特典付きの錬金術師は異世界で無双したい。

TEFt

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10歳

別れそして出会い

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    朝。まだ日も上らない寒い朝だ。俺は亡き家族たちを焼いている。浄化の魔法をかけながら。見晴らしのいいこの丘で。
    どうか天国に行ってくれよ。

    「お兄ちゃん、おはよう。」
    「おはようごさいますディオン様。」

    二人とも目の下にはクマができ、泣き腫らしたのか目が赤い。昨日はあまりのショックで受け入れられなかったんだろうが、時間が経つとやはり辛いものだ。

    「おはよう。まだ寝ててもいいのに。」
    「いや、私たちも一緒に見送るの。」
    「そっか。寒いだろ、こっちにおいで。」

    アリスは俺に抱きつきポロポロと涙を流していた。終いにはシアンも大泣きし始め泣き止ませるのが大変だった。シアンはこの家族達との付き合いが一番長かったからな。

    

    亡き家族たちは燃え尽きた。本当の灰になり。俺はそれらを埋め。石を置いた。石には名前と俺の言葉を彫った。

    愛しき家族此処に眠る。

    エリーゼ・フォーリナー  

    ガルド・フォーリナー
  
    マルクス・フォーリナー

    私たちが愛した人々よ安らかに…

    こんなもので良いかわわかんないけど、俺が伝えられるのはこんな言葉しかない。悲しいけど悲しいけど俺は墓を見て微笑んだ。そして、俺達は墓に手を合わせ、この過ごしてきた家と別れることになった。

    「それじゃあ行こうか。」
    「うん、お兄ちゃん。私、頑張るからね。」

    アリスはなんだか大人に近づいた気がした。家族が死んだことにはショックを覚えたみたいだけど、自分が今何をすべきかわかっているようだ。賢い子だ。

    「ディオン様、向こうから人が近づいてきます。」

    シアンが見ている方向を見ると確かに20代後半くらいに見える青年が歩いて近づいてきていた。

    「誰だ!」
    「え?いや怪しいものじゃないよ。」
    「そういう奴が一番怪しいんだよ。」
    「いや近くにいて極めて強力な魔力反応があったからなにが会ったのかなと見に来ただけだ。」
    「名前は?」
    「俺の名は滝沢  カイト。皆は俺のことをタッキーと呼ぶ。」

    まてまて滝沢  カイトだと。奴は300年前に生きていたとされる者だろう。ふつう生きてるはずがない。こいつは嘘をついているのか?

    「質問だ。」
    「なんだい?」
    「お前のあだ名が使われている食べ物は?」
    「えーと、ケ◯タッキーかな。」

    本物か。まじで本物か。300年以上も生き続けているとかこいつ化け物か。いや同郷の人間に会えたのは嬉しいんだけどさ。タイミングがさ。

    「もしかして君日本じ、んぐぅ。」

    危ない。こいついきなり何を言い出すんだ。アリス達にばれる。そうなるとめんどくさそうだ。

    「おい、黙ってろ。」

    小声でカイトに耳打ちしておく。

    「お兄ちゃん、ニホンなんとかって何?」
    「気にすんな。この兄ちゃんが勘違いしただけだ。」
    「そっか。」
    「カイト、お前は何しにこんなところに来た。」
    「えーとね、秘密基地に宝物を隠しにここまで来た。でもね、なんか入口の近くが崩落してて扉も開いててしかも大事な僕の娘までいなくなってたんだよ。」

    娘?……ああフィギュアか。そういや一つパクっt …もらったな。そうかあれが娘だったのか。自分作ったからだろうか。

    「僕が5徹ぐらいして作った最高の彼女なのに。外側だけじゃなく中までしっかり作ってリアルに仕上げたのにー!内臓作るのが一番大変だったんだよぉ、うわあああぁ。」

    こいつは情緒不安定なのか。笑顔になったとおもったらいきなり泣き崩れるとか。ここまでくるとなんというか踏み込んではいけないナニカを感じる。しかし5徹て、なんか悪いことしたな。

    「すまん、そんな大事なものだとは知らず。部屋に飾ってしまった。かなり巧くできてたので。」
    「でしょ。めっちゃかわいいだろ~。…で、どこに?」

    おうおう、いきなり真顔になるな。怖いぞ。泣いて笑って、いきなり真顔で顔近づけてくるとか。

    「俺の部屋だから2階の…」

    そこにカイトはいなかった。最後まで聞けよ。てか、速すぎんだろ。

    「よかった~。僕の娘が見つかってよかったよ。」
    「そ、そうか。」

    いつの間に帰ってきたんだ。まぁ置いといてだ。こいつはさっき宝物を隠しにここまで来たと言っていた。

    「おい、カイト。宝物ってなんだ?」
    「そんなの決ってるだろ。新しい娘だよ。危険な奴等から守るために秘密基地に避難させにきたんだよ。」

    あ、はい。そうですか。特に理由はなかったと、そういうことで解釈しよう。こいつの行動は理解できん。

    「ねえ、僕ばっか質問されてるから質問しても良い?」
    「いいけど、妹のことはダメだぞ。」
    おい、あからさまに『チッ』て舌打ちすんな。目を合わせろ。泣きそうな顔をするな。まったく。

    「一つだけならいi 。」
    「妹さん今好きな人はいますかっ!?よければ僕をおにグフゥ。」

    何を言い出すんだ、いきなり。アリスに好きな子なんているわけないだろ。でもお兄ちゃんとしてちょっと気にはなるが…。同年代の男の子なんてあまりいないだろうし。

    「いるよー。私の王子様なの。」
    「なん…だと。God is dead !!whoooooo!!!  」
    「えっ?兄ちゃん聞いてないぞ。」
    「言ってないもん。」

    とりあえず、カイトを黙らせよう。ずっと奇声発してるし。お兄ちゃん聞いてないぞー。誰だー、誰なんだー。お兄ちゃん気になるなー。

    「れ、恋愛は12歳から。」

    俺にはその言葉が精一杯の妹を引き留める言葉だった。あとカイト、兄面してアリスに近づくんじゃねぇ。

    「えー、非常に悲しい事実がありましたが、気を取り直して真面目に質問するよ。」

    どこがだろうか。こいつからは真面目に質問するような様子が一切見られない。俺だけでしょうか。

    「妹さん名前を教えてください!!」

    まぁそれくらいなら…。待てよ、確かこいつ前に秘密基地に行った時、創造錬金が出きる。つまりだデ◯ノートと似たもののようにラブノートとか創ってるんじゃなかろうか。書いたら相手が惚れるみたいな。させん、そんなことは絶対にさせんぞー。

    「エ、エミルだ。」
    「へぇー。エミルちゃんか。ふーん。………貴様嘘をついてるな?」

    なんでわかるんだよ。こいつはあれか超能力的ななにかがあるのか。

    「お前は創造錬金が使えるはずだ。そうすると名前を書いただけで相手が惚れるノートを持っている可能性がある。よって信用できない!」
    「お兄さん、私はね、アリスって言うの。」

    言っちゃったー。言ってしまったよ。妹よもう少し相手を危険視しようや。危ないお兄さんに連れてかれちゃうぞ。

    「アリスちゃんか。いいねー。」
    「変なことはするなよっ!」
    「しないし、できないよ。だって僕、創造錬金のスキルなくなったし。」
    「は?どういうことだ、それ。」
    「まあ、これは僕が死ななくなったことと関係してるんだけどね。あまり言いたくないんだ。」

    ここからはあまり深く聞かない方が良さそうだな。明らかに表情がくもっている。

    「カイト、お前はこれからどうするんだ?」
    「えっ?ついていく気だけど。荷物まとめられてるし、旅に出るんでしょ。保護者がいないとね。」

    ついてくる気なのかよ。俺たち王都で別れるんだけど。

    「あのなぁ。俺達はずっと旅するわけじゃないんだよ。王都まで行ったらアリス達を魔法学校に預けるし、俺だって魔術学院に行く予定だし。」
    「えー、僕強いよ。これでもS ランクの冒険者なんだよー。それに子供だけだと舐められることもあるんじゃないかな。」

    こいつの言うことにも一理ある。あるんだけどこいつがアリスを襲わないか心配だ。それさえなかったら連れていくんだけどな。

    「なるほど、僕がアリスちゃんに手を出さないか心配なんだね。でも大丈夫僕は紳士ですから目で見て、匂いを嗅いだりするだけだよ。」

    よし。こいつは置いていこう。紳士は紳士でもダメな方のやつだ。

     「よし、こいつは置いていくしかない。」
     「ごめんごめん、見るだけにするから。でも相手から抱きついてきたら不可抗力だよっ!」
    「わかった。ジロジロ見ないなら嫌だけど連れてこう。アリス達もいい?」
    「いいよー。」
    「大丈夫です。」
    「それじゃあ王都に向けて出発するぞ。」
    「案内は僕に任せて。」

     こうして俺達は王都へと足を運ぶのだった。それにしてもカイトだけが心配なんだよなぁ。
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