猫扱いされても生きていたい。

1章

10話

朝珍しく僕よりラクエルは早く起きていた。いつもよりお嬢様と会うからかいつもよりめかしこんでいる。そして執拗に僕を撫でる。
なんだか変な様子だなと思うがまあ人間は大体変なので気にしないことにした。

「そろそろ行くか」

と僕を抱いて邸宅に向かう。今日は初日と違ってゆっくりと行くようだ。
だんだんと最近は寒くなってきて、外の様子も僕が来た当時と少し変わっていて面白い。ここら辺も雪が降るのだろうか？
僕の今の毛色だと潜れば誰にも見つからずにいろんなことができそうだ。
そんなことを何となく考えてると邸宅の方に着いた。
お嬢様と護衛のあの人間と数人のメイドが僕とラクエルを待ち受ける。

「いままでお世話ありがとうね」

「いえいえ。こちらこそ楽しかったです」

と珍しく僕をそっと下ろす。
するとメイドの中の一人が僕に近づいて。

「では失礼します」

と人間には珍しく僕に敬意を払う。なかなかわかる人間だなと最初は思ったが、すぐにそれは僕に言ったことではないことが分かった。

「優しくしてあげてね」

とお嬢様が言うか言わないかそんなタイミングで僕の体に電流が走る。痛みと共に血の巡りが一気に盛んになって、身体が熱くなる。それが10秒ほど続き。痛みが消えたと思ったら、毛先から水がたらりと落ちた。

「終わりました」

「ありがとう。シロも我慢して偉いわ」

痛いのが来るなら先に僕に言ってほしいものだ。僕は滴る水をちょっと払いながらおそらくこのびりびりの元凶をちらとみる。全く悪びれた様子もなく、周りのメイドに僕を拭くように指示を出している。

「私がやりますよ」

とラクエルが前にしたように乾かしてくれる。そして。

「向こうでもいいこにするんだぞ」

なんだか寂しそうに言う。僕はまたすぐ会いにいくよとにゃぁとなく。

「それじゃあ私は失礼します」

「本当にありがとう。また会いに行ったら優しくしてあげて頂戴ね」

「はい。もちろん」

ラクエルは悲しい顔は僕だけに見せて最後は笑顔で帰っていった。

「やっと一緒に暮らせるわね。こっちにおいで。案内してあげるわ」

僕はお嬢様に連れられて邸宅に入っていった。