特典付きの錬金術師は異世界で無双したい。

TEFt

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少年期

少年期第13話

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 いやー豊作、豊作。まさか『リバーシ』があんなに高くつくとは思わなかったよ。この前の父上ときたら目を血走らせて『またっ、なにか思いついたらすぐ言えっ!』て大変なことになってたからな。これ以上、情報を与えると興奮し過ぎて死ぬんじゃないか?まぁ好きなことで死ぬなら本望かもな。

 いつものようにアリスと戯れながら考え事をしていると。

 「ディオン。ちょっといいかしら?」
 「はい、何でしょう?母上。」
 「実はお茶の時間のお菓子を作る材料がきれちゃってね。町まで行って買ってきてくれる?飛行魔法あるでしょ?」
 「良いですよ。小麦粉ですか、卵?砂糖は高いですよね。」
 「小麦粉よ。前にシアンが撒き散らしちゃったから。ついでにお茶の葉もお願いできるかしら。」
 「はい、行ってきます。」

 母上から銀貨3枚を貰い、いざ町へ。そういえば町の名前ってなんだろう。聞いたことなかったな。後で確かめてこようっと。

 町までは歩いて1時間程だが、飛行魔法なら5分あれば余裕で着ける。普通の自動車よりも速いかもしれない。町に着いて看板のような物を見ると『オルドゥの町』と書かれていた。さて、町の名前も分かったし早速買い物に行くか。町の中はそこそこ人で賑わっている。とりあえず雑貨屋に寄っていく。雑貨屋は大抵のものならここで買える。小麦粉とお茶っ葉を買って通りに出る。通りに出ると何やら騒がしい人だかりができている。喧嘩のような声まで聞こえる。

 「おい、筋肉ダルマその商品は俺が買おうと思ってたんだよ。さっさと渡せっ!」
 「いや、俺だってこれは必要なものだし。それにもう買ってしまったから仕方ないだろう。」
 「俺はてめぇみてぇな丸腰の冒険者じゃねぇんだよ。魔術師!敵うわけねぇだろ。さっさとよこせや!」

 どうやら一つの物をめぐっての争いのようだ。しかし魔術師ってそんなに偉いのかねぇ。すごい威張っているけども。

 「別に貴様と争おうとはおもってねぇよ、でもなよこせってのは少し気に食わんな。」
 「やろうってのか、やってやんよ上等だゴラァ。『我が前の敵を炎滅せよファイヤーバースト』」

 いや人前で中級炎魔術使うなよっ!周りの人たちが危ない。とっさに水魔術を使おうとおもったら炎が消えた。目の前のマッチョマンに当たったように見えた。

 「この程度で魔術師か。雑魚だな。」
 「てめぇ、何をした。素手で何ができる!?」
 「おいおい、素手でも魔法は使えるんだぜ。てめぇみたぃに杖がないと中級魔術が使えないオコチャマとは違うのさ。」

 いや絶対あたったと思ったぞ。魔法を使ってるって言ったがかき消す魔法なんて見たことねぇ。どうなってんだ。俺はとてもドキドキしていた。こっちに火炎弾が飛んできているとも分からずに。

 「おいっ、ガキ。危ねぇぞ!」
 「へっ?うわぁ。」

 目の前まで火炎弾が迫ってきていた。さっきのはぐれたやつか?瞬間的に身体強化魔法を使い硬化を発動。当たりはしたが火傷にもならなかった。ちょっとホワァって暖かくなったくらいだった。

 魔術師の男はすでに逃走していた。今度あったら死なない程度に殴ろう。

 「おいっ大丈夫か!?」
 「別に何ともないよ。身体強化魔法使ったから。」
 「ハ?お前どう見たって4歳程度のガキだろ。なんで魔法が使えるんだ?」

 やべっ、つい言っちまった。常識じゃ7歳が普通。どうしよう。嘘ついてもどうしようもないしな。

 「僕、普通じゃないので。」
 「そうか。またどっかであった時はよろしくな。俺はマッスル=リハインド。」
 「それでは。」

 買い物頼まれてたの忘れてた。とっさに小麦粉等が入った袋を持つと町の外まで全力疾走した。そして飛行魔法でひとっ飛び。

 「マッスルだったのか。体と名前が完全一致してるな。」

 家に帰るとすでに昼。ギリギリセーフだった。

 「母上買ってきましたよ。」

 返事が無い。おかしいな、普段はこの部屋にいるはずなんだけど。とりあえずリビングへ行ってみる。ドアを開けた瞬間。

 「「「ディオン(様、君)誕生日おめでとう(ございます)。」」」

 びっくりした。そうか、今日は俺の誕生月だったのか。そのために俺を買い物に行かせたのだろうか?目の前には豪華な食事が並べられている。昼にやるのは夜になると父上の商人仲間とかが祝いに来るので挨拶をしないといけないからである。

 「ありがとうございます。ビックリしました!」
 「ディオン私からはこれをプレゼントするわ。」

 手渡されたのは銀とルビーが使われたブローチだった。錬金で作ったのか名前まで彫られている。形は竜を模したもののようで目にルビーが使われていた。よくこんなにも細かく作れるのだろうか。すごいな。

 「ディオン様、私はお菓子を作りましたよ!」

 シアンが焼きたてのフルーツパイを持ってくる。柑橘系が多く含まれてるようで甘酸っぱい匂いが漂ってくる。この世界は砂糖が希少なのでお菓子にはあまり使えない、なので果物が多く含まれている。シアンめかなりやるなっ。

 「ディオン君、私からはこれを…」

 フェル先生からは紙の書状を貰った。あと魔法陣ぽいものが描かれたバッジも貰った。

 「これは私が君に一級魔術師としての実力があると認めこのバッジを贈ろう。もう一つは魔術師ギルドにて正式に一級魔術師になるための試験を受けることができる紹介状だ。私が認めたからね。ややこしい話はないと思うよ。」
    「フェル先生ありがとうございます。僕、頑張ります!!」
    「そして最後に大事なことを言おう。私はもう旅に出る。君と出会ってから私の魔法はまだまだだと気づいたんだ。またどこかでね。」

    楽しい時間は永遠ではない。わかっていた。俺が卒業試験をクリアしたらフェル先生はいってしまうと。でも世界は案外狭いものだ。いつかどこかで会える。俺は心にそう上書きした。

    「フェル、先生。ありがとう…ごさいましだ。」

    涙が頬をつたって流れる。必死に笑おうとしてもとても痛い。心が俺のすべてを青く染めた。別れってこんなにも辛いことだと始めて知ったんだ。それを悟った時、俺は強くなれた気がした。悲しみをグッと堪え、涙を拭き払い。今度は自然に笑って見せた。

    「ディオン君。…こんな私を慕ってくれて、ありがど。グスッ。」

    フェル先生にガバッと抱きつかれた。体温がとても温かかった。周りを見れば、シアンは大泣き。母上は優しい笑みを浮かべている。父上はシアンと同じく大泣きしている。プッと吹き出してしまったよ。家族ってこんなにいいものだったのか。

    ただそこにいることが当たり前だと感じたいつもの平和な日常。人と人が出会えた瞬間。そのすべては本当に奇跡としか言いようがない。ある人は言った『人生とは奇跡の連続である。』そして俺はみんなを見て思ったよ。いつもの日常に奇跡はすでにおきていると。

    その後はみんなでワイワイしながら料理を食べ、ゲームをして遊んだ。久しぶりだから楽しかった。午後からの挨拶も無事に済ませた。それどころか4歳児らしからぬ言動で人々の目を点にしてやったぜ。夜はハイルと一緒に乾杯したよ。頭の中でだけど。


    そこから時は流れ行く。幼き子供は、やんちゃな少年へと………。

 
     余談
  月日が流れ      

    ピコンッ、アリスたんの様子が………
(デンッデンッデンッデンッ……テレテテーテテー)

    おめでとう、アリスたんはロリっ娘へと進化した。

     書いてみたかっただけです。(キリッ)
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