲公英

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3.これまでの人生(高校〜)

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 さて、そろそろ飽きられそうな私の人生語りもとりあえずこの回で終了したいところだ。

 前回の中学校迄編の続きからだが、一応おさらいしよう。
 私は勉強嫌いな声優を夢見るオタクのまま、気の進まない進学校を受験した。
 手は抜いてみたものの、進学校が定員割れしていたせいで合格になってしまう。
──────

★高校★
 その学校は包み隠さずに言うと根性論ばかりの軍隊のような集団行動を求める、個人の能力より協調性を重んじるようなところだった。
 厳しくはあったが、最初からとんでもないブラック環境だと思われるのに、生徒のために自ら休みを潰すような熱血教師ばかりだったので憎めはしない。
 先生がんばってるな~とか思っていた。

 そんな私は在学中に養成所や専門学校の授業料減額してもらえるオーディションに数回参加した。
 なお進学校に入ったからと言って勉強はしなかった。
 唯一国語だけそこそこ得意だったが、今では文章をまともにかけてるかすら不安だ。

 2年生になる頃、私はその「声だけで演じること」を趣味としている人達とネットで知り合うことになる。

 中学でも高校でもネットリテラシーは学ぶし、何より小学校低学年からパソコンを使いこなしていた私としては、ちゃんと関わる人は選んでいたし安全マージンを踏んでいた(つもり?)

 そうして出会った人達の中に、やたら中性的ないい声の人がいた。
 私が趣味で書いていた作品を一緒にボイスドラマにしたり、絵を描いたりしてもらってそれなりにエンジョイしていたのだが、私は段々とその人に惹かれていくことになる。

 先にことわっておくが、私はそれまで男性が好きだったし、後にも先にも例外が出たのはその人だけだ。
 そう、私が恋してしまったのは同性の女性だった。

 お互い顔も知らないまま、声しか知らなかったのが原因だったかもしれない。
 私の想いは日増しに強くなり、ある時遂に告白してしまう。

 彼女は案外あっさりと交際をOKしてくれた。
 有頂天になったのもつかの間、彼女は見た目も声も魅力的だった為、夜中のライトに虫が集るように、男も女も寄っていくのを見なければいけないストレスにかられた。

 しかも途中で判明するのは、私は2人目だったということ。

 既に彼女がいたのだ。つまり私は浮気相手だったらしい。そこから段々と病んでいく。

 ちなみに1番目の彼女に連絡をとったら、彼女は驚くほど簡単に引き下がった。むしろ熨斗をつけて差し上げる、と言わんばかりに。

 深みにハマってしまい、抜け出せなくなった…つまり別れるという選択肢を選べない程になってしまった私を、彼女は最大限利用した。

 私が彼女に逆らえないのをいい事に、自分のもとへ私を呼び寄せたのだ。

 高校3年生当時私の希望する道は八方塞がりだった。

 親には専門学校に行くのはいいが大学に行ってからにしろと強く説教され、進学校故に先生も親の味方。
 昨今の声優はどんどん若いうちに出てくるのに、大学卒業してからでは遅いと私は思っていた。
 それに単純に勉強が嫌いなのに、大学という専門性の高い教育施設を卒業出来る自信なんてなかった。

 その為あらゆる理由を持ちかけて大学は嫌だと反発していた。
 実家は自営業のため貧乏だったが、金銭面について指摘すると、お金のことは気にしなくていいと言われた。

 時期も時期だったため、諦めてせめて演技系の大学にと思っていたが
 件の彼女から放たれた言葉はあまりに残酷だった。

 「私のことが好きなら、こっちに来るように。来なかったら別れる」

 健常かつ精神の強いひとならば、夢を優先して別れられるだろう。
 しかし、私を含む世の弱者達は夢の方を諦めてしまうのである。

 心が弱い人間は、特に愛を求める傾向にあると個人的に考えているが、私も彼女もその1人だった。
 愛を失うことが、何よりも恐ろしかった。

★大学★
 結局、親にも彼女にも希望を理解して貰えなかった私は、泣く泣く呼ばれるがまま彼女のいる愛知のFランク大学に進学した。
 初めは一人暮らしの部屋に、彼女が遊びに来る形でほとんど毎日会っていた。

 そんな中で彼女から出された条件はこうだ。
 ・友達を作らない
 ・サークルに入らない
 ・学校でもバイト先でも雑談はしない
 ・目を合わせない
 ・笑いかけない
 ・親兄弟以外誰とも連絡を取らない、連作先を消すこと
 等々

 他人の目から見ると、異常で典型的な束縛だと思う。
 私もそう感じていた。
 しかし人間とは恐ろしいもので、誰とも話さず連絡も取らずにいると、「私は悪くない勘違いさせたお前が悪い」「私は悪くない勘違いしたお前が悪い」「私は絶対に悪くない、お前が悪い」等と言い続けられると

 ああ…そうなんだ…、と思えてきてしまうのだ。
 いくら言っても自分の意見は否定される、ヒステリーを起こされる、殴られる、叩かれる、そう思うと段々無理矢理にでも自分が悪かったように見える部分だけ、思い出して私自身から謝罪するようになった。

 明らかにおかしくても。

 そうやって自分の心に最後の防壁をはるしかなかったのだ。

 私が悪い、全て私のせい。そう思うことでしか心の負担を減らせなかった。

 そんな彼女はやはり浮気を続けていた。
 私の学校やバイト先には昼だろうと夜だろうと監視に訪れるのに、彼女は多方面から愛されることに喜びを感じていた。

 今思うと理不尽な話だ。

 ある時は心配になってかけた電話先で、浮気相手とホテルに行かれた。さすがに辛くなって私から切ったが。
 ある時は無理矢理レズビアン専用のクラブに連れていかれて、目の前で他の人とキスされた。彼女はその場のノリも理解できないのかと私を詰った。
 ある時は私を連れていったにもかかわらず、目の前の女の子たちに向かって私が隣にいながら「彼女はいるが、ここにはいない」とのたまった。小声で余計なことを言うなと私を脅しながら。
 ある時は旅行中にずっと浮気相手と連絡をとっているようだった。私が頑張ってバイトしたお金で予約したホテルのビュッフェの写真を、私を一切見ることなく嬉々として浮気相手に送信していた。
 ある時は私が人と喋っていたと怒り散らして出ていき、追いかけた私のピアスを引っ張りネックレスを引きちぎり辺りにばらまいた。大事なものだったので這いつくばって部品を探す私を、国道の歩道という公の場であるのに大胆にも踏みつけ、蹴り倒したりした。その時の通行人は誰も助けてくれなかった。
 ある時は何度も首を絞められ死を間近に感じた。
 ある時はネットに住所とフルネームを晒された。
 ある時は県外にいる浮気相手に何故か警察を呼ばれた。寝る頃だったのに、彼女と口裏を合わせて何も無いと焦りながら言う羽目になった。
 ある時は図々しくも、彼女と同棲している私たちの家に浮気相手が泊まりに来た上、馬鹿なのだろうか「夜中ずっと殺されるかもしれないと怯えていた」と聞かされた。自業自得だ。なお、浮気相手は私をよく侮辱していたようだ。
 そしてある時…いや、毎月のようにヒステリーを起こした彼女に包丁を向けられ、殺されかけていた。幸い私の方が力が強かったため、毎回怪我なく刃物を取り上げられたが。
 またある時は私の両腕を、真夏に真紫になり腕中歯型で埋め尽くすほどに本気で噛み付いた。この傷のいくつかは数年たった今も残っている。
 そして思い詰めて自殺しようと、助走をつけてベランダに走り出した時彼女は何故か浮気相手に電話しながら私にこういった。


 「君が死んだら私のせいにされるからやめて」


 さあっと血の気が引き、死ぬのもバカバカしく感じた。

 そんなこんなで、最後には彼女の浮気相手が私の実家の両親宛に手紙を送り付けてきたことで、彼女との同棲生活は終わりを告げた。

 手紙は小学生が使うような便箋と封筒に(浮気相手は私の6つ上)、差出人不明の状態で届いたそうだ。
 内容はざっくり言うと「このままだとあなたの娘は死ぬ」らしい。バカバカしいと感じたそうだが、私の身はやはり心配だと言うことで、強制的に実家に連れ戻されることになったのだ。

 帰ってきた当時の私はまだ彼女と別れておらず、浮気相手に今まで感じたすべての感情を飲み込むほどの怒りを感じていた。
 その時のことを母に聞くと、私が帰ってきてすぐありえないスピードで玄関の花が次々と枯れ、私はやせ細っていたとのことだ。
 そういえば、当時ストレスで変形した爪が未だ戻っていないのが、当時の私の精神状態の酷さを物語っているかもしれない。

 今でこそ両親の判断は正しかったと思うが、その時はそうは思えなかった。

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