恐怖心で現状維持をした結果~妹からもパーティーからも捨てられて~

来佳

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33話

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 剣は軽く、盾は強く。致命傷だけは避けなければ。何度か打ち合い、行動を見てこいつらの強さは大体わかった。腕はこの辺の岩なら軽く貫くし、壁を伝って動いてるのは魔法なんかじゃなく指を壁に突き刺して動いている。生の肌に当たれば肉は無事では済まないだろう。極力防具、無理なら服でもいい。少しでも軽症にして時間を稼ぐ。
 僕はそう決心して敵の攻撃を最小限に抑えるために動いた。

「あなたバカなの?」

 サラさんもこの状況に気付いたようだ。こいつらはかしこい、そして邪悪だ。楽しみのためにボスのことなどお構いなしになり始めている。

「大丈夫です!こいつらに僕を殺す気はありません。最後までいたぶるだけです。さっきから攻撃も致命傷を負わせるものから、痛みや出血を狙ったものに変わってます!」

「それでも!」

 そういって近づこうとすると、2体がすぐに察知し警戒を始める。そして残りの3体も攻撃が激しくなる。自分たちの楽しみを奪うなとそう教えるかのように。

「くそっ!」

 サラさんが悪態をつく。僕は最大限集中しながら少しずつサラさんとミレティアから離れ、壁を目指す。もちろん攻撃をするふりをしながらだ。壁まで行ければそこを背にして前を見るだけでいい。攻撃の角度を減らして確実に耐えてやる。
 何度か攻撃を見せると魔物たちは嬉々として僕を追いかけてくる。傷つかないとわかっているからだろう、あえて僕の剣に腕をあてて打ち合いを楽しんですらいる。数回いらついて全力で切り付けてみたが、すこし驚いた顔をするだけだった。
 正直悔しいがこれが一番勝てる算段が高いはずだ。このままボスが倒れるまで耐えてやる。
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